いやー、この本は面白かった!
内容はもちろん、読み物としても面白くて、グイグイ引っ張り込まれましたねー。
思い返してみると、「編集思考」のようなことをこれまで意識してきたような気がします。
編集者とは「偉大なる素人」で、「空気を読み切った上で、空気を打ち破る力」を持つ人間
編集思考を極めた人とは、誰よりも公共の利益のために生き、ユーモアにあふれた人
このへんの言葉なんか、勇気づけられて、非常にお気に入りの言葉になりました
また、これから起業する上では、
権力や権威があると、自ら決断して、他の人を動かすことができるようになる。決められるということはそれ自体が大きな価値
という言葉もあり、大いに気づきがあった内容でした。
↓ 本書の内容紹介はここから
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「⇒」は個人的な気づき、学び
◎本書のポイント
・「編集」とは、「セレクト(選ぶ)」「コネクト(つなげる)」「プロモート(届ける)」「エンゲージ(深める)」の4つのステップによって、ヒト・モノ・コトの価値を高める行為
・自分という存在を素材として客観視し、強みを「選び」、そのときどきで自分に合った会社やコミュニティと「つながり」、自分という存在を「届け」て、関係性を深めて、仕事や居場所やキャリアという「人生の編集」が、これからより大切になっていく
・現代日本の「縦割り病」の3つの原因は、「人材の多様性の乏しさ」「大学教育のあり方」「日本型企業のカルチャー」である
・「経済×テクノロジー×文化」のトライアングルを編集することで、横串で多彩な価値を生み出すことにつながり、これからの時代に個人が躍動するカギ、日本を変えるカギになる
・編集者とは「偉大なる素人」で、「空気を読み切った上で、空気を打ち破る力」を持つ人間
・編集思考は大きく「セレクト(選ぶ)」「コネクト(つなげる)」「プロモート(届ける)」「エンゲージ(深める)」の4つのステップに分けられる
・人のいいところを見つけられる人のところには、いい人が集まってくる
・エンゲージのポイントは、「コミュニケーション」「コミュニティ」「コンシステンシー」「カジュアル」の4つのC
・コミュニケーションは、より深いエンゲージを築くための切り札であり、必須条件
・関係性の深さと質を高める上で、ますます重要になるのが「リアルな場を持つこと」
・「とにかく深く、密度濃く」ではなく、つかず離れずの絶妙な距離をとることが大切
・編集思考の土台となるのは、「教養(知のネットワーク)」「人脈(人のネットワーク)」「パワー(権力と権威のネットワーク)」の3つの能力
・「教養がある」とは、「最先端」と「普遍」の引き出しを多く持っている状態
・権力や権威があると、自ら決断して、他の人を動かすことができるようになる。決められるということはそれ自体が大きな価値
・編集思考を磨く6つの行動は、「古典を読み込む」「歴史を血肉とする」「二分法を超克する」「アウェーに遠征する」「聞く力を磨く」「毒と冷淡さを持つ」
・編集思考を極めた人とは、誰よりも公共の利益のために生き、ユーモアにあふれた人
・編集思考の最も基盤にあるのは、個人の「熱い思い」であり、好きだという愛。
→ 好きという感情があってこそ、人やモノやコトのいいところが見えてきて、どことどうつなげるかという直感が生まれてくる
・編集思考を存分に発揮するためにも、とことん自分の好きなことにこだわる
◆「編集」とは何か?
