SAITAMA(埼玉)暮らしと本が最強なワケ

サイタマ産まれ、サイタマ育ちの共働き夫婦によるサイタマ暮らし。 ほとんど埼玉を出ません。 埼玉LOVE♡ 本もLOVE♡ なので書評も書いています。

2018年08月

(書評)『年収1億円のひとは、なぜケータイに出ないのか?』

定価:1,500円+税
ISBN:978-4-434-24711-8


 
お金持ちの生活が少しわかった気がする度 :★★★★★

お金持ちの考え方は超シンプル度 :★★★★★





◆お金持ちの思考をのぞいてみたい


特に「年収が1億円欲しい!」というわけではないのですが、お金持ちの思考法にちょっと興味があったので読んでみました。

難しい内容が書いてあるわけではなく、読んでいるだけですっきりするくらい彼らの考え方は極めてシンプルです。

多くの人よりもたくさんお金を稼いでいるはずなのに、なぜか窮屈に感じる。

一定程度の年収から抜け出せない。

そういった悩みをお持ちの方にコロンブスの卵的な発想を与えてくれるかもしれません。

中にはもちろんお金持ちだからこその発想もありますが・・・。

(ただし、お金持ちだからそう考えるのか、そういう考え方をしたからお金持ちになれたのかといった因果関係は不明です)






◆お金持ちは何より「自由」を重視する

 


私は本書のテーマはこの一言に凝縮されていると思います。

 

働き方、というよりはもはや彼ら(お金持ち)の生き方そのものです。

 

そもそも彼らは仕事と生活の境界が曖昧です。

 

常に自らを束縛されない方向を選び、頭をクリアに保ち、健康を保って、ビジネスチャンスに目を光らせているといいます。

 



自由というと一見時間がたくさんあるというイメージかもしれませんが、おそらくは彼らの中では逆なんだと思います。


誰よりも時間が有限であることを知っているのです。
 

だからこそ自分の時間を大切に、他人に決して邪魔されないよう有意義に使おうとするのです。

 

 

 

◆会社という場所は効率が悪い

 


これは私が最近感じていることで非常に共感しました。

会社はいわゆるオフィスであり、スーツに身を包むことで気持ちが引き締まり、職場の仲間もいて、必要な資料などもそろっているなど仕事をしやすい環境に思えます。

 

もちろん業務に必要なパソコンや文具、空調なども完備され、コストは会社持ち。

 

ですが、よく考えてみると、これほどストレスのたまる場所は他にありません。



まず

 

怒らせると厄介な上司のご機嫌とり、一緒にいると気詰まりな同僚など会社内部の人間に加え、無理難題を迫る得意先、理不尽な要求をしてくるクレーマー・・・などなど枚挙に暇がありません。

また、それは必ずしも自分が相手をしているときに限られません。

そばでやりとりを聞いている(意図するしないにかかわらず聞こえてしまう)だけで、集中は乱され、腹が立ってムカムカし、ストレスで頭痛などの体調不良すら起こりえます(私も実際に経験があります)。

 

 
次に、通勤時間

 

猛暑だろうと台風だろうと雪だろうと会社まで行かなければなりません。

 

徒歩で5分くらいならまだしも、電車で片道1時間という距離を毎日です(これは私の例です)。

 

自分のことながら、これほどの無駄はなと感じます。

 

しかも毎日毎回時間どおりに電車が運行する保証などどこにもありません。

 

ときには人身事故などで数時間もの時間を奪われることもあります。

 

(特に私が使っている東武〇〇線は人身事故が多いことで有名です。帰りの電車で2つの人身事故が立て続けに起こったこともあります・・・)

 

 

なかには電車に乗っている間に読書をしたり、睡眠をとったり、パソコンで仕事もできると主張する人もいるかと思います。

 

ですが先に述べたようなリスクを負うデメリットに比べてどれほどのメリットがあるでしょうか。

 

さらにいえば、電車で必ず座れるとは限らないし、何より自宅やカフェなど自分が集中して読書や仕事のできる場所や環境で取り組んだ場合、効率性は比べものにならないでしょう。

 

 

 

 
◆いかに自分を大切にできるか



筆者がいうように、お金持ちの視点は要はこれだと思います。

 

