SAITAMA(埼玉)暮らしと本が最強なワケ

サイタマ産まれ、サイタマ育ちの共働き夫婦によるサイタマ暮らし。 ほとんど埼玉を出ません。 埼玉LOVE♡ 本もLOVE♡ なので書評も書いています。

まちづくり

埼玉県ときがわ町で日本初のキャンプ民泊を営む 野あそび夫婦による移住トークショー「30歳からはじめる第2のふるさとの見つけ方 ~野あそび夫婦的 無理をしない移住~」レポート

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2020年3月15日(日)、埼玉県ときがわ町で開催された「本屋ときがわ町」で、野あそび夫婦による移住トークショーが行われました。

題して、「30歳からはじめる 第2のふるさとの見つけ方 ~野あそび夫婦的 無理をしない移住~」




会場には、ときがわ町在住の方をはじめ、町内外から14名が参加しました。

さすがの集客力!

本屋ときがわ町でのイベントでは、過去最多ではないでしょうか。

椅子があやうく足りなくなるところでした笑



関係人口から移住へと移行する際のポイントを知りたいと思い、私も参加させていただきました。

以下、レポートとしてまとめました。



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1 野あそび夫婦とは


「野あそび夫婦」は、キャンプ大好きの青木達也(アオさん)と江梨子さん(エリーさん)夫婦のユニット名

・「自然の中で遊ぶように暮らす」がテーマ

・仕事と暮らすが一体となった生活がしたい


・2019年5月に、ときがわ町に移住し、日本初となるキャンプ民泊を開始

・キャンプ初心者のハードルになる「お風呂、トイレ、管理人」問題を解決し、まずは庭でのキャンプを楽しめる場所をつくった(NONIWA ノニワ)

・インスタグラム、YouTubeを中心とした情報発信を行い、近頃はアウトドア系の雑誌やメディア、県の移住関連のパンフレットでも紹介されている

・地域の人とも関係を築くために、季節ごとに「ときがわばっかり食堂」を開催







2 野あそび夫婦的移住 ~物件を見つけるまで~


・一度訪れただけで、ときがわ町が大好きになり移住を決意

・練馬から川越に引っ越し、ときがわ町の物件を手に入れるための資金を貯めた

・まずはインターネットで情報収集。気になったものは現地訪問

・キャンプができるような広い庭が必要という特殊な条件

・ときがわ町にある「ときのこや」で年2回開催される「ときのこやまつり」に出店したことで、町内に人脈をつくれた

・資金や移住時期の目標はたてたが、それにがんじがらめになるのではなく、ざっくりの目標とした
 → 「自分たちがやりたいことができる物件を探す」ことにこだわった

・決めた物件は、家の中にもモノがたくさん残されていて、庭は雑草が伸び放題!
 → 知人・友人の応援で、2019年3月のプレオープンを実現






3 野あそび夫婦的働き方 ~ぬるっとした移住を実現~


〇エリーさんの場合

・エリーさんはテレビ制作会社で旅番組ディレクターとして活躍
 → 番組制作を通じて、地方での生活への憧れ

・テレビの仕事も大好きだった

・「30歳」が一つの節目と考えていた

・アシスタントディレクターの頃に一度、会社を辞めて移住したいということを上司や先輩に話したことがあったが、そのときは反対された
 → ディレクターになって、NONIWA運営のために辞めることを伝えると、反対もなくスムーズだった
 → むしろ応援してもらえ、今はフリーのディレクターとして、引き続き番組制作に携わっている
 → キャンプ客が少ない冬場中心

