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これぞ観光関係者の必読書!! 


まさに「観光ブランドづくり」の決定版ですね。

最近読んだ観光系の本では断トツのナンバーワンです。



まず、文章が非常にわかりやすくて論理的、語り口もシンプル。

そして何より、内容がすばらしい!



著者が述べることは非常に単純明確かつ的確で、前書きの時点で付箋が大量になりました(汗)

最初から最後まで、学びがギッシリつまっています!

おかげで、かようにも長文になってしまいました・・・。



「観光振興」の真の目的とは何か?

お客さんが「行きたい!」と思う地域をつくるためには、どうすればいいのか?

こうした観光関係者の悩みをスパッと解決してくれます。



いや、本当に悩みが解決するのは、ここに書いてある内容を実践し、成果が出たときでしょう。

でも、この内容に沿ってやれば、きっと成果が出るのではないかと思わせてくれます。

それほどに力強く、明確な方向性を示してくれます。



とにかく地域を良くしたいと思っている観光関係者、行政の方にオススメしたいです!

いやホントに。

これ読んだら、行政関係者は自分のところのまちづくり計画をすべて見直したくなるんじゃないか・・・





↓ 内容紹介はこちらから
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◎本書のポイント


・観光のブランドをつくるためには、売り手視点の「誘客発想」から、買い手視点の「地域引力の向上」へ視点を転換することが必要

・観光施策の目的は、「地域が”元気”になること」「住む人、訪れる人が”幸せ”になること」
 →「観光客の”数”が増えること」ではない

「モノ観光」=「見る観光」はリピートや長期滞在につながりにくく、「コト観光」=「感じる観光」は、リピートにつながる

「明確なイメージ」が観光地のブランド力を向上させる最重要ポイント

・知名度はブランドではない。イメージが浮かぶのがブランドである

ブランドづくりは「らしさ」の追求である

・地域がブランドになるためには、一つでもいいので、他の地域にはない尖りをつくること
 → 小さな地域ほど尖りが大切

・ブランドづくりでは、「オンリー1」であるとは「その分野でナンバー1」であること

・「足し算思考」と「平等主義」ではブランドは生まれない
 → ブランドを生み出すために大切なのは、「引き算思考」と「メリハリ」

・地域引力を生み出すためには、顧客が認識する「強み」を把握し、それを徹底的に伸ばす発想が必要

「観光される国」よりも「観光する国」の方が、幸福度が高い

国民の観光の促進が、人々の幸福度の向上につながる

真の「観光立国」は、観光に来る人が多いだけではなく、「観光を楽しむ国民が多い国」である

・観光客の多さが、観光客の大きな不満要因になる

質の観光への転換には、滞在の促進」「リピートの促進」「地元消費の促進」への発想の転換が必要
 → 滞在客増加×リピート客増加=地元消費増加

持続可能な観光に必要なのは、「顧客」「地域資源」「お金」の3つの循環

「質の観光」→「循環する観光」→「持続可能な観光」

・質の観光のメインターゲットは、リピート志向、かつ、滞在志向の観光客

・リピート志向×滞在志向の観光客を引き付ける3つの要素は、「リラックス」「食・グルメ」「出会い・交流」






↓ ここから詳細なエッセンス紹介(注意:長いです。とても)
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「⇒」は個人的な気づき、考え



◆引力ある地域づくりのための序章(「はじめに」より)


〇観光客視点の「地域引力の向上」


・観光客は「誘客」されてきたのではなく、それぞれの地域が持つ「何か」に引きつけられたからこそ、観光に来ている

・観光のブランドをつくるためには、売り手視点の「誘客発想」から、買い手視点の「地域引力の向上」へ視点を転換することが必要

・モノ(商品)のブランドづくりと異なり、観光のブランドづくりにおいては、とくに、「引力」を生み出すという発想が大切になる
 → なぜなら、地域は動かすことができないから

⇒ 考えてみると、当たり前のことだけど、すごく重要なこと



〇観光の目的は、観光客の増加か?


