お金の重要度 : ★★★★★

お金は目的ではなく何かを成し遂げるための手段である度 : ★★★★★




日本人はお金の教育が足りないといわれます。

確かにこれまでを振り返ってみると、小学校、中学校、高校、大学、大学院のいずれの時期も、私はお金について学んだことはありません。

それどころか、社会人になって、30代半ばになって初めて自分でお金について勉強するようになるまで、誰もお金について教えてくれませんでしたし、お金のことをじっくり考えるという機会もありませんでした。


でも、お金って大事ですよね。

生きていこうとすると、どこかで必ずお金が必要になります。

やりたいことをやろうとするとき、お金がある方がより多くのこと、よりよいものにチャレンジできます。


一方で、これからは「お金」ではなく、「信用」の時代ということもいわれます。

「お金」というのは単なる信用にすぎないという主張ですね。

確かに納得できる部分もありますが、そう思いきるにはやはり多くの人にとっては、「お金の心配がない」という前提が必要なのではないかと思います。

少なくとも私にとってはそうです。

逆説的ですが、お金の心配がない、あるいはお金の心配が得ようとする何かに比べて小さい状態があって、はじめて「お金に振り回されない生き方」ができるということです。


そのためには私たちはもっと「お金」のことを学ばなければなりません。

また、私はできれば子どもたちが大きくなった時に、お金に振り回されない生き方をして欲しい。

そしてそれを学ぶ機会は、日本においては学校では提供してくれません。

それならば自分自身で学び、また子どもに身につけさせるしかないんです。



本書は、「お金」のスキルを、今、子どもが学ぶべき最重要事項であり、子どもが幸せな人生を歩むための必須条件と位置づけています。


お金のスキルを身につける目的は、なにも大金持ちをめざすことではありません。

著者のいう「お金に強い人間」とは、

①お金の価値を知っている」
②お金が世界を回っていることを知っている


であり、その結果として、お金に振り回されない生き方をしている人のことだといいます。

お金に関する無駄な心配や苦労がなくなると、自由な時間を確保できて、自分のやりたいこと、好きなことに全力投球できるというわけですね。


著者は、酒井レオ氏。

ニューヨークで生まれ育ち、ユダヤ人のコミュニティで、ユダヤの家庭の教育を目の当たりにしてきたといいます。

本書で紹介されているのは、子どもが「お金に強くなるメソッド」と「世界で活躍するメソッド」の2つです。

この2つの力を身につけることで、幸せな人生を送ることができるといいます。


前置きが長くなりましたが、以下、本書の内容で私が注目した箇所を整理してみました。


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◆「お金に強くなる」「世界で活躍する」ために最も重視すべきプリンシプル(原理原則)

〇お金に強くなるプリンシプルとそれによって得られるもの

・お金の価値を教える
・お金から世界の仕組みを教える

→ お金に振り回されない人生を歩める

・親に依存しなくなり、自立心が育まれる
・お金が増える喜びを知り、数字・計算が得意になる
・自分で家計を管理運営する、経営者目線が育まれる
・お金は減るものだと知り、ムダ使いをしなくなる
・計画的に物事を進め、お金に悩まない人間になれる


〇世界で活躍するプリンシプルとそれによって得られるもの

・デジタル&アナログ人間にする
・すべてを「見える」化して育てる

→ 最強エリートになるための必須スキル

・好きなことに集中して、思考力が伸びる
・目標を数値化して、夢にチャレンジできる
・対人関係を円滑にする、コミュニケーション力・プレゼン力が育まれる
・困難にも動じない、問題解決能力が伸びる
・AI時代に対応した、発想力が伸びる



◆お金に強い子どもに育てる方法

〇お小遣いはあげない

・お小遣い=給料の縮小版
・お金は労働の対価である
→ 労働の重み
・どうしたら効率よく労働を終えられるか
→ 想像力や発想力などのクリエイティブな思考が育まれる


