定価:1,500円+税
ISBN:978-4-396-61598-7
◆未来食堂とは
・メニューは日替わり1種類の定食のみ
・着席3秒で食事ができる
・「あつらえ」⇒夜はおかずをオーダーメイドできる
・「まかない」⇒未来食堂最大の特徴。従業員は小林せかいさん1人だが、一度お店に来た人なら誰でも50分お手伝いすることで1食分が無料になるシステム。1日最大7枠。1食無料の権利は「ただめし券」として他の誰かのために置いていくこともできる。
・「さしいれ」⇒飲み物持ち込み自由。ただしお店に半分寄附。
・月次決算、事業計画書はオープン。
・理念は、「誰もが受け入れられ、誰もがふさわしい場所」
◆小林せかいの世界
未来食堂という店やシステムの魅力はさることながら、やはりなんといっても店主である小林せかいさんの人間性が最大の特徴でしょう。
せかいさん自身はあまり個人的な経歴に焦点を当てられるのは好きではないようです。
しかしながら、本書で紹介されているせかいさんの「やりきる力」にすごく感銘を受けましたので、このあたりのエピソードを中心に簡単に紹介させていただきます。
・東工大理工学部数学科卒、IBM、クックパッドの元エンジニア
・高校の時は文系。1年浪人して理系の勉強を始め、大学に合格した。
・飲食店開業にあたって、料理のスキルを上げるため最寄の2つの図書館にあるレシピ本をすべて読破(棚にして6つ分!)
・大学受験の際には、苦手だった英語長文対策として、センター試験ができてからの何十年分の過去問をすべて解いた
・ネーミングやコンセプトを決めるとき、図書館で何十冊も辞典を調べる。見つかるまで何日も通った。
・2016年12月日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー受賞。受賞スピーチのために、マザー・テレサがノーベル平和賞を受賞したときどう話したかなどを研究書レベルまで調べた。
ストイックなほど徹底していますね!
本書では、以下について、せかいさんの考えが述べられています。
・何かをやる際に必要な3つのステップ「考え方」「やり方」「続け方」
・「人が心を動かす瞬間」
・「注目を集めた時に気をつけたいこと」
本書から、何かをやる際に必要な3つのステップ「考え方」、「やり方」、「続け方」について印象に残った部分を紹介したいと思います。
◆考え方
・自分がしんどい思いをして、お客様も大してハッピーになっていないような、誰も得をしていない「当たり前」を見つける
・求められていない苦労はただの自己満足にすぎない
・「それではいけない」と思い込んでいるのが、お客様なのか自分なのかをはっきりさせる必要がある
◆やり方
・既に世にあることを徹底的に学習することによって、新しいことが成功する確率が上がる
・「やる」と「見せる」は常にセット
・判断軸を決めて、決定スピードを上げる
◆続け方
・「無理をしても誰もハッピーにならない」⇒本当にお客様にとって必要なシンドさ以外はすべて価値が低いこと
・「自分に投資する」⇒利益の一部を使い、新しい知見を得てお客様に還す
・変わらないのは理念。変わるのは形態
いやー、これだけスパッと言い切られると、なんだか自分にもできるのではないかと思えてきますね。
言葉の力って不思議です。
いや言葉だけでなく、せかいさんのように実践してやり抜いている人が言うからこそ説得力があるんでしょうね。
うまくいえませんが、本書を読んで気持ちがすごくすっきりした気がします。