・周りに応援してもらえるタイミング、関係づくり、自分のポジション獲得が大事だったと思う

・結果、「ぬるっとした移住」が実現できた



〇アオさんの場合


・アフリカ輸入雑貨の商社に勤務

・物件が決まってテンションが上がり、キャンプ民泊に全力投球したいというモチベーション。車で1時間の通勤はきつい。ただ、一抹の不安も・・・

・当時、会社ではリモートワークや副業などをやっている人はいなかった

・会社に、思い切ってリモートワークで働きたいことを伝えたら、意外にも叶えてくれた

・7年間、営業として一生懸命やってきたことが評価され、信頼されていたのかなと感じる

・結果、今は週2回の出勤のほかはリモートワーク



〇まとめ

・自分の思いを素直に伝えてみると、意外に会社は受け入れてくれることもある

・ただし、前提として会社の人との信頼関係が築かれていることが大切

・いきなり全部移行するのは怖いけど、複業として始めることで「ぬるっとした移住」が実現できた







4 意見交換(地域の人との関わり方を中心に)



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・若い人は、みんなSNSやらインターネットで情報発信する。でも年配の人は何をやっているのかわからない

・自治会やPTAの仕事に関わって、紙での情報発信も大事だと感じた
 → 人ごとに使うメディアは違う。伝えたいのであれば、その人に応じた情報発信のやり方が必要

・自分たちが、その地域とどうやって関わっていきたいのか。定住して骨をうずめたいのか、一時的な住まいと考えるかによって関わり方は変わってくる

・情報発信も大事かもしれないけど、信頼されるためには顔を実際に突き合わせることが一番大事だと感じる
 → モノがいいとか悪いとかよりも、その人を信頼できるかどうかで判断される

・埼玉県と長野県で二拠点居住にチャレンジしたいと思っている。各地で農園を借りているが、農園でのイベントなどを通じて地域の人と関わっているといろいろな情報が入ってくる。信頼されるまでになるのに3年くらいはかかった。

・地域に溶け込みたいと思うなら、地域の活動に参加することも必要(自治会、隣組など)

・地域によって受け入れスタンスも違う。組に入れてもらえなかったという友人の話も聞いた。自分は移住してきたときに、区長に案内されて全戸を回って挨拶することができたから幸運だった

・とにかく実際に会う回数を増やして、人目につくことが大事

・地域の人向けに、トークショーで話したような内容を伝えてもいいかも

・「ぬるっとした移住」の話は参考になった


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しょっぱなからプロジェクターのランプが切れたり、ブレーカーが落ちたりするトラブルに見舞われましたが、野あそぶ夫婦さんのトーク力でなんとか乗り切っていただけました。

エリーさん、アオさん、ありがとうございました!



それにしても「ぬるっとした移住」という言葉が評判だったようで、参加者にも何度も使われていましたね笑

影響力のある言語力もさすがでした!



「ぬるっとした〇〇」には「起業」という言葉も入りそうですね。

個人的には、お二人が話していたように、地方では仕事と暮らすが一体、またはそれに近いというのが大きなポイントではないかと感じました。

学ばせていただきました。

ありがとうございました!!

『ぼくらは地方で幸せを見つける ソトコト流ローカル再生論』まとめ ~ローカルビジネス・起業のためのエッセンス読書記録~

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「3大関係人口バイブル」の1冊!


何度も読んでおきながら、読書記録を書き損ねていた『ぼくらは地方で幸せを見つける』(積読ならぬ積書)。

やっと書けましたー!

指出さん、失礼しました・・・。



いうまでもなく、本書は「関係人口」の基本書。

私の関係人口研究における基盤というか、基礎というか、出発点になっている本の一つです。

いわば「私的3大関係人口バイブル」のうちの1冊です。



ちなみに、残りの2冊はというと

『関係人口をつくる』(田中輝美)

『都市と地方をかきまぜる』(高橋博之)

