少し前の話題になってしまいますが、2019年3月21日にイチロー選手が引退を表明しました。
「いまさらその話題?」と思われるかもしれませんが、イチロー選手が引退会見で語ったことには、ものすごく学びを得られる内容がいくつもあり、温めていたものです。
2018年度を締めくくる最後の記事として、そして2019年度に向けて心構えを新たにする意味を込めて書かせていただきました。
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〇決断に後悔や思い残したようなことは?
「今日のあの、球場での出来事、あんなもの見せられたら後悔などあろうはずがありません。もちろん、もっとできたことはあると思いますけど、結果を残すために自分なりに重ねてきたこと、人よりも頑張ったということはとても言えないですけど、そんなことは全くないですけど、自分なりに頑張ってきたということは、はっきり言えるので。これを重ねてきて、重ねることでしか後悔を生まないということはできないのではないかなと思います」
⇒ 引退したときに、「後悔などあろうはずがない」といいきれるのはすごいことだと思います。
そして、そう言い切れるだけの努力を積み重ねてきて、その努力を自分で認めているからこその言葉だと思います。
毎日、着実に努力を積み重ね、あれだけの実績を成し遂げてきたイチロー選手の言葉だけに重みが違いますね。
〇子供たちに是非メッセージを
「・・・まぁ、野球だけでなくてもいいんですよね、始めるものは。自分が熱中できるもの、夢中になれるものを見つけられれば、それに向かってエネルギーを注げるので。そういうものを早く見つけてほしいなと思います。それが見つかれば、自分の前に立ちはだかる壁に向かっていける、向かうことができると思うんですね。・・・色んなことにトライして、自分に向くか向かないかというより自分が好きなものを見つけてほしいなと思います」
⇒ そういうものが自分にあるって、「幸せ」なことなんじゃないかと思います。
〇「イチメーター」のエイミーさんがいた。ずっと応援してくれたファンの存在は?
・・・ある時までは自分のためにプレーすることがチームのためにもなるし、見てくれている人も喜んでくれるかなと思っていたんですけど、ニューヨークに行った後くらいからですかね、人に喜んでもらえることが一番の喜びに変わってきたんですね。その点でファンの方々の存在なくしては自分のエネルギーは全く生まれないと言ってもいいと思います」
⇒ エイミーさんのような具体的な「誰か」のために頑張れる。
真のプロフェッショナルだと思います。
〇イチロー選手が貫いたもの、貫けたものは?
「……野球のことを愛したことだと思います。これが変わることはなかったですね。・・・」
⇒ そうでなければ続かない!
〇涙がなく、むしろ笑顔が多いように見えたのは、この開幕シリーズが楽しかったということか?
「これも純粋に楽しいということではないんですよね。やっぱり、誰かの思いを背負うということはそれなりに重いことなので、そうやって1打席1打席立つことは簡単ではないんですね。だから、すごく疲れました。やはり1本ヒットを打ちたかったし。応えたいって当然ですよね、・・・だから、結果残して最後を迎えたら一番いいなと思っていたんですけど、それは叶わずで。それでもあんな風に(ファンが)球場に残ってくれて。まぁ、そうしないですけど、「死んでもいいという気持ち」はこういうことなんだろうなと。・・・」
⇒ ファンの想いと自分の目標と、それに届かなかった結果をすべて自覚して、現実を受け入れています。
言い訳するでもなく、今の自分の力だと認めている。
それがイチロー選手の「次」に進むための現状分析力なんだと思います。
〇常々、最低50歳まで現役ということをいってきたが、日本に戻ってもう1度プロ野球でプレーするという選択肢はなかったのか?(その理由を尋ねられて)
「それはここで言えないなぁ。(笑い) ただねぇ50まで、いや最低50までって本当に思ってたし。でもそれは叶わずで。『有言不実行の男』になってしまったわけですけど、でも、その表現をしてこなかったら、ここまでできなかったかなという思いもあります。だから、言葉にすること。難しいかもしれないけど、言葉にして表現することというのは、目標に近づく一つの方法ではないかなと思っています」
⇒ 言葉にすると、不思議なことに言葉にしたことが現実になるというのはよくいわれていることですし、自分も何度か経験してきました。
言葉で、具体的に語ること、表現すること、表にして発信することの大事さを感じます。
〇これまで膨大な時間を野球に費やしてきたが、これからその時間とどう付き合っていくか?