〇子どものアレ欲しいはひとまず無視する

・自分という人間は何に価値を置き、どんなものであればお金を支払ってまで手に入れたいと思うかが明確になる
・何かひとつを突き詰めるために、自分にとって重要でないものは切り捨てるシンプルな決断力が必要
・自分が本当に必要と感じたものは、手に入れる熱意と交渉力が必要


〇家族アメーバ経営会議

・アメーバ経営
→ 稲森和夫さんの経営手法
「経営は一部の経営トップが行うのではなく、全社員が関わって行うべきだ」という思想
・子どもも家族という経営に関わっているという意識を持たせることが目的


〇ボランティア活動

・ボランティア活動を通じて育った社会貢献の目は、ビジネスの本質につながる
→ ビジネスは不便を便利に変えたり、日々の暮らしを快適にしたり、誰かを笑顔にするためにある。自分のスキルを社会に還元して、よりよい社会を構築するためにある


〇誰かの面倒くさいを解決する

・人の役に立つサービスでも、需要のあるところに行かなければお金にならない


〇通知表なんてどうでもいい

・運動苦手な子
→ 走るタイムが0.5秒縮まって、人生に何か影響するか?
・将来につながる才能を伸ばしたいなら、得意なことに時間を使う
・得意なことと好きなことが融合したときに、それがその子の圧倒的な個性になる



◆世界で活躍する方法

〇子どもに決断させる

・僕の人生は、すべて僕の決断によるもの。自分でやりたい、やろうと決めたことだけが身の回りにある
→ ストレスはゼロ
・どんな些細なことでも、自分で決めたことの結果だと思えば、すんなり受け入れられる
→ 誰かのせいにするというネガティブな思考にならない


〇圧倒的個性を身につける

・その子が夢中になれるもの、没頭できることの邪魔をしない


〇しっかり挫折を経験させる

・レジリエンス(resilience)=「回復力」「復元力」「跳ね返す力」
→ 大きなストレスを跳ね返す力、嫌なことや逃げ出したいことがあっても再び前に進んでいこうと自信を奮い立たせる回復力、最後まで全力で取り組むことのできるやり抜く力
⇔ 脆弱性(vulnerability)
・人生を前進させるには、その手前にある課題、障壁を自分の力で突破しなければならない
→ どんな困難にぶつかっても立ち向かっていく突破力を身につけるには、挫折をしっかり経験させることが必要


〇ダメな自分を笑い飛ばせる勇気を持たせる

・愛される力を持つ人はオープンマインド
→ まわりには信頼と笑顔があふれ、自然と人が集まる
・幸福感の源は、自分に対する使命感(=生きがい)と、他者への貢献である利他性
・他人の意見も聞くことや意見が違って寛容であること



◆著者が考える幸せの3つの柱

・タイム・イズ・マネー(時は金なり)
・マネー・イズ・パワー(金は力なり)
・パワー・イズ・フリーダム(力は自由なり)

→ 時間を大切に過ごすことでお金を生み出す力が備わり、その力が自由をもたらし、自由な時間でまたお金を生み出す活動ができるという循環


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繰り返しになりますが、「お金に振り回されない人生」とは決してお金持ちになることではありません。

お金に心配のない状態をつくることで、やりたくないことを排除し、やりたいことに全力を注げるようになることが目的です。

「お金」とは目的ではなく、手段ということですね。


そして、このとき忘れてはならないのは、お金に心配のない状態というのは、人それぞれのやりたいことによって異なってくるということです。

逆に言えば、やりたいことやライフスタイルを明確にすることによって、どのくらいのお金があればいいかが決まってくるということです。


「貯金はある。でも将来はなんとなく不安だからお金が欲しい」という人は、おそらくいくらお金を持っていても不安は消えないのではないかと思います。

そうなるともう「お金」を持つこと自体が目的化しており、「お金に振り回されない人生」からはますます遠くなってしまいます。


「お金を稼ぐ」というと、どうしても「悪い」「きたない」というようなマイナスのイメージがつきまといますが、人生とは切っても切れないものです。

お金と人生の関係について、改めて考えるきっかけとなった本でした。


ありがとうございました。