これは決して他人を蔑ろにするということではありません。

 

むしろ自分を大切にしているからこそ、他人の時間を無駄にしないような気遣いの気持ちが生まれのではないかと思います。

 


もちろん思考を転換したからといって年収が1億円になるということではありません。

 

取り入れるべきはその精神です。

 

彼らは自分が進みたい、進むべきだと思う方向に向けて、一心にひたむきに努力する。

 

自分が決めたことだから辛くても精神的には豊かで充実しているのです。

 

その魅力的な精神が人を惹きつけ、応援を呼び、ひいては経済的な豊かさにも結びついているのだと思います。

 

  

逆にいえば、年収がいくら高くても、仕事が忙しくてただ辛いだけで満たされないのは、自分が選んだことではなかったり、そもそも好きではなかったり、人にやらされたりしている結果なのだということかもしれません・・・。



(書評)『LIFE STYLE DESIGN』

定価:1,500円+税

ISBN:978-4-86663-039-7


自分が夢中になれる「遊び」とは何か考えさせられる度 :★★★★★

著者をモデルケースに自分の考えを比較できる度 :★★★★★

 



◆ビジネスとは違う「遊び」が自分ブランドをつくる


本書にある著者の考えはシンプルです。

ビジネスでは自分が好きなことだけをやっているとは限らない。

だが、遊びは間違いなく自分が好きなことだ、ということです。

ビジネスだけでなく遊びにも力を注ぐことで、ビジネスでは出会えない様々な人たちと関係を持つことができます。

 
そもそもその「遊び」が好きで集まってきた人たちですから趣味があうのは当たり前。

そこにビジネスが掛け合わさることで、お互いがお互いのためになることを提供できる関係が築かれる可能性が高いということではないでしょうか。

著者は、その中で自分の持てる力で彼らの豊かさのために尽くすといいます。

 

それが自分の価値を高め、自分ブランドを築くことができからです。

 

また、それが信頼を生み、次のさらなる好循環につながるのです。

 


好きなこと、遊びに時間を割くことで友人の範囲が広がるという著者の考えには共感を覚えます。 

 

なぜなら、いかに自分の時間を、好きなことに多く割けるかは今の私の最大の関心事だからです

 

今のライフスタイルに疑問を持っている方、これから自分のライフスタイルを新たに築こうとしている方にオススメの本です。




◆真似をする、そして違う自分を発見する



本書を読む途中で感じた違和感は、「本書はノウハウ本なのか」ということでした。

各チャプターでは、一つ一つ「〜しよう」といった指南書的な提案がされています。

ですが、その内容には一見矛盾したものがあるように感じたのです。

 

 
たとえば、「自分がパンクロックの格好をするのが好きでもそれが受ける人は少ないから、
最大公約数の人に好かれることを考えよう」といった件があります。

 

ですが、それは自分の好きなこと、「遊ぶ」ということに反するのではないか。

自分が他に好きなものがあるのに、他人のためにそれを我慢するのは、ストレスや対人疲れにつながるのではないだろうかという疑問を感じました。

 

 

いったんはそう首を傾げたものの、後で自分なりに本書の意図に気づきました。


(あくまで個人的見解なので、著者の本来の意図とは異なるかもしれません。)

 

 

おそらくはこれが著者のデザインした自分の生き方なのではないか、ということです

 

つまり、本書に散りばめられた著者の指南書は、彼自身が意識して行っていることに他なりません。
 

これまで試行錯誤を繰り返した結果、磨かれてきた彼自身のライフスタイルなのではないでしょうか。

 

ですから、それが万人にとって必ずしもベストの選択肢ということにはならないのです。

  


本書では、あくまで著者自身の経験したところを読者に提供してくれているにすぎません。

 

本書の読者はおそらく、(私も含めて)自分のライフスタイルを見直したいと悩んでいる人たちです。


当然、どうしたらシフトがうまくいくのか確信もノウハウもなく、本書にそのヒントを求めています。

 

そのため著者がモデルとなり、自分の経験や考えを伝えているのです。


自分のスタイルが見つからない人は、著者が本書で述べているように、まずは人の真似からでいい。

 