「ちょっと今はわからないですねぇ。でも多分、明日もトレーニングはしてますよ。それは変わらないですよ、僕じっとしていられないから。それは動き回ってるでしょうね。だから、ゆっくりしたいとか全然ないんですよ。全然ないです。だから動き回ってます」
⇒ 引退してもなおトレーニングは続ける。
イチロー選手にとっては、自分の成長を考える上で現役かどうかは一つの要素に過ぎないんですね。
習慣の力のすごさを感じます。
〇イチロー選手の生きざまで、ファンの方に伝えられたことや、伝わっていたらうれしいなと思うことはあるか?
「生きざまというのは僕にはよくわからないですけど、生き方というふうに考えるならば……先ほどもお話しましたけども、人より頑張ることなんてとてもできないんですよね。あくまでも、はかりは自分の中にある。それで自分なりにはかりを使いながら、自分の限界を見ながら、ちょっと越えていくということを繰り返していく。そうすると、いつの日からかこんな自分になっているんだ、という状態になって。だから少しずつの積み重ねが、それでしか自分を越えていけないと思うんですよね。一気に高みに行こうとすると、今の自分の状態とギャップがありすぎて、それは続けられないと僕は考えているので、地道に進むしかない。進むだけではないですね。後退もしながら、ある時は後退しかしない時期もあると思うので。でも、自分がやると決めたことを信じてやっていく。でもそれは正解とは限らないですよね。間違ったことを続けてしまっていることもあるんですけど、でもそうやって遠回りすることでしか、本当の自分に出会えないというか、そんな気がしているので。」
〇最も我慢したものは何だった?
「難しい質問だなあ。僕、我慢できない人なんですよ。我慢が苦手で、楽なこと、楽なことを重ねているっていう感じなんですね。自分ができること、やりたいことを重ねているので、我慢の感覚はないんですけど、とにかく体を動かしたくてしょうがないので、体をこんなに動かしちゃだめだっていって、体を動かすことを我慢することはたくさんありました。それ以外はなるべくストレスがないような、自分にとってですね、ストレスがないように考えて行動してきたつもりなので。・・・」
⇒ 「我慢が苦手」というのは意外な回答でしたが、よく考えればなんとなくわかります。
我慢してやるようなことは続かない。
〇プロ野球選手になるという夢を叶えて、成功してきて、今何を得たと思うか?
「成功かどうかってよく分からないですよね。じゃあどこからが成功で、そうじゃないのかというのは、全く僕には判断できない。成功という言葉がだから僕は嫌いなんですけど。
メジャーリーグに挑戦する、どの世界でもそうですね、新しい世界に挑戦するということは大変な勇気だと思うんですけど、でもここはあえて成功と表現しますけど、成功すると思うからやってみたい、それができないと思うから行かないという判断基準では後悔を生むだろうなと思います。やりたいならやってみればいい。できると思うから挑戦するのではなくて、やりたいと思えば挑戦すればいい。そのときにどんな結果が出ようとも後悔はないと思うんです。じゃあ自分なりの成功を勝ち取ったところで、達成感があるのかといったらそれも僕には疑問なので。基本的にはやりたいと思ったことに向かっていきたいですよね。・・・」
⇒ これもさらっといっていますが、めちゃめちゃ深いですね。
将来のことを考えすぎると何もはじめられない。
今に集中して、今できることを全力でやっていく。
それが後悔を生まないことだということでしょうか。
果たして今の自分にそれができているかというと・・・。
(以上、ベースボール専門メディア「Full-Count」の記事を参考にさせていただきました)
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同じことを私が言うのとではまるで重みが違うはず。
語ったことを、まさにイチロー選手が自ら実践し、体現してきたからこそ、これだけ心に突き刺さるのだと思います。
毎日、同じことを繰り返すこと。
でもそれは決して「同じこと」ではなくて、おそらく1日1日ほんのわずかずつ違う。
すべてが小さなトライ・アンド・ラーンであり、小さな成長を積み重ねているんだと思います。
イチロー選手の実行、努力、やり抜く力、考える力、生き方に心から尊敬します!
お疲れさまでした。
そしてありがとう!