・「編集」とは、「セレクト(選ぶ)」「コネクト(つなげる)」「プロモート(届ける)」「エンゲージ(深める)」の4つのステップによって、ヒト・モノ・コトの価値を高める行為
・自分という存在を素材として客観視し、強みを「選び」、そのときどきで自分に合った会社やコミュニティと「つながり」、自分という存在を「届け」て、関係性を深める
→ 仕事や居場所やキャリア=「人生の編集」が、これからより大切になっていく
・多様性はバラ色ではない
→ これまでは目標が降ってきたのに、これからは自分で目標を決めないといけなくなる
〇なぜ今、編集思考か
・「縦割り病」は、日本の組織の負けパターンである
→ 「縦割り」とは組織の官僚化である
→ 組織本来の目的を見失い、全体よりも自己の利益を優先してしまう
・現代日本の「縦割り病」の3つの原因
①人材の多様性の乏しさ
・偏差値別、男女別、地域別に分かれすぎた教育システムが原因
②大学教育のあり方
・複数の専攻が選べないことが最大の問題
③日本型企業のカルチャー
・戦後の終身雇用、年功序列、企業別労働組合が、日本の縦割り病をさらに重くした
・「経済×テクノロジー×文化」のトライアングルを編集することで、横串で多彩な価値を生み出すことにつながり、これからの時代に個人が躍動するカギ、日本を変えるカギになる
→ その象徴的な人物は、落合陽一氏
・「経済×テクノロジー×文化」とは、「社会科学×自然科学×人文科学」に置き換えられる
⇒ 文系・理系にとらわれず、両者を行き来したり、統合できる能力が強みになる
〇編集者とは「偉大なる素人」である
・編集者とは「偉大なる素人」で、とくに何の専門性もない人間。あらゆる分野に好奇心を抱く、多動な存在であり、単なる「つなぎ屋」
→ 素人だからこそ、いろんな人や事業をフラットに見ることができ、先入観やしがらみから自由になりやすい
・「偉大なる素人」に最も求められるのは、「空気を読み切った上で、空気を打ち破る力」
◆編集思考の4ステップ
・編集思考は大きく「セレクト(選ぶ)」「コネクト(つなげる)」「プロモート(届ける)」「エンゲージ(深める)」の4つのステップに分けられる
(1)セレクト(選ぶ)
①いいところだけを見て、掘れ抜く
・他の人が気づいていない、本人すらも気づいていない「未開拓のいいところ」に気づけるとより価値は高まる
・人のいいところを見つけられる人のところには、いい人が集まってくる
②直感をダブルチェックする
・惚れたという「直感」が正しいかを、現場と論理と他人の目によって丁寧に検証する
③両極に振る
・一方では自分と共通性が高く、距離を近づけやすいタイプのものを取り、もう一方では、自分とはほとんど共有するものはないものをあえて取りに行く
(2)コネクト(つなげる)
①「古いもの」と「新しいもの」をつなげる
・文化は、時が経てば経つほど熟成して味が出る。そうした色気を「新しいもの」とつないで、豊潤な空間やモノを創っていけば、心も懐も豊かになる
②「縦への深掘り」と「横展開」でつなげる
・「縦への深掘り」型とは何かにのめり込むオタク型、「横展開」型は幅広い分野に精通するジェネラリスト型
③文化的摩擦が大きいもの同士をつなげる
・文化の対立によって空中分解するおそれはあるが、その摩擦をどうにか乗り越えられた場合、似た文化の二者がくっついたときよりも、断然大きなインパクトを生み出す可能性がある
(3)プロモート(届ける)
①Timeline(時間軸)
・いかに素材をうまくつなげても、タイミングを誤るとすべてが水泡に帰す
・時間軸を編集する力は、戦略と経験とセンスと運がモノを言うアート
②Thought(思想)
・単なる思いつきのアイデアではなく、深い思考を経て体系化されたビッグアイデアやコンセプトであり、より長い時間軸で通用するもの
③Truth(真実)
・嘘をつかず、その人のありのままの姿を、取り繕わずに伝える
・真実を伝える上で、「しゃべり」、語る力、対話する力がより重要にな
⇒ 語るのは自分を表現する手段でもある
(4)エンゲージ(深める)
・エンゲージのポイントは、「コミュニケーション」「コミュニティ」「コンシステンシー」「カジュアル」の4つのC
①コミュニケーション
・より深いエンゲージを築くための切り札であり、必須条件
②コミュニティ
・ファンコミュニティは「関係の深さ(親近感)」「質」「ファン数」の3つで定義される(佐渡島傭平)
・関係の深さと質が高まれば高まるほど、ユーザー同士のコミュニケーションも活発化して、自律的にコミュニティが発展するようになる
・関係性の深さと質を高める上で、ますます重要になるのが「リアルな場を持つこと」
→ 効率の良いネットとデジタルにリアルを組み合わせる
⇒ ネットとリアルを掛け合わせるのが最強
③コンシステンシー(一貫性)
・本音なのか、本物なのか、嘘がないのか、言動には通底する思想があるのかという一貫性が、ターゲットとする顧客や従業員からの信頼と共感を生む
・戦略や戦術は臨機応変に変えても、思想や哲学は容易に変えてはならない
④カジュアル
・「とにかく深く、密度濃く」ではなく、つかず離れずの絶妙な距離をとることが大切
・追えば追うほど逃げられ、労われば労わるほど頼られるので、鷹揚に構えているほうが、フラットでさわやかな関係が創れる
⇒ 依存する関係であってはいけない
⇒ WIN-WINの関係といってもいいかもしれない
◆編集思考の鍛え方
〇編集思考の3つのリソース
・編集思考の土台となるのは、「教養(知のネットワーク)」「人脈(人のネットワーク)」「パワー(権力と権威のネットワーク)」の3つの能力
①教養(知のネットワーク)
・教養=自然科学の知+社会科学の知+人文科学の知
・「教養がある」とは、「最先端」と「普遍」の引き出しを多く持っている状態
②人脈(人のネットワーク)
・人脈を築く上での一つのポイントは、世代、業種、文化、性別を超えて、自分と異なる人とのネットワークを大事にすること
③パワー(権力と権威のネットワーク)
・自分のパワーによって動員できるヒト、モノ、カネがなければ、いかにアイデアが優れていても、日の目を見ることはない
・インパクトのあることをしたいと思ったら、旺盛に権力や権威を求めなければならない。権力がないと人間は滅亡する。権力とは生命力。権力こそが、人に若さと緊張感をもたらす
・権力や権威があると、自ら決断して、他の人を動かすことができるようになる。決められるということはそれ自体が大きな価値
⇒ 確かに!