です。



本書は、指出さんが「ローカルヒーロー」と呼ぶ地方で活躍する若者たちの事例が豊富に取り上げられていて、以下の点で示唆に富んでいます。

・地方に惹きつけられる若者の特性
・若者を惹きつけている地域の条件
・地方の可能性
・地方創生のポイント



「関係人口」を考える上では、地域ごとの人と地域の関わりを知ることが非常に重要だと思っています。

地域の姿は千差万別、そこで行動する人の姿も千差万別。

でも、その中に共通する要素に注目することで、「関係人口」をつくるためのヒントを得ることができるのではないか。

そう期待して、「関係人口」を知りたくなるたびに本書に目を通します。

そうすると、そのたびに違った視点から学びが得られるんですよね。

何度読んでも学びがある本ってステキだな。

そして地域っていいな。




↓ (内容紹介はここから)
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「⇒」は個人的な気づき、学び



◎本書のポイント

・誰かから押しつけられて、義務感でやっているのではない。みんな純粋に、この地域を盛り上げたいと思って地域づくりに関わっている。心から面白いと思っている

・いまの若い人たちは仲間が頑張っている姿を見て「いいね!」と共感し応援する、心優しき世代

・欲しいのは「関わりしろ」=その地域に自分が関わる余白があるかどうか

・いまの若者たちは自分を探しているのではなく、自分が手応えや実感を得ながら暮らせる「居場所」を探している。そしてその居場所は、カフェやコミュニティスペースではなく「地域」である

・自分たちの地域にとって、どんな人が関わってくれたら嬉しいか、面白いか、課題が解決されるか。一緒に未来をつくりたい若者のことを知ることが、地域にどのような魅力があるかを再解釈することにつながる

・ローカルヒーローの共通点は、社会や他世代との交流を願い、これからの暮らしの未来と課題を自分ごととしてとらえている心の優しい現代の若者。だから、同世代の若者たちから支持され、みんなが集まってくる

・都会よりも地方に魅力を感じるのは、「関わりしろ」や「チャレンジしろ」が都会よりもずっとあるから

・地方やソーシャルの分野は、自分が関わって起きることがダイレクトに感じられ、大切な役割を果たしているという存在感を自己認識しやすい

・小さな経済のしくみが各地にできれば、規模で利益を獲得する資本主義経済とは異なるローカル経済が成り立つ

・ローカルの経済原則は、「テンション」。モノやカネは多い少ない判断されがちで、奪い合う構造にあるが、テンションは奪い合うことなく分け与えることができ、その熱量は周囲に伝播し、共鳴し、高め合うことでエネルギーに変わる

・地域の人を巻き込むのにいちばん大事なことは、「儲かるかどうか」と「面白いかどうか」

・自発性、当事者意識がまちづくりには大切で、ひとりでも多くの人が自分のまちのことを考え、動くようになると、その地域は活気づく

・いまや関係人口がまちを元気にする大事なプレーヤーになっている

・関係人口を増やすためには、移住してもらうことをゴールに設定しないこと

・地域の幸福度は「人口」ではなく、「独自性」や「カラー」ではかり、それを「価値」として共感し、求める人たちに届くメッセージをつくれるかがポイント

・魅力ある地域をつくるうえで、大事な要素が「コミュニティ」
 
当事者たちが楽しくないコミュニティに仲間は増えない

・いまの地方の未来を考えるうえで重要なのは、自分たちのことを「仲間」と考えてくれる人をどう見つけるか

・これからの地域を盛り上げていく「新しい地方」を発信するための3つの視点
①関係人口を増やす
②未来をつくっている手ごたえ
③自分ごととして楽しい






◆ ローカルに価値を見出す若者たち



・いまの20代、30代半ばくらいまでの世代は、小さなコミュニティの属性や多様な嗜好性、仲間との共感性などの価値を置き、行動することがひとつ前の世代よりも格段に多い

・「ひとり」ではなく、「仲間」や「みんな」も幸せになって、豊かな暮らしを送るための行為は、まさに「ソーシャル」そのもの
 → ソーシャル=社会や地域、環境をよりよくしていこうという行動やしくみ