それが違うと思えば、自分で試行錯誤しながら自分の形にアレンジしていけばいい。

先の矛盾はこうしたメッセージではないかと私は考えました。

 

 

 

◆他者との関係の中に「自分」の姿が見つかる

 

私自身、あまり多くの人と付き合うと気疲れしてしまうタイプです。

体育会系の「イエーイ」的なノリにはとてもついていけませんし、他人が興奮すれば興奮するほど冷めて見てしまうタイプです。

(自分でも困ったちゃんだとは思うのですが・・・)



そんな自分ですので、人付き合いについて著者の真似をしようとしてもおそらくムリでしょう。

どこか他人に合わせている気がしてストレスがたまりまくってしまうと思います。

それはそれで自分は自分なのだから仕方がありません。

決して人嫌いというわけでもないので、自分なりの人付き合いの方法を見つけていけばいいんだと思っています。

 


 

意識して自らを磨き上げ、ビジネスと趣味を見事に融合させて「自分ブランド」にまで昇華させている著者の生き方には非常に感銘を受けます。



自分の生き方とはいうものの、決して自己本位ではなく、他者との付き合いの中で自分の幸せを見出していると感じるからです。

確かに自分を掘り下げて、自分の中の本当の自分を探すのも一つの方法かもしれません。

一方で、他者との関係の中で気付き、発見する自分の新たな姿もあります。

もしかしたら、自分一人で悩むより、他者に自分がどう見えるかを聞いた方が早いし、的確かもしれません

自分とは他者との関係の中にあるもの、ということを何かの本で読んだ気がしますが、まさにそのとおりだと思います。

何も好きでもない人となにふりかまわず付き合おうというのではありません。

自分の好きな「遊び」の中で、気の合う友人と付き合い、本当の自分を見つけられたらこんな素晴らしいことはないと思うのです。





自分にとって本当の友人とはだれか。

あるいはどんな人と友人になりたいのか。

そんなことも考えさせられる本でした。



(書評)『関係人口をつくる』その2

定価:1,400円+税
ISBN:978-4-86324-118-3

すぐに読み返したくなる度 :★★★★★

地域との関わり方を振り返ってみる度 :★★★★★





地域との関わり方をもう少し掘り下げてみたくなり、もう一度読んでみました。

その中で新たに、または改めて感じたことをまとめてみました。



 

◆地域を元気にすることは、住んでいる人にしかできないことなのか?

 


著者の問題意識はこの問いかけから出発しています。

そして「関係人口」という新たな概念にたどりつきます。

たとえ住んでいなくても、地域を元気にしたいと思って実際に地域を応援し、関わる仲間が増えれば、地域は元気になる。

そうやって地域に多様に関わる人々=仲間こそが、関係人口」であると定義しています。



これまでの地域おこしの目指してきたところは、定住人口を増やす「移住」、観光客など地域を訪れる「交流人口」を増やすことでした。

しかしながら、移住はさまざまな面でハードルが高く、また地域の側も高い要求をしてくるのでさらにプレッシャーが高くなりがちなため、実際のところはなかなか行動に結びつかない。

また、交流人口はどうしても一過性の効果にとどまりがちなことに加えて、地域の無償労働につながりやすく、地域に住んでいる人が疲弊してしまうおそれもあることなどが課題でした。

そこで、両者の間を埋めるものとして新たに生まれてきたのが「関係人口」なのです。




◆地域への想いの変化


高度経済成長期以降、人口の大都市圏集中が加速化しますが、少し前まで地方出身の人たちにあった地域への感情は「過疎地域の出身なんて恥ずかしい」ということだったそうです。

埼玉県で生まれ育った私にとっては、過疎地域での環境は想像できないところです。

ですが、「だサイタマ」と揶揄されてきた埼玉県民であることの「恥ずかしさ」と似ているかもしれないと思います。


しかし、今や地域に向けられる視線が大きく変わっています。

「ふるさと難民」と呼ばれる都会育ちや東京に移住してきた人たちの第二世代は、ふるさとに対する憧れが強いといいます。

UターンやIターンという言葉も盛んに使われるようになりました。

「地方消滅」の増田レポート以降、国家レベルでも地方創生が掲げられ、地域おこし協力隊という受け皿づくりも進んできました。


そんな今の若い世代の特徴を表現する言葉として、雑誌ソトコトの編集長の指出一正氏が「ソーシャル」という言葉を使っています。


「ソーシャル」は社会や地域、環境をよりよくしていこうという行動やしくみを広く意味する、現代のキーワードであるといいます。



リーマンショックや東日本大震災が大きな契機となり、人々の価値観ぎ大きく揺さぶられ、一つのものに頼りすぎない生き方やバランスのとりやすい暮らしという新しい価値観が顕著になりました。



