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「3大関係人口バイブル」の1冊!


何度も読んでおきながら、読書記録を書き損ねていた『ぼくらは地方で幸せを見つける』(積読ならぬ積書)。

やっと書けましたー!

指出さん、失礼しました・・・。



いうまでもなく、本書は「関係人口」の基本書。

私の関係人口研究における基盤というか、基礎というか、出発点になっている本の一つです。

いわば「私的3大関係人口バイブル」のうちの1冊です。



ちなみに、残りの2冊はというと

『関係人口をつくる』(田中輝美)

『都市と地方をかきまぜる』(高橋博之)

です。



本書は、指出さんが「ローカルヒーロー」と呼ぶ地方で活躍する若者たちの事例が豊富に取り上げられていて、以下の点で示唆に富んでいます。

・地方に惹きつけられる若者の特性
・若者を惹きつけている地域の条件
・地方の可能性
・地方創生のポイント



「関係人口」を考える上では、地域ごとの人と地域の関わりを知ることが非常に重要だと思っています。

地域の姿は千差万別、そこで行動する人の姿も千差万別。

でも、その中に共通する要素に注目することで、「関係人口」をつくるためのヒントを得ることができるのではないか。

そう期待して、「関係人口」を知りたくなるたびに本書に目を通します。

そうすると、そのたびに違った視点から学びが得られるんですよね。

何度読んでも学びがある本ってステキだな。

そして地域っていいな。




↓ (内容紹介はここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「⇒」は個人的な気づき、学び



◎本書のポイント

・誰かから押しつけられて、義務感でやっているのではない。みんな純粋に、この地域を盛り上げたいと思って地域づくりに関わっている。心から面白いと思っている

・いまの若い人たちは仲間が頑張っている姿を見て「いいね!」と共感し応援する、心優しき世代

・欲しいのは「関わりしろ」=その地域に自分が関わる余白があるかどうか

・いまの若者たちは自分を探しているのではなく、自分が手応えや実感を得ながら暮らせる「居場所」を探している。そしてその居場所は、カフェやコミュニティスペースではなく「地域」である

・自分たちの地域にとって、どんな人が関わってくれたら嬉しいか、面白いか、課題が解決されるか。一緒に未来をつくりたい若者のことを知ることが、地域にどのような魅力があるかを再解釈することにつながる

・ローカルヒーローの共通点は、社会や他世代との交流を願い、これからの暮らしの未来と課題を自分ごととしてとらえている心の優しい現代の若者。だから、同世代の若者たちから支持され、みんなが集まってくる

・都会よりも地方に魅力を感じるのは、「関わりしろ」や「チャレンジしろ」が都会よりもずっとあるから

・地方やソーシャルの分野は、自分が関わって起きることがダイレクトに感じられ、大切な役割を果たしているという存在感を自己認識しやすい

・小さな経済のしくみが各地にできれば、規模で利益を獲得する資本主義経済とは異なるローカル経済が成り立つ

・ローカルの経済原則は、「テンション」。モノやカネは多い少ない判断されがちで、奪い合う構造にあるが、テンションは奪い合うことなく分け与えることができ、その熱量は周囲に伝播し、共鳴し、高め合うことでエネルギーに変わる

・地域の人を巻き込むのにいちばん大事なことは、「儲かるかどうか」と「面白いかどうか」

・自発性、当事者意識がまちづくりには大切で、ひとりでも多くの人が自分のまちのことを考え、動くようになると、その地域は活気づく

・いまや関係人口がまちを元気にする大事なプレーヤーになっている

・関係人口を増やすためには、移住してもらうことをゴールに設定しないこと

・地域の幸福度は「人口」ではなく、「独自性」や「カラー」ではかり、それを「価値」として共感し、求める人たちに届くメッセージをつくれるかがポイント

・魅力ある地域をつくるうえで、大事な要素が「コミュニティ」
 
当事者たちが楽しくないコミュニティに仲間は増えない

・いまの地方の未来を考えるうえで重要なのは、自分たちのことを「仲間」と考えてくれる人をどう見つけるか

・これからの地域を盛り上げていく「新しい地方」を発信するための3つの視点
①関係人口を増やす
②未来をつくっている手ごたえ
③自分ごととして楽しい






◆ ローカルに価値を見出す若者たち



・いまの20代、30代半ばくらいまでの世代は、小さなコミュニティの属性や多様な嗜好性、仲間との共感性などの価値を置き、行動することがひとつ前の世代よりも格段に多い