・誰かから押しつけられて、義務感でやっているのではない。みんな純粋に、この地域を盛り上げたいと思って地域づくりに関わっている。心から面白いと思っている

・いまの若い人たちは仲間が頑張っている姿を見て「いいね!」と共感し応援する、心優しき世代

・インターネットを通じて、これだけ多種多様な情報が簡単に手に入る社会に暮らす若者にとって、一方的に与えられるまちの魅力の情報はあまり価値がない

・欲しいのは「関わりしろ」=その地域に自分が関わる余白があるかどうか
 → リアルな場所で求められるのは、自分事として参加できるか、ひとりの人間として必要とされているか

・彼らの心の芯にあるものは、「応援したい。支え手になりたい」という気持ちで、自分が関わることで、少しでもよい方向に向かうことに喜びや手応えを感じている

・いまの若者たちは自分を探しているのではなく、自分が手応えや実感を得ながら暮らせる「居場所」を探している。そしてその居場所は、カフェやコミュニティスペースではなく「地域」である

・自分たちの地域にとって、どんな人が関わってくれたら嬉しいか、面白いか、課題が解決されるか。一緒に未来をつくりたい若者のことを知ることが、地域にどのような魅力があるかを再解釈することにつながる
 → お国自慢ではなく、居場所や関わり場所を探している若者たちが、その土地を見つけてくれる方法を考えることが大切





◆ローカルヒーローたち


〇パーリー建築(新潟県十日町市 ほか)

・パーティーをすることは手段であって目的ではない。自分たちがひとつの船に乗って、中山間地域という海原を旅していくなかで、最高に心の通う、最強の乗組員(仲間)を増やしていきたい

・「生きる」をどう面白くしていくかを、自分たちだけで完結させずに、同じ価値観を共有できる仲間たちと一緒につくろうとしている

・ローカルヒーローの共通点は、社会や他世代との交流を願い、これからの暮らしの未来と課題を自分ごととしてとらえている心の優しい現代の若者。だから、同世代の若者たちから支持され、みんなが集まってくる



〇ペンターン女子(宮城県気仙沼市)


・都会よりも地方に魅力を感じるのは、「関わりしろ」や「チャレンジしろ」が都会よりもずっとあるから
 → 地方は、東京のように生活のシステムに隙のないところは少なく、何を行うにしても自分が関わらざるをえない状況のほうが多い場所
 → これが若い世代にとっては面白い。「生きることへの出番」がしっかりある

・どの地域より「人がいる」といえるか
 → 人口という数ではなく、どんな人がいるかのほうが重要

・地方で暮らすこと、働くことの魅力を20代の若者がSNSなどで発信することは、どこでどんなふうに生きていきたいかを模索する人たち、特に「地方で生きる」ことを選択肢として考える若い人たちにとって、非常に有益な情報になる



〇『四国食べる通信』編集長 ポン真鍋さん(香川県小豆島、高松市)

・地方やソーシャルの分野は夢や希望に溢れている
 → 自分が関わって起きることがダイレクトに感じられ、大切な役割を果たしているという存在感を自己認識しやすいから
 → 3年後、5年後という近い未来をつくる行為を仲間やコミュニティで共有できる高揚感

・問題は、きちんと収益を上げて持続可能な経済のしくみができていないこと
 → 続けていくために稼ぎを生み出すためにはどうすればいいかという視点で語ることがいる人があまりいない
 → ローカルの価値観とグローバルな視点の両方を併せ持つ人物が、これからの地方には絶対的に必要

・「仲間経済」=縁でつながる経済のしくみ
 → 買い手は自分の信頼する生産者や、信頼する仲間がすすめるモノを買う。贈り物をうときもそういうモノを贈る。つくり手は信頼できるお客をほかの信頼できるつくり手に紹介する。つまりお客もシェアし合う

・小さな経済のしくみが各地にできれば、規模で利益を獲得する資本主義経済とは異なるローカル経済が成り立つ

・ローカルの経済原則は、「テンションは最高のギフト」
 → モノやカネは多い少ない判断されがちで、奪い合う構造にある。テンションは奪い合うことなく分け与えることができる。それだけではなく、その熱量は周囲に伝播し、共鳴し、高め合える。つまりエネルギーに変わる