そこにあるのは、今の社会システムへの疑問、その先に未来や自分や家族の幸せはあるのかという疑問です。


地方はただ住むだけ、自分だけの暮らしの場所ではない。

自分も地域もよりよくなるために。自分が関わりたい、役に立ちたいと感じる場所になっていると著者はいいます。

つまり、地域がチャレンジの場になっているということです。


もちろん今までも地域への移住がなかったわけではないと思います。



ただ、近年の移住ブームともいわれる動きに特徴的なのは、若い人が多いということなのではないかと思います。

その理由として、スマホやITインフラがあるからではないでしょうか。

つまり、仕事がどこにいてもできるようになった。

これまでの人間関係を捨てなくてもよく、SNSなどを使えば人間関係を維持しやすい。

都会から地域への移行をソフトランディングできる、または都会と地域の間を行ったり来たりできる環境があるということです。

都会と地域の境界があいまいになったともいえるかもしれません。

一人一人が持つ人間関係が多様化しているのです。

このことにより、圧倒的に地域に関わりやすくなったということが大きいのではないかと思います。

 

 




◆地域は何を目指すのか ~関係人口の評価軸は社会的インパクト

 

著者が提案する関係人口の評価軸としての「社会的インパクト」は以下の4つです。


①ヒト 地域への愛着が増す、ファンや訪れる人が増える


②モノ 地域の特産品の認知度が上がる、売れる


③カネ 地域への投資が増える


④アイデア 地域に新しい知恵やアイデアをもたらす




確かに地域にとってみれば社会的インパクトが生まれなければ、いくら地域の関係人口が増えても仕方ないと思われるかもしれません。

ですが、私は一段下がって、とにもかくにも、まず地域を好きになってもらわないことには関係人口は生まれない。


まずは地域を好きになってもらうこと、そしてその結果その地域の関係人口になってもらうこと自体が今の地域に必要なことではないかと思います。

好きでもない地域のために何かしたい、役に立ちたいと思う人間なんていないからです。

社会的インパクトが生まれるのはそのあとでいい。



これまでの地域はおとなしすぎました。

遠慮がありすぎました。

そして東京への劣等感がありすぎました。


結果として、田舎のことを馬鹿にされて、本来なら憤っていいはずのところを、だって本当に何もないからと自分の地域を卑下するだけだったのです。

それが著者のいう地方にあった「諦め」といっていいほどの姿勢だったのではないでしょうか。




でも今は違います!

オラが村は確かに田舎で辺鄙なところだけど、いいところだ。


美しい自然がある、美味しい食べ物がある。


その土地その土地にしかないもの、その土地の魅力を発見しだしたのです。

それもまた昨今のITインフラの進化によるものが大きいのではないかと感じています。

スマホとインターネットがあれば、訪れて感動した場所や物を写真にとり、それを全世界に発信することが容易にできます。

それが共有され、やがて共感する人たちが出てくる。


そうして地域に住む人たちは、あるとき他所者が発見した地域の宝を「発見」します。

そこでよくばらず、または予算がないので、ないものはないと割り切って、地域の宝を最大限に魅力化することに集中投資する。


その結果、宝がさらに尖った形で磨き上げられ、さらなるファンを獲得してきたのです。


今、成功している地域はそのようにして努力を続けてきた地域だと思います。


海士町しかり、西粟倉村しかり。


東京とは違う自らの生きる道を確かに切り拓いているのです。





◆地域と関係人口には無限の可能性がある!


