週末起業 (ちくま新書)
藤井 孝一
筑摩書房
2003-08-06



【会社員のままでいようか、起業しようかで迷っている方にオススメ】



タイトルにある「週末起業」とは、文字通り、「会社員を辞めずに週末だけ自分の好きなことで起業すること」です。

昨年から「働き方改革」が何かと話題になり、2019年に入ると関係法も整って、その動きが本格化しています。

社員に「副業」を認める企業も増え、社員の側でも「副業」や「複業」、そして「起業」にチャレンジする事例を多く耳にするなど、一種のブームともいえるような兆しが見えます。

近年は、そのような
「働き方改革」をはじめとする社会背景があったり、低コストで利用できるⅠTサービスが充実していたり、SNSなどによるネットワークがあったりと、起業しやすい環境が整っているといわれています。



しかし、一昔前、これらが普及する以前はまったく違っていました。

起業は、「特別な人」や「変わり者」だけが選ぶ特殊な選択肢であり、一般的にはハードルやリスクが高いと認識されていたのです。

本書は、そのような時代に書かれた本であり、「週末起業」とは、会社員を辞めないまま起業することで、起業のリスクを抑えて着実に起業を実現する方法といえます。




起業に対するイメージは変わってきたとはいえ、現在会社員として働いている人にとっては、起業する=会社員でなくなることへの不安はやっぱり同じ。

そうした不安を少しでも和らげ、スムーズに起業につなげていくための手法として、「週末起業」のノウハウが役立ちます。

そういう意味では、起業への関心が高まっている現在でも活かせるノウハウといえるでしょう。

今は会社員で、これから起業を目指したいという方にオススメの1冊です。


それでは本書の内容を整理していきます。


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◆週末起業の特徴


・会社員を辞めずに、夜や休日を使って起業する

・お金をかけずにはじめること

・インターネットを利用すること

・自分の大好きなことをビジネスにすること


⇒ 今でいう「副業」「複業」にあたる
著者は「副業」は時間の切り売りにすぎないと批判するが、今は「副業」のとらえ方も広がっている
自分の強みを活かすことで、起業につながるケースも多い




◆週末起業のメリット


・自分のやりたいことにチャレンジできる

・副収入が得られる

・人脈が広がる

・本業にも好影響がある

・家族や地域との交流が深まる

・起業の練習になる
→ スキル、実績を高められ、赤字でも本業があるので精神的なプレッシャーはない


⇒ 反面、デメリットとして、過労や家族との時間が減ることが考えられる

著者は、メリットの一つに「家族や地域の人との交流が深まる」ことを挙げていますが、週末起業することで必然的にそうなるというよりも、いかにここを意識した起業とするかがポイントではないか



◆成功する週末起業のポイント

(1)テーマで絞る

①やりたいことを選ぶ
②できることを選ぶ
③時流に乗っているものを選ぶ

→ ①から順に絞り込む


(2)「何を売るか」で絞る


・モノ
・ワザ
・知識・情報
・人脈


(3)「困っていること」「あったらいいな」で絞る


・ビジネスで解決できること


(4)顧客対象で絞る


→ オンリーワンビジネスを目指す

⇒ オンリーワンとは、特定分野のナンバーワンということ
 またはニッチ分野のナンバーワン



◆著者が考える週末ビジネスの心得

①継続的に投資する

②家族を巻き込む

③会社には内緒にする


④時間を確保する

⑤ビジネスを楽しむ


⇒ 特に④は、実際に行動に移すという点でも、休息を確保する点でも、家族の理解を得る点でも、時間のメリハリをつけるために有効

⑤は、決してムリをしないことにつながる


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まさに今の私の状態こそ、「週末起業家」といえる状態でしょう。

副収入を得ているという段階とはいえませんが、やりたいことをいろいろ実践しながら、どういう方にお客さんになってもらえるか、どういうことで人の役に立てるか、何をやっているときにワクワクするかを考えています。

本で学ぶだけでなく、実際にやってみることで、多くの気づきを得ることができています。

やはり自分でやってみることが大事ですね。

逆に、やってみないと何が問題なのかさえ分からないまま。

その状態ではとても会社員を辞めて起業するのはリスクが高すぎるでしょう。

その点、週末起業という考え方は、リスクを避けたい人にとっては、起業へのステップとして有効なやり方ではないかと思います。



ありがとうございました。