〇いとしまシェアハウス(福岡県糸島市)

・東日本大震災を経験し、自分たちがいかに暮らしを「自分ごと」にできていなかったかを痛感した人たちが、暮らしを自分の手で取り戻したい、という意識に変わった



〇巡の環(島根県海士町)

・地域の人を巻き込むのにいちばん大事なことは、「儲かるかどうか」「面白いかどうか」

・地域で生きるとは、自分たちがやりたいことの実現を目指すのではない。地元の人たちと同じ目線に立ち、お互いにとって幸せな未来とはどのようなものかをともに探索していくことが大事



〇幸田直人さん(鳥取県三朝町)


・「つくって完成」ではなく、手を加えながらより自分に合うものにしていく

・現代のソーシャルとローカル志向の若い人いに通底する価値観は、「大きなものより小さいもの、強いものより優しいもの、速いものよりゆっくりなもの」



〇秋田和良さん(広島県安芸太田町)


・「なんでもやります」という姿勢は、じつはローカルで暮らすうえで必要なスタンス
 → 地域のなかでは「自分はこういうことが得意なので、こういう仕事がしたい」といったところで、その仕事の需要がなければ成立しない



〇桃色ウサヒ 佐藤恒平さん(山形県朝日町)

・自発性、当事者意識がまちづくりには大切で、ひとりでも多くの人が自分のまちのことを考え、動くようになると、その地域は活気づく



〇シマネプロモーション 三浦大紀(島根県浜田市)


・地域をプロモーションする上で重要な7つのポイント
①その土地らしさを形にする
②地域とつくり手のメッセージを伝える
③地域の魅力がダイレクトに伝わるデザイン
④面白く、ポジティブに見せる
⑤従来、伝えきれなかった世代に届ける
⑥ファッショナブルさを忘れない
⑦発信する側が楽しんでいる

・仲間が仲間を呼ぶ
 → チームになる人たちは、お互いに惹かれあうところが必ずある





◆地域の未来をみんなでつくる


〇キーワードは「関係人口」

・関係人口とは、「地域に関わってくれる人口」のこと
 → 自分のお気に入りの地域に週末ごとに通ってくれたり、頻繁に通わなくても何らかの形でその地域を応援してくれるような人たち

・いまや関係人口がまちを元気にする大事なプレーヤーになっている

・関係人口を増やすためには、移住してもらうことをゴールに設定しないこと

・地域の幸福度は「人口」ではなく、「独自性」や「カラー」ではかり、それを「価値」として共感し、求める人たちに届くメッセージをつくれるかがポイント



〇関係案内所をつくる


・ローカル志向の若い世代は、地域で気の合う仲間や自分とテイストの似ている場所を探している

・「関係」を案内するのは、「消費」の上にあるきっかけづくり
 → 一人ひとりのオリジナルの世界の文脈に近い、新たなストーリーや出会いをうながすことで、旅や余暇の価値は高まる

・魅力ある地域をつくるうえで、大事な要素が「コミュニティ」
 → 隣近所の互助精神のような昔ながらの「つながり」の価値に加えて、いまのコミュニティには「そこに行ったら、何か面白いことが待っている」という楽しさがある

当事者たちが楽しくないコミュニティに仲間は増えない



〇これからの地域を盛り上げるには

・いまの地方の未来を考えるうえで重要なのは、自分たちのことを「仲間」と考えてくれる人をどう見つけるか
 → まずはそのまちに住み、地元を愛する人たち
 → 次は「関係人口」のようにまちに関わりを持ってくれる地域外の人たち

・これからの地域を盛り上げていく「新しい地方」を発信するための3つの視点

①関係人口を増やす
②未来をつくっている手ごたえ
③自分ごととして楽しい





『地域引力を引き出す観光ブランドの教科書』まとめ ~ローカルビジネス・起業のためのエッセンス読書記録~

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これぞ観光関係者の必読書!! 