地域を応援したい、地域のために何かしたいと地域でのチャレンジに集まる人たちは、もしかしたら地域独自の生き様に感化して、自分もそのように生きてみたいと感じたのかもしれません。


つまり東京で大多数の人の中で画一的に匿名で生きるのではなく、自分の道を自分のやり方で生きるという生き方です。

 

また、東京に比べてモノが少ない地域には、自分が入り込む隙間がたくさんあります

完璧な人間の周りには人はいらないように、東京はモノやサービスがあふれかえっているので個性が失われやすく、混み合って自分が入り込む隙間がないくらい窮屈です。

だから、自分が必要とされる人間であることを感じることが少ないのではないかと思います。


その点、地域のある意味隙だらけなところは、行き場(生き場)を探す人にとって魅力的なところなのだと思う。

足りないところはできる誰かに補ってもらえばいい。


そんな大らかさや懐の深さをを感じます。



そんな地域は無数にありますし、たぶん一人一人望む地域は違います。

また、それが一箇所とは限りません

そういう意味で、関係人口により日本各地の地域全域に及ぼす効果は無限の可能性を秘めているように思えるのです。





(書評)『関係人口をつくる』

定価:1,400円+税
ISBN:978-4-86324-118-3




好きな地域の関係人口になりたくなる度 :★★★★★

地域で何かチャレンジできるものがないか考える度 :★★★★★






本邦初の「ローカルジャーナリスト」である田中輝美氏による本書は、「関係人口」ブームの火付け役となった本です。

「誰も名乗っていないから」という理由により、「ローカルジャーナリスト」を自ら名乗る彼女が、自分ブランドを築いていく過程にも興味を惹かれます。

ですが、ここでは、本書のメインテーマである「関係人口」について私なりに理解したところを整理してみました。

好きで応援したい地域(まち)がある。


でも移住となるとハードルが高く感じるという方に、「関係人口」入門編としてオススメです。

本書を読んで、地域への関わり方に答えが見つかるかもしれません。





◆定住人口と交流人口の間の「関係人口」

 

まず、関係人口と似ているなと思った「ファン」との違いについて考えてみました。

あるものが好きという点は同じです。


好きのレベルや行動の段階がいくつもあることや、人によって関わり方が多様なところも一緒だと思います。


違うのは、ファンがある分野の中で好きなもの、例えばプロ野球のうち阪神が好きだったりすると、他のチームに対してはしばしば排他的になる(いわゆるアンチが発生する)ことがある。


また、チームが負け続けることに腹を立て、失望すると野次や中傷など、好きなはずのものに対してマイナスの行動をとることもあるということではないでしょうか。


それに比べて関係人口の場合、好きな地域やまちは一つでなくてもよい。


このことは関係人口によるインパクトの大きさを考えるときに重要な特徴です。

都道府県、市区町村、もっと小さな特定の範囲のまちなど、好きな地域をいくつも自分の中で共存させ
ることができます。


また、当然ながら時と場合によってどの地域の応援をするかも変わってきますが、どこかの地域に対してアンチになることは基本的にはないかと思います。


(基本的にといったのは、ありえるとすれば、ローカルを愛することにより「大都市の象徴としての東京」に対するアンチはありえるかもしれません。)



次に、本書を読んで、以下の3つのキーワードから、関係人口であることの重要性を考えてみました。


それはよそ者」、「自分ごと」、「社会的インパクト」の3つです。




◆他所者の視点



本書で紹介されている、地域で活躍している人たちが総じて他所者の目を持っているところは予想どおりでしたが、内容は非常に興味深かったです。


著者も含め、一度は東京に出て故郷が恋しくなった、故郷のために何かしたいと思っていた人たち。

それに、東京圏に生まれ育ち、いわゆるふるさとや田舎を持たないことによる地方への憧れ、東京に疲れてしまったことによる自己回帰としての地方でのチャレンジ意欲を持つ人たちであったと感じます。


だからこそ地域の魅力を客観的に見られるのではないかと思います。


一方で、客観的なようで自然豊かな地域への憧れというフィルターによって実際の姿とは必ずしも一致しない地域の姿が描かれるおそれがあります。


しかしながらそれは決してマイナスではなく、他者が描く理想像と地域の実際の姿のギャップの中に、地域の課題が顕在化され、取り組むべき方向が見えるというメリットもあるのではないでしょうか。