・「ひとり」ではなく、「仲間」や「みんな」も幸せになって、豊かな暮らしを送るための行為は、まさに「ソーシャル」そのもの
 → ソーシャル=社会や地域、環境をよりよくしていこうという行動やしくみ

・誰かから押しつけられて、義務感でやっているのではない。みんな純粋に、この地域を盛り上げたいと思って地域づくりに関わっている。心から面白いと思っている

・いまの若い人たちは仲間が頑張っている姿を見て「いいね!」と共感し応援する、心優しき世代

・インターネットを通じて、これだけ多種多様な情報が簡単に手に入る社会に暮らす若者にとって、一方的に与えられるまちの魅力の情報はあまり価値がない

・欲しいのは「関わりしろ」=その地域に自分が関わる余白があるかどうか
 → リアルな場所で求められるのは、自分事として参加できるか、ひとりの人間として必要とされているか

・彼らの心の芯にあるものは、「応援したい。支え手になりたい」という気持ちで、自分が関わることで、少しでもよい方向に向かうことに喜びや手応えを感じている

・いまの若者たちは自分を探しているのではなく、自分が手応えや実感を得ながら暮らせる「居場所」を探している。そしてその居場所は、カフェやコミュニティスペースではなく「地域」である

・自分たちの地域にとって、どんな人が関わってくれたら嬉しいか、面白いか、課題が解決されるか。一緒に未来をつくりたい若者のことを知ることが、地域にどのような魅力があるかを再解釈することにつながる
 → お国自慢ではなく、居場所や関わり場所を探している若者たちが、その土地を見つけてくれる方法を考えることが大切





◆ローカルヒーローたち


〇パーリー建築(新潟県十日町市 ほか)

・パーティーをすることは手段であって目的ではない。自分たちがひとつの船に乗って、中山間地域という海原を旅していくなかで、最高に心の通う、最強の乗組員(仲間)を増やしていきたい

・「生きる」をどう面白くしていくかを、自分たちだけで完結させずに、同じ価値観を共有できる仲間たちと一緒につくろうとしている

・ローカルヒーローの共通点は、社会や他世代との交流を願い、これからの暮らしの未来と課題を自分ごととしてとらえている心の優しい現代の若者。だから、同世代の若者たちから支持され、みんなが集まってくる



〇ペンターン女子(宮城県気仙沼市)


・都会よりも地方に魅力を感じるのは、「関わりしろ」や「チャレンジしろ」が都会よりもずっとあるから
 → 地方は、東京のように生活のシステムに隙のないところは少なく、何を行うにしても自分が関わらざるをえない状況のほうが多い場所
 → これが若い世代にとっては面白い。「生きることへの出番」がしっかりある

・どの地域より「人がいる」といえるか
 → 人口という数ではなく、どんな人がいるかのほうが重要

・地方で暮らすこと、働くことの魅力を20代の若者がSNSなどで発信することは、どこでどんなふうに生きていきたいかを模索する人たち、特に「地方で生きる」ことを選択肢として考える若い人たちにとって、非常に有益な情報になる



〇『四国食べる通信』編集長 ポン真鍋さん(香川県小豆島、高松市)

・地方やソーシャルの分野は夢や希望に溢れている
 → 自分が関わって起きることがダイレクトに感じられ、大切な役割を果たしているという存在感を自己認識しやすいから
 → 3年後、5年後という近い未来をつくる行為を仲間やコミュニティで共有できる高揚感

・問題は、きちんと収益を上げて持続可能な経済のしくみができていないこと
 → 続けていくために稼ぎを生み出すためにはどうすればいいかという視点で語ることがいる人があまりいない
 → ローカルの価値観とグローバルな視点の両方を併せ持つ人物が、これからの地方には絶対的に必要

・「仲間経済」=縁でつながる経済のしくみ
 → 買い手は自分の信頼する生産者や、信頼する仲間がすすめるモノを買う。贈り物をうときもそういうモノを贈る。つくり手は信頼できるお客をほかの信頼できるつくり手に紹介する。つまりお客もシェアし合う