まさに「観光ブランドづくり」の決定版ですね。

最近読んだ観光系の本では断トツのナンバーワンです。



まず、文章が非常にわかりやすくて論理的、語り口もシンプル。

そして何より、内容がすばらしい!



著者が述べることは非常に単純明確かつ的確で、前書きの時点で付箋が大量になりました(汗)

最初から最後まで、学びがギッシリつまっています!

おかげで、かようにも長文になってしまいました・・・。



「観光振興」の真の目的とは何か?

お客さんが「行きたい!」と思う地域をつくるためには、どうすればいいのか?

こうした観光関係者の悩みをスパッと解決してくれます。



いや、本当に悩みが解決するのは、ここに書いてある内容を実践し、成果が出たときでしょう。

でも、この内容に沿ってやれば、きっと成果が出るのではないかと思わせてくれます。

それほどに力強く、明確な方向性を示してくれます。



とにかく地域を良くしたいと思っている観光関係者、行政の方にオススメしたいです!

いやホントに。

これ読んだら、行政関係者は自分のところのまちづくり計画をすべて見直したくなるんじゃないか・・・





↓ 内容紹介はこちらから
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◎本書のポイント


・観光のブランドをつくるためには、売り手視点の「誘客発想」から、買い手視点の「地域引力の向上」へ視点を転換することが必要

・観光施策の目的は、「地域が”元気”になること」「住む人、訪れる人が”幸せ”になること」
 →「観光客の”数”が増えること」ではない

「モノ観光」=「見る観光」はリピートや長期滞在につながりにくく、「コト観光」=「感じる観光」は、リピートにつながる

「明確なイメージ」が観光地のブランド力を向上させる最重要ポイント

・知名度はブランドではない。イメージが浮かぶのがブランドである

ブランドづくりは「らしさ」の追求である

・地域がブランドになるためには、一つでもいいので、他の地域にはない尖りをつくること
 → 小さな地域ほど尖りが大切

・ブランドづくりでは、「オンリー1」であるとは「その分野でナンバー1」であること

・「足し算思考」と「平等主義」ではブランドは生まれない
 → ブランドを生み出すために大切なのは、「引き算思考」と「メリハリ」

・地域引力を生み出すためには、顧客が認識する「強み」を把握し、それを徹底的に伸ばす発想が必要

「観光される国」よりも「観光する国」の方が、幸福度が高い

国民の観光の促進が、人々の幸福度の向上につながる

真の「観光立国」は、観光に来る人が多いだけではなく、「観光を楽しむ国民が多い国」である

・観光客の多さが、観光客の大きな不満要因になる

質の観光への転換には、滞在の促進」「リピートの促進」「地元消費の促進」への発想の転換が必要
 → 滞在客増加×リピート客増加=地元消費増加

持続可能な観光に必要なのは、「顧客」「地域資源」「お金」の3つの循環

「質の観光」→「循環する観光」→「持続可能な観光」

・質の観光のメインターゲットは、リピート志向、かつ、滞在志向の観光客

・リピート志向×滞在志向の観光客を引き付ける3つの要素は、「リラックス」「食・グルメ」「出会い・交流」






↓ ここから詳細なエッセンス紹介(注意:長いです。とても)
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「⇒」は個人的な気づき、考え



◆引力ある地域づくりのための序章(「はじめに」より)


〇観光客視点の「地域引力の向上」


・観光客は「誘客」されてきたのではなく、それぞれの地域が持つ「何か」に引きつけられたからこそ、観光に来ている

・観光のブランドをつくるためには、売り手視点の「誘客発想」から、買い手視点の「地域引力の向上」へ視点を転換することが必要

・モノ(商品)のブランドづくりと異なり、観光のブランドづくりにおいては、とくに、「引力」を生み出すという発想が大切になる
 → なぜなら、地域は動かすことができないから

⇒ 考えてみると、当たり前のことだけど、すごく重要なこと



〇観光の目的は、観光客の増加か?