いずれにしても地域の中にいては気づかないことを、他所者の目で見てもらうことのメリットは絶対的に大きいと思いました。

 




◆自分ごととして考える



人口という分母に「あなたをのせる」という言葉にぶるっときました。


都会、特に東京は人か多すぎる


東京などの大都市では、個性はしばしば埋もれ、自分が匿名であるかの錯覚を受けることがあります。


あるいは自分に価値がない、無力であると劣等感やコンプレックスを抱き、自己を過小評価しがちです。


ベンチャー企業経営者のように確固たる自分の世界と軸を持つ人(ホリエモンさんなど)以外、多くの人はそうではないでしょうか。


そんなとき、関心のあるまちの人口に自分をのせてみる。


すると人口では圧倒的に東京に劣る地域の人口が、自分をのせることで逆転するのです。


(たとえば、「1億2000万人>1万人」が、「1/1億2000万人<1/1万人」になる。)



自分がいる地域での密度が濃くなる
のです。


この発想は素晴らしいと思いました。





 

◆社会的インパクト



東京は人やサービスや商品にあふれ、人、情報、モノの個性が埋没していますが、地域ではその一つ一つがくっきり鮮やかな輪郭で縁どられていることが多いです。


関係人口は、時に地域にはなかった新たなサービスや商品がもたらします。


それも関係人口による社会的インパクトといえます。


また、東京では埋もれて匿名だった人が、地域ではチャレンジする余地が大きい。


そのため、企業の単なる雇われ人ではなく、自分の名前でチャレンジができるのではないかと思います。


それは地域にとっても、自分にとってもインパクトになりえるのです。



さらに、何より関係人口によるインパクトは、総人口に制約されることがありません。


最初に書いたように、一人が複数の地域で関係人口になることが可能だからです。


本書にはこのことは明確には書かれていませんが、関係人口を増やすことを目指すことの最大の利点はこれではないかと思いました。


つまり一人が関係する地域が多いほど、日本全体の関係人口の合計は比例して増えていくのです。



それによって1
億2000万人の人口が、10億にも100億にもなりえるのです。


定住人口を奪い合うゼロサムゲームではなく、日本のそれぞれの地域がともに高まっていける可能性があります。


もちろん地域の努力なしには成り立ちませんが、それが実現できれば人口減による市場の縮小などおそれることなく、市場を拡大しつづける道が拓かれるのではないでしょうか。


そういう意味で、関係人口を増やす取り組みはまだまだ始まったばかりで、この先多くの可能性が秘められていると期待しています。






私はいくつの関係人口になれるかな。

自分にも好きな地域のために何かできることがあるのではないかと考えてみたくなる本です。


(書評)『NEW ELITE ニューエリート』

定価:1500円+税
ISBN:978-4-479-79634-3



だからグーグルは成果を上げているんだと納得できる度 :★★★★★

著者は外国人だけどまったく違和感なくわかりやすく読める度 :★★★★★(うますぎ)




◆クビになる準備はできているか?