・地域が人々を引きつける力、すなわち「地域引力」を生み出すことこそが、「観光のブランドづくり」の発想


・地域引力があるから、観光客が引きつけられるのであり、その逆はあり得ない
 → 「地域引力」(原因)→「観光客」(結果)

・観光における数の追求は、遅かれ早かれ限界が来る
 → モノと違って地域は増やすことはできないし、大きくすることもできない

・観光施策の目的は、「地域が”元気”になること」「住む人、訪れる人が”幸せ”になること」
 →「観光客の”数”が増えること」ではない

⇒ ここを取り違えてしまうと、観光による弊害が起こる

⇒ オーバーツーリズムや過剰投資の問題、おもてなし疲れ・・・


・観光業だけでは地域引力は生まれない
 → 地域引力は、地域資源の掛け算である

・この10年で、訪日旅行者数は2000万人以上増加した
 → 「オーバーツーリズム」と呼ばれる過剰な観光客がもたらす弊害は現実化し、観光客数の増加が地域の豊かさや、地域の人々の幸福につながらないという声も聞くようになった






◆第1章 誘致・誘客からマーケティングへ



・「ぜひ、来てください」を誘致・セールスだとすると、「ぜひ、行きたい」がマーケティング
 → 「来てください」は売り手発想の想いであるが、「行きたい」は観光客の想い

・観光客と向かい合うのではなく、観光客と同じ方向をみて、観光客に「価値」ある提案をすること
 → 消費者が求めているのは、「観光サービスという”商品”」ではなく、「観光が、自分にもたらす”価値”」



〇消費者は、観光に何を求めているのか


・「全国消費者1000人調査」のランキング
 → 「癒やし・やすらぎ・リラックス」(273人)
   「非日常」(154人)
   「リフレッシュ・気分転換」(96人)
 → 「おもてなし」は1000人中1人もおらず、直接的な観光動機にはならない

・「モノ観光」=「見る観光」はリピートや長期滞在につながりにくく、「コト観光」=「感じる観光」はリピートにつながる





◆第2章 観光ブランドづくりとは何か



〇ブランドは論理を超える

・「長野県」には行きたくないが、長野県にある「軽井沢」には行きたい人がいる、「岐阜県」には行きたくないが、岐阜県にある「飛騨高山」には行きたい人がいるという論理的矛盾
 → ブランドは論理を超える
 → 地域としては都道府県の方が大きいが、ブランドで見ると特定の地域の方が大きい

・長野県、栃木県、岐阜県は「地名」、軽井沢、日光、飛騨高山は地名を超えた「ブランド」
 → インターネットで検索すると、「地名」では地図が、「ブランド」では地域ならではの写真が表示される