・地域が人々を引きつける力、すなわち「地域引力」を生み出すことこそが、「観光のブランドづくり」の発想


・地域引力があるから、観光客が引きつけられるのであり、その逆はあり得ない
 → 「地域引力」(原因)→「観光客」(結果)

・観光における数の追求は、遅かれ早かれ限界が来る
 → モノと違って地域は増やすことはできないし、大きくすることもできない

・観光施策の目的は、「地域が”元気”になること」「住む人、訪れる人が”幸せ”になること」
 →「観光客の”数”が増えること」ではない

⇒ ここを取り違えてしまうと、観光による弊害が起こる

⇒ オーバーツーリズムや過剰投資の問題、おもてなし疲れ・・・


・観光業だけでは地域引力は生まれない
 → 地域引力は、地域資源の掛け算である

・この10年で、訪日旅行者数は2000万人以上増加した
 → 「オーバーツーリズム」と呼ばれる過剰な観光客がもたらす弊害は現実化し、観光客数の増加が地域の豊かさや、地域の人々の幸福につながらないという声も聞くようになった






◆第1章 誘致・誘客からマーケティングへ



・「ぜひ、来てください」を誘致・セールスだとすると、「ぜひ、行きたい」がマーケティング
 → 「来てください」は売り手発想の想いであるが、「行きたい」は観光客の想い

・観光客と向かい合うのではなく、観光客と同じ方向をみて、観光客に「価値」ある提案をすること
 → 消費者が求めているのは、「観光サービスという”商品”」ではなく、「観光が、自分にもたらす”価値”」



〇消費者は、観光に何を求めているのか


・「全国消費者1000人調査」のランキング
 → 「癒やし・やすらぎ・リラックス」(273人)
   「非日常」(154人)
   「リフレッシュ・気分転換」(96人)
 → 「おもてなし」は1000人中1人もおらず、直接的な観光動機にはならない

・「モノ観光」=「見る観光」はリピートや長期滞在につながりにくく、「コト観光」=「感じる観光」はリピートにつながる





◆第2章 観光ブランドづくりとは何か



〇ブランドは論理を超える

・「長野県」には行きたくないが、長野県にある「軽井沢」には行きたい人がいる、「岐阜県」には行きたくないが、岐阜県にある「飛騨高山」には行きたい人がいるという論理的矛盾
 → ブランドは論理を超える
 → 地域としては都道府県の方が大きいが、ブランドで見ると特定の地域の方が大きい

・長野県、栃木県、岐阜県は「地名」、軽井沢、日光、飛騨高山は地名を超えた「ブランド」
 → インターネットで検索すると、「地名」では地図が、「ブランド」では地域ならではの写真が表示される