第1章ののっけからドキッとさせられます。

今の仕事に不満があるならば、今の仕事でやり方を変えるか、仕事そのものを変えるか」の二者択一しかないと著者はいいます。

しかし、それを現実に二者択一として考えられる状態になっているでしょうか。

今の仕事でやり方を変えるか、仕事そのものを変えるかを問われたとき、私の目指す方向性としては後者です。

しかし、今の私ではそれを天秤にかけられる状態ではないと認識しています。

仕事を変える(転職、起業)のはかなり大きな勇気と覚悟と決断がいる状態なのです。

要は自分に自信がない。

現代はインターネットなどのIT技術が進歩し、その気になれば誰でも自分のやりたいことを実現しやすい世の中になっています。

しかし、そのやり方を身につけている人は多いとはいえません。

昨今の副業ブームで、ようやく動き始めた人が多いのではないでしょうか。

何を隠そう、私自身も重い腰を上げて、遅まきながらブログを立ち上げたところです。

それは、何もしなければ状況は何も変わらないと思ったからにほかなりません。

自分の好きなことを強みに変えていく。

その過程が自分の個性をつくっていくのだと信じています。

本書では、自分と仕事との関わり方について見直すきっかけを与えてくれます。

分は仕事で何を実現したいのか、仕事をどう変えたいのか。

改めて考えてみたい方にお勧めします。



◆著者の考える「ニューエリート」とは


ここで少し著者自身のことについて紹介したいと思います。

著者は、当時、社会主義国だったポーランドで生まれました。

共産主義体制のもとではすべてが「平等」に扱われるため、誰にでも仕事が与えられ、どんなに仕事を頑張っても給料は変わらないという状況だったそうです。

それが1989年に民主化が実現し、資本主義の世の中になったとき、著者の産まれた村では失業率が100%近くに達したといいます。

お金がなかった著者は、出稼ぎにいったドイツで、1日で父親の給料の2~3か月分のお金を手にしたことに衝撃を覚えます。

こうした著者の経験が、本書の背景にあります。

著者の考える、「ニューエリート」像について整理してみましょう。

        〔オールドエリート〕      〔ニューエリート〕 
性質        強欲              利他主義
要望       ステータス        インパクト・社会貢献
行動       計画主義            学習主義
人間関係  クローズド(差別化)   オープン(コミュニティ作り)
考え方     ルールを守る        新しい原則を作る
消費行動   誇示的消費           ミニマリズム




◆アウトプットとプロセス


著者の考える新しい働き方をつくる上で重要なこと、それは

「仕事で自分が出しているアウトプットにプライドがあるか。そしてアウトプットを出すまでのプロセスを楽しんでいるか」

だといいます。

そのカギとなるのが、商品やサービスを受け取った相手の喜びや笑顔を実感できるかだといいます。

よくよく考えてみると、これには2つの仕事への関わり方が影響しているように思います。

何かの本で読んでなるほどと思ったのですが、「成果を生み出すことを楽しむタイプ」と「仕事のプロセスを楽しむタイプ」がいるということです。

前者のタイプの方が圧倒的に少なく、1割くらいなんだそうです。

自分がどちらのタイプかを考えてみると、仕事への関わり方も変わってくるかもしれませんし、そのうえで自分は何が好きなのか、それで何ができるのかを考えてみるとやってみたいことも見えてくるかもしれません。

(ちなみに私はたぶん後者です。成果にはあまり興味がない・・・)




◆本人は自己認識と自己開示が少ない

これには納得しました。

SNSをやっていない人の方が少ないくらいになりつつあるように思えますが、反面、
本名で発信しているのは著名人ばかり。

中には創作活動などで使用して広く知れ渡っているペンネームで活動している方もいますが、自分もなかなか本名で発信しようとまでは考えていません。

Facebookは本名登録が基本ですが、それすら反射的に警戒してしまいます。

ですが、SNSを見ていて思うのは、本名で発信している人ほど自分を認め、生き生き活動しているのではないかということです。

また、失敗を恐れず、前向きに捉えているということも共通します。

失敗から次への反省、改善に活かすことを忘れません。
 
言い換えれば、自分の確固たる軸を持っているということです。



◆女性が職場で最も悩みを相談しにくい相手とは


最後に、これは意外でしたが、内容を読むとなるほどと納得しましたのでご紹介したいと思います。



著者がこれまで耳にした社会人女性からの悩みを整理すると、女性が職場で最も悩みを相談しにくい相手は、なんと女性の上司だといいます。

その背景にあるのは、女性上司が必ずしも女性としての個性のみで管理職になったのではなく、男性側の論理を受け入れ、それに従って仕事をしてきたからということがあるそうです。

つまりは男性と変わらない、むしろ女性性を否定されるという意味ではもっとタチが悪いかもしれません。

いかに旧来の会社でなく、個性の上に成り立つ企業に変身していけるかが今後の企業の課題だし、そういう個性を発揮できる能力を身につけることは個人の課題ではないかと思います。

これには教育が大きく関わる問題です。

画一的なカリキュラムではなく、個人に問題意識を与え、自ら問題を発見し、解決する思考法に導くきっかけの場となること。

それがこれからの教育における重要な課題となります。

近年盛んにいわれていることですが、残念ながらあまり改善されたように思えません・・・。

これからに期待しましょう。




以上、本書を読んだ感想でした。

皆さんも自分の働き方を見直してみませんか。



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