◆第3章 どうすれば、強いブランドが生まれるのか


・消費者が観光地を評価する9つの因子
 → 「明確なイメージ」「歴史文化」「リラックス」「ならではの食」「低コスト」「交流」「接客」「自然」「体験」

「明確なイメージ」が、観光地のブランド力を向上させる最重要ポイント

・次にブランド力に影響を与えているのは、「ならではの食」

・「低コスト」は地域のブランド力に有意な影響をもたらしていない

⇒ ビジネスでもまったく同じ。価格競争は消耗戦


・「自然」も地域のブランド力に有意な影響をもたらしていない
 → 「自然」はどの地域にもある。地域引力を生み出すためには、掛け算の発想が必要




◆第4章 イメージが浮かばなければ選ばれない


・地名を聞いて「イメージが浮かぶ」と「観光に行ってみたい」とは相関関係がある
 → イメージが浮かばなければ、選ばれない

・足し算するほど、イメージは薄くなる
 → 「特産品詰め合わせセット」や「幕ノ内弁当の地方版」はブランドにならない

・知名度はブランドではない
 → イメージが浮かぶ=ブランド





◆第5章 「ブランド」と「地名」は何が違うのか


・地域が「ブランド」か単なる「地名」かの判断方法

①地名を聞いたときに、独自のイメージが浮かぶか

②「そうだ、〇〇に行こう」に地名を入れて成り立つか

③「らしさ」を言語化できるか

→ ブランドづくりは「らしさ」の追求である






第6章 地域に「尖り」はあるか



・地域がブランドになるためには、一つでもいいので、他の地域にはない尖りをつくること
 → 尖る地域が増えることで、国全体として「多様性」が生まれる

・小さな地域ほど、尖りが大切
 → 「尖」は「大」のうえに「小」がある。小さな地域が大きな地域を超えるには尖りが欠かせない

 ⇒ まさしくビジネスでいうところのランチェスター戦略にほかならない


・ブランドづくりで、成功事例の「ヨコ展開」はあり得ない
 →「ヨコ展開」ができるのは真似されやすいということ

・尖るために「絞る」「強みを伸ばす」「磨く」

・ターゲット層が住む地域「ないもの」で地元に「あるもの」を探す






第7章 何かで、一番になろう



・ブランドでは、「オンリー1」であるとは「その分野でナンバー1」であること

・一番になるには、「引き算」「掛け算」すること





第8章 強いブランドには、「シンボル」がある


・独自のシンボルがあればイメージが浮かびやすくなる
 → イメージが浮かべば地域引力が生まれる

・地域のシンボルになるための条件は、「独自性があること」「イメージが浮かびやすいこと」

・ターゲット層に対して、シンボルのプロモーションを行い、シンボルを戦略的につくりあげる





第9章 「引き算」で、引力を生み出そう



・引き算をすることで、イメージが明確になる=「引力」は強くなる

・人の目に複数の景色が同時に入ってくることはない
 → 一つの景色を見せて、そこにいる自分をイメージできると行きたくなる

・「足し算思考」と「平等主義」ではブランドは生まれない
 → ブランドを生み出すために大切なのは、「引き算思考」と「メリハリ」





第10章 「食」がブランドを強くする


・海外が認識する日本の強みベスト3は、「culture」「people」「food」

・日本人が考える日本の強み「治安が良く安全で、おもてなしや親切の心があり、四季のある自然豊かな国」
 → 売り手が考える「強み」と買い手が認識する「強み」が一致していない

・地域引力を生み出すためには、顧客が認識する「強み」を把握し、それを徹底的に伸ばす発想が必要

・消費者に「食」でイメージを浮かべてもらうためには、「ならではの食」「名物料理」などが不可欠

・食を活用した地域のブランドづくりで大切なのは、「食べるモノ(食物)」ではなく、「食べるコト(食事)」である
 
⇒ 生産量を増やすのではなく、食事できる場所を増やす。商品を増やす。露出を増やす。





第11章 ブランドづくりの6ステップ


①組織づくり、ベクトル合わせ
・「ブランドとは何か」「ブランドづくりとは何か」「その目的は何か」をメンバーで共有すること

②地域の現状分析

③ブランド・アイデンティティの構築と共有
・「どのような地域になりたいか」
・ブランド・アイデンティティの3要素は、「価値性」「独自性」「共感性」
 → 「価値性」とは、売り手ではなく、顧客にとって価値があるか
・どの地域でもあてはまるアイデンティティでは、強いブランドは生まれない

④ブランド戦略の実行
・ブランド・アイデンティティとの統一性が必要
・一貫性を持って実行すること

⑤ブランド評価・モニタリング
・ブランドの「ありたい姿」と「現実」とのギャップを把握する

⑥磨き上げ





第12章 観光立国は「幸せな国」か


〇「観光大国」は幸せな国か?

・外国人旅行客数が多い「観光大国」の幸福度を見ると、観光大国ベスト10のうち、幸福度ランキングのベスト10に入っている国は一つもない


〇「観光立国」は幸せな国か?