・小さな経済のしくみが各地にできれば、規模で利益を獲得する資本主義経済とは異なるローカル経済が成り立つ

・ローカルの経済原則は、「テンションは最高のギフト」
 → モノやカネは多い少ない判断されがちで、奪い合う構造にある。テンションは奪い合うことなく分け与えることができる。それだけではなく、その熱量は周囲に伝播し、共鳴し、高め合える。つまりエネルギーに変わる




〇いとしまシェアハウス(福岡県糸島市)

・東日本大震災を経験し、自分たちがいかに暮らしを「自分ごと」にできていなかったかを痛感した人たちが、暮らしを自分の手で取り戻したい、という意識に変わった



〇巡の環(島根県海士町)

・地域の人を巻き込むのにいちばん大事なことは、「儲かるかどうか」「面白いかどうか」

・地域で生きるとは、自分たちがやりたいことの実現を目指すのではない。地元の人たちと同じ目線に立ち、お互いにとって幸せな未来とはどのようなものかをともに探索していくことが大事



〇幸田直人さん(鳥取県三朝町)


・「つくって完成」ではなく、手を加えながらより自分に合うものにしていく

・現代のソーシャルとローカル志向の若い人いに通底する価値観は、「大きなものより小さいもの、強いものより優しいもの、速いものよりゆっくりなもの」



〇秋田和良さん(広島県安芸太田町)


・「なんでもやります」という姿勢は、じつはローカルで暮らすうえで必要なスタンス
 → 地域のなかでは「自分はこういうことが得意なので、こういう仕事がしたい」といったところで、その仕事の需要がなければ成立しない



〇桃色ウサヒ 佐藤恒平さん(山形県朝日町)

・自発性、当事者意識がまちづくりには大切で、ひとりでも多くの人が自分のまちのことを考え、動くようになると、その地域は活気づく



〇シマネプロモーション 三浦大紀(島根県浜田市)


・地域をプロモーションする上で重要な7つのポイント
①その土地らしさを形にする
②地域とつくり手のメッセージを伝える
③地域の魅力がダイレクトに伝わるデザイン
④面白く、ポジティブに見せる
⑤従来、伝えきれなかった世代に届ける
⑥ファッショナブルさを忘れない
⑦発信する側が楽しんでいる

・仲間が仲間を呼ぶ
 → チームになる人たちは、お互いに惹かれあうところが必ずある





◆地域の未来をみんなでつくる


〇キーワードは「関係人口」

・関係人口とは、「地域に関わってくれる人口」のこと
 → 自分のお気に入りの地域に週末ごとに通ってくれたり、頻繁に通わなくても何らかの形でその地域を応援してくれるような人たち

・いまや関係人口がまちを元気にする大事なプレーヤーになっている

・関係人口を増やすためには、移住してもらうことをゴールに設定しないこと

・地域の幸福度は「人口」ではなく、「独自性」や「カラー」ではかり、それを「価値」として共感し、求める人たちに届くメッセージをつくれるかがポイント



〇関係案内所をつくる


・ローカル志向の若い世代は、地域で気の合う仲間や自分とテイストの似ている場所を探している

・「関係」を案内するのは、「消費」の上にあるきっかけづくり
 → 一人ひとりのオリジナルの世界の文脈に近い、新たなストーリーや出会いをうながすことで、旅や余暇の価値は高まる

・魅力ある地域をつくるうえで、大事な要素が「コミュニティ」
 → 隣近所の互助精神のような昔ながらの「つながり」の価値に加えて、いまのコミュニティには「そこに行ったら、何か面白いことが待っている」という楽しさがある

当事者たちが楽しくないコミュニティに仲間は増えない



〇これからの地域を盛り上げるには

・いまの地方の未来を考えるうえで重要なのは、自分たちのことを「仲間」と考えてくれる人をどう見つけるか
 → まずはそのまちに住み、地元を愛する人たち
 → 次は「関係人口」のようにまちに関わりを持ってくれる地域外の人たち

・これからの地域を盛り上げていく「新しい地方」を発信するための3つの視点

①関係人口を増やす
②未来をつくっている手ごたえ
③自分ごととして楽しい