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2020年1月10日(金)に開催されたシンポジウム「関係人口とつくる地域の未来」(主催:国土交通省)の参加レポート第3弾です。

第1弾はこちら

第2弾はこちら




テーマが「関係人口」、そしてコミュニティデザイナーの山崎亮さんや、ソトコト編集長の指出一正さんが登壇するとあっては、もう参加するしかないでしょう!





関係人口は、めちゃくちゃ面白い!

そして、登壇者の人たちの話も面白かった!



ここでは、シンポジウムの内容を私なりにまとめて公開しています。

ボリュームが多いので、全4回の連載でお送りします。




3回目となる今回は、明治大学農学部教授の小田切徳美さんによる基調講演「国交省アンケートから見る関係人口」を取り上げます。






【プログラム】


(1)特別講演「コミュニティデザインと活動人口」 ← 第1回
   登壇者:山崎亮 氏(Studio-L代表、コミュニティデザイナー)


(2)基調講演①「関係人口の新傾向」 ← 第2回
   登壇者:指出一正 氏(株式会社sotokoto online、ソトコト編集長)


(3)基調講演②「国交省アンケートから見る関係人口」 ← 第3回(今回はココ)
   登壇者:小田切徳美 氏(明治大学農学部教授)


(4)パネルディスカッション「関係人口をめぐる新しい動き」 ← 第4回
   コーディネーター:小田切徳美 氏
   コメンテーター:山崎亮 氏
   パネリスト:指出一正 氏 ほか3名



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↓ レポートはここから
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◆基調講演「国交省アンケートから見る関係人口」

登壇者:小田切徳美 氏(明治大学農学部教授 ライフスタイルの多様化等に関する座談会座長)



〇関係人口を巡る課題


①関係人口の概念はは広がっているが、量的な把握が不十分

②関係人口といわれる人たちは、いったい地域で何をしているのか?





〇国土交通省による関係人口調査の概要



・三大都市圏の関係人口の実態把握

・インターネットアンケートによる約3万人の大量サンプル
 → 約5600万人のうち3万人
 → 有効回答数 約28000人(抽出率 約1/2000)
 → 2000倍するとおおまかな実数になるとの想定

・調査内容
 属性データ
 居住地域での地域活動への参加
 関わり先のステータス
 関わり先での関わり方 など




〇三大都市圏の関係人口の実態(アンケート結果から)



・三大都市圏には、いずれかの地域に関わりを持つ1000万人超の関係人口がいる
 → 日常生活、通勤・通学以外に定期的・継続的に関わりを持っている地域がある
 → かつ二拠点・他拠点居住ではない人を関係人口と定義


・多様な関わり方をしている
 → 「地域産品の購入や飲食」が最多、次に「趣味や地域環境を楽しむ」が続く


「趣味・消費型」「参加・交流型」「就労型」「直接寄与型」に分類
 → 地域との関わり方の度合いは、「直接寄与型」>「就労型」>「参加・交流型」>「趣味・消費型」
 → 最も地域への関わり方が深い「直接寄与型」は1割強で最も少ない
 → ただし、人数で見るとそれでも100万人を超えると想定される


・関係人口の関わり先地域までの移動時間は2時間未満が多い


・訪問頻度は「年1回」から「年数回」がそれぞれ3割弱
 → 意外なのは、1回の滞在時間は宿泊を伴わない日帰りが5割を超えていること
 → 関係人口の伸びしろといえる
 → 宿泊してもらうにはどうしたらいいか?


・訪問人数は、「自分一人」と「家族」がそれぞれ5割超(複数回答)
 → 意外にも家族訪問が多い(関係家族、関係ファミリー)
 → 仲間が仲間を呼ぶ、関係人口が関係人口を連れてくるという視点が考えられる


・関係人口の関わり先は首都圏が約3割(うち東京が最多)
 → 地方圏は数%にとどまる(ただし、実数としては1%で数十万人単位になる)


・「直接寄与型」は地域での主体的な活動を担っている人が多い
 → ホスト的役割、事務局


・「直接寄与型」が考える関係人口に必要な要素は「①時間」「②場所」「③金」「④仲間」「⑤機会」


・「参加・交流型」は、もともとの地縁・血縁関係がベースになる人が多い


・関係人口は、関係先を移住先として魅力を感じている
 → ただし、必ずしも移住する必要はないことに注意
 → 地域の関係人口としてファーストステップを踏むことで、移住者が生まれる可能性が高まるということ




◎気づき



・関係人口をつくるということは、その人たちが新たな関係人口を地域に連れてきてくれる可能性を切り開くこと


東京に近い順に割合が多く、思ったより地方に流れている割合は少ないと感じた
 ⇒ ただ、これは東京に近いほど、関係人口の入口に近いということで、まず地域への興味・関心から、東京、神奈川、埼玉、千葉で気軽に地域に関わっている人が多いということではないか
  ⇒ 当然ながら東京が最も人口が多く、そこから山のすそ野のように広がっているイメージ
  
⇒ 埼玉は東京から近く、関係人口から見ればハードルが低い
  ⇒ 埼玉県は、関係人口になるための要素の多くで、条件を満たせる(時間、金、仲間)
    近いので移動に時間がかからない
    近いので移動に要するお金がかからない
    東京に近く、人口も多いので、関わる仲間も多い


・地域に関わりが深いほど、地域に関係人口を呼ぶこむ側としての働きかけの役割を担っている


・まずは地域の関係人口を増やすことで、その中から移住者が生まれてくる素地ができる


・地縁・血縁関係があると、地域を身近に感じているので気軽に関わりやすい
 ⇒ 反面、「参加・交流型」にとどまるということは、地縁・血縁関係があることにネガティブな側面がある可能性もある
 ⇒ 地縁・血縁関係からくる身近さを土台にしながらも、地域への愛着を高めていける仕掛けが必要



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↑ ここまで



今回の国土交通省の調査は、関係人口の最大の課題ともいえる定量的な把握を試みたものということで非常に興味深いですねー。

ただし、おおまかな概要は把握できるものの、実態把握とまではいえないでしょう。

地域ごとの関係人口の関わり方をいかに把握し、見える化するかということが今後の大きな課題だと思います。

私がそう思うのは、次の2つの理由からです。


①各地域の取組の成果把握として不可欠な要素である

②その地域に関心がある人にとって、そこにどのような関係人口がいてどんな活動をしているかを知ることができるということが地域に関わる大きな後押しになる




もちろん地域ごとの関係人口の把握の仕方は、各地域でいろいろなやり方があると思います。

地域えいろいろなやり方を試して、その知見をシェアできると、日本全体でノウハウをストックできるので、これはぜひ取り組んでいきたいですね。





まずは残りのノートまとめなきゃ。

また次回をお楽しみに。