・観光が国の基幹産業になっている「観光立国」の幸福度を見ると、観光立国ベスト10のうち、幸福度ランキングのベスト10に入っている国は一つもない


〇「観光する国」は幸せな国か?

・「観光する国」(旅行にお金を使う国)のベスト10のうち、幸福度ランキングのベスト10に入っている国が6か国もある


「観光される国」よりも「観光する国」の方が、幸福度が高い

・国民の観光の促進が、幸福度の向上につながる

真の「観光立国」は、観光に来る人が多いだけではなく、「観光を楽しむ国民が多い国」






第13章 「量の観光」から「質の観光」へ


〇量の観光

・「観光」+「混雑」「人混み」「渋滞」「人が多い」=不満

・観光客の多さが、観光客の大きな不満要因になる

・観光において、「量」と「質」は両立しにくい

・観光において、観光客はサービスの受け手でもあり、生産者でもある
 → 観光客自身が、観光地の品質を決める重要な役割を果たしている

・「量の観光」は、「ブランド力強化」→「観光客増加」→「オーバーツーリズム」→「地域イメージ低下」→「ブランド力低下」というパラドックスを生む



〇質の観光への転換

・滞在の促進
 → 数多くの観光客に来てもらうよりも、より長く滞在してくれる観光客に来てもらう

・リピートの促進
 → 数多くの観光客に来てもらうよりも、一人ひとりの観光客に繰り返し来てもらう

・地元消費の促進
 → 数多くの観光客に来てもらうよりも、地元で、一人ひとりの観光客により多く消費してもらう


・滞在客増加×リピート客増加=地元消費増加




⇒ 良質なお客さんは良質なお客さんを呼ぶ

⇒ 「数」を求めるとお客の質は下がり、「待つ」という不満が生じて良質なお客さんが逃げる






第14章 「質の観光」「持続可能な観光」をどう実現するか


・持続可能な観光のキーワードは3つの「循環」

①「顧客」の循環
・既存顧客のリピート
・小さな地域の方が、一人ひとりの顧客お「きずな」を強めやすいため、「顧客の循環」では有利になる

⇒ まさにランチェスター戦略。小さな企業は顧客密着型の強みをつくれる


②「地域資源」の循環
・リピート志向の観光客は、「地元食材を利用してほしい」というニーズを持っている
・「顧客の循環」と「地域資源の循環」は両立しやすい


③お金の循環
・お金が地元で循環することは、地域経済活性化の重要なポイントである
・地元消費を促進し、お金を地域内で循環させるためには、引力のある地元企業が増えることが欠かせない


・「質の観光」→「循環する観光」→「持続可能な観光」

・質の観光のメインターゲットは、リピート志向、かつ、滞在志向の観光客
 → サブターゲットは、リピート志向、もしくは、滞在志向のいずれかに該当する観光客



〇「リピート志向」の観光客の特性分析


「食」や「リラックス」を重視

「出会い・交流型の観光」「観光でリラックス」
 ⇔ 非リピート志向は「知識教養型観光」「価格の安い観光」「体験型観光」

③もう一度行ってみたいと思う条件は「食」と「リラックス系」



〇「滞在志向」の観光客の特性


「観光でリラックス」「食の健康」「接客」
 ⇔ 周遊志向は「体験型観光」「自然に触れる観光」「低価格」「知識教養型観光」

②長く滞在したいと思う条件は「リラックス系」と「食」



〇リピート志向×滞在志向の観光客を引き付ける3つの要素

①リラックス
②食・グルメ
③出会い・交流

 

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いかがでしたでしょうか?

またまた超大作になってしまったのは、おおいに反省が多いですが、それだけ本書には学ぶところが多かったということです(と自分をフォローしてみる)。



観光業従事者の方や観光協会、行政の方々にとって、何かの参考になれば幸いです。