⇒ 自分ですべて決められる=自分がすべての責任をとるということ
⇒ 起業するということは、権力と権威を持つことにつながる
〇編集思考を磨く6つの行動
①古典を読み込む
・読書こそ、編集力の足腰を鍛え上げる最強のトレーニング
・日本とアメリカのエリートの圧倒的な差は、「教養」にあり、その原因は「読書の量と質の差」である
・古典は、教養の柱である「普遍性」を学ぶまたとない教材
②歴史を血肉とする
・歴史はネタの宝庫。歴史を血肉としているかどうかで、引き出しの数が変わる
・過去から続いてきた伝統を次世代につなげるのも、編集思考の大切な役割
③二分法を超克する
・二分化させず、混沌とした状態を包摂するのが、東洋的な考えの強みで、編集思考にもこうした思想が大事
・「いろんな人やモノが集まって、なんだかよくわからないけれど、おもしろそう」という感覚を大事にする
→ 東洋では、論理的に説明しなくても、感覚的に理解されやすい
・これからの時代において、二分法を超えて包摂していく東洋的な思想はますます輝きを増していく
⇒ 民俗学はその集積ともいえる
④アウェーに遠征する
・普段とは違う場所、自分がマイノリティになる場所に行くと、神経が鋭敏になる
・地元を出ること、日本を出ること
・価値観が広がる
⑤聞く力を磨く
・編集思考を鍛えるためにもっとも大事なのは、聞き上手になること
→ 聞き上手になれば、いろんな人の力を引き出すことができる
・モデレーター的な仕事が求められる機会はどんどん増えているのに、それをうまくことせる人がほとんどいない
・モデレーターは、自分が専門的な知識がない分野でも、相手のいいところをつないで、新しい価値を生むことができる
・相手のいいところを引き出すために欠かせないのが、聞くスキルと質問するスキル
・聞き上手になるための6つのコツ
「3分の1の法則」・・・自分の聞きたいことを3分の1、相手が話したそうなことを3分の1、観客や視聴者が聞きたそうなことを3分の1
「人は話すほど相手を信頼しやすくなる」
「よく調べるが、調べすぎない」・・・人は自分のことを知ってもらうと嬉しい
「不意打ちで「素」を引き出す」・・・初対面やあまり親しくない仲の場合は、矢継ぎ早に質問をたたみかける
「位置エネルギーをコントロールする」・・・自分の「位置エネルギー」を意識して、話しやすい環境を意図的に創り出す
「悪口を言う」・・・悪口は蜜の味。悪口にこそ、その人の価値観が表れる
⑥毒と冷淡さを持つ
・編集思考は、鋭く批評する思考でもある
・惚れた相手に対しては、その長所を伸ばすためにも、決定的な弱点をつぶすためにも、意見は率直に伝えなければならない
・編集思考の大前提として、みなに好かれることは不要
→ 嫌われてもいい。冷淡でもいい。人の付き合いにも、あえてポートフォリオを組む
・そんな「毒」を含みながらもわかりあえる関係の他者をどれだけ持てるかが、人生の豊かさとおもしろさを決める
◆編集思考は、誰かのために使うもの
・人間が自分のためだけに生きていくことができるというのは幻想
・自分のキャリアに邁進できたり、自分の人生を充実させるためにばかり行動できるのは30代まで。それ以降の人生は、生きるのではなく、行かされる。選ぶのではなく、選ばされる。知るのではなく、知らされる
・「人間の天分というものは、自分本位の立場でこれを発揮しようとする程度では十分なことはできない。自分を超えたある何者かに自己を捧げるという気持ちがなければならない」(森信三)
・編集思考の究極の姿は、自らを天の中に位置づけ、自分をもコマとして差配すること
→ メタな視点から自分を眺めて、自分の活かし方を考える
→ 自分を超えたチームの利益、組織の利益、日本の利益、パブリックな利益を意識する
・「ユーモア」は、自分を相対化して、その状況を笑うことから生まれるもの
→ 編集思考を磨くためにもユーモアのセンスは欠かせない
・編集思考を極めた人とは、誰よりも公共の利益のために生き、ユーモアにあふれた人
・編集思考の最も基盤にあるのは、個人の「熱い思い」であり、好きだという愛
→ 好きという感情があってこそ、人やモノやコトのいいところが見えてきて、どことどうつなげるかという直感が生まれてくる
・編集思考を存分に発揮するためにも、とことん自分の好きなことにこだわる