◆第3章 どうすれば、強いブランドが生まれるのか


・消費者が観光地を評価する9つの因子
 → 「明確なイメージ」「歴史文化」「リラックス」「ならではの食」「低コスト」「交流」「接客」「自然」「体験」

「明確なイメージ」が、観光地のブランド力を向上させる最重要ポイント

・次にブランド力に影響を与えているのは、「ならではの食」

・「低コスト」は地域のブランド力に有意な影響をもたらしていない

⇒ ビジネスでもまったく同じ。価格競争は消耗戦


・「自然」も地域のブランド力に有意な影響をもたらしていない
 → 「自然」はどの地域にもある。地域引力を生み出すためには、掛け算の発想が必要




◆第4章 イメージが浮かばなければ選ばれない


・地名を聞いて「イメージが浮かぶ」と「観光に行ってみたい」とは相関関係がある
 → イメージが浮かばなければ、選ばれない

・足し算するほど、イメージは薄くなる
 → 「特産品詰め合わせセット」や「幕ノ内弁当の地方版」はブランドにならない

・知名度はブランドではない
 → イメージが浮かぶ=ブランド





◆第5章 「ブランド」と「地名」は何が違うのか


・地域が「ブランド」か単なる「地名」かの判断方法

①地名を聞いたときに、独自のイメージが浮かぶか

②「そうだ、〇〇に行こう」に地名を入れて成り立つか

③「らしさ」を言語化できるか

→ ブランドづくりは「らしさ」の追求である






第6章 地域に「尖り」はあるか



・地域がブランドになるためには、一つでもいいので、他の地域にはない尖りをつくること
 → 尖る地域が増えることで、国全体として「多様性」が生まれる

・小さな地域ほど、尖りが大切
 → 「尖」は「大」のうえに「小」がある。小さな地域が大きな地域を超えるには尖りが欠かせない

 ⇒ まさしくビジネスでいうところのランチェスター戦略にほかならない


・ブランドづくりで、成功事例の「ヨコ展開」はあり得ない
 →「ヨコ展開」ができるのは真似されやすいということ

・尖るために「絞る」「強みを伸ばす」「磨く」

・ターゲット層が住む地域「ないもの」で地元に「あるもの」を探す






第7章 何かで、一番になろう



・ブランドでは、「オンリー1」であるとは「その分野でナンバー1」であること

・一番になるには、「引き算」「掛け算」すること





第8章 強いブランドには、「シンボル」がある


・独自のシンボルがあればイメージが浮かびやすくなる
 → イメージが浮かべば地域引力が生まれる

・地域のシンボルになるための条件は、「独自性があること」「イメージが浮かびやすいこと」

・ターゲット層に対して、シンボルのプロモーションを行い、シンボルを戦略的につくりあげる





第9章 「引き算」で、引力を生み出そう



・引き算をすることで、イメージが明確になる=「引力」は強くなる

・人の目に複数の景色が同時に入ってくることはない
 → 一つの景色を見せて、そこにいる自分をイメージできると行きたくなる

・「足し算思考」と「平等主義」ではブランドは生まれない
 → ブランドを生み出すために大切なのは、「引き算思考」と「メリハリ」





第10章 「食」がブランドを強くする


・海外が認識する日本の強みベスト3は、「culture」「people」「food」

・日本人が考える日本の強み「治安が良く安全で、おもてなしや親切の心があり、四季のある自然豊かな国」
 → 売り手が考える「強み」と買い手が認識する「強み」が一致していない

・地域引力を生み出すためには、顧客が認識する「強み」を把握し、それを徹底的に伸ばす発想が必要

・消費者に「食」でイメージを浮かべてもらうためには、「ならではの食」「名物料理」などが不可欠

・食を活用した地域のブランドづくりで大切なのは、「食べるモノ(食物)」ではなく、「食べるコト(食事)」である
 
⇒ 生産量を増やすのではなく、食事できる場所を増やす。商品を増やす。露出を増やす。





第11章 ブランドづくりの6ステップ


①組織づくり、ベクトル合わせ
・「ブランドとは何か」「ブランドづくりとは何か」「その目的は何か」をメンバーで共有すること

②地域の現状分析

③ブランド・アイデンティティの構築と共有
・「どのような地域になりたいか」
・ブランド・アイデンティティの3要素は、「価値性」「独自性」「共感性」
 → 「価値性」とは、売り手ではなく、顧客にとって価値があるか
・どの地域でもあてはまるアイデンティティでは、強いブランドは生まれない

④ブランド戦略の実行
・ブランド・アイデンティティとの統一性が必要
・一貫性を持って実行すること

⑤ブランド評価・モニタリング
・ブランドの「ありたい姿」と「現実」とのギャップを把握する

⑥磨き上げ





第12章 観光立国は「幸せな国」か


〇「観光大国」は幸せな国か?

・外国人旅行客数が多い「観光大国」の幸福度を見ると、観光大国ベスト10のうち、幸福度ランキングのベスト10に入っている国は一つもない


〇「観光立国」は幸せな国か?

・観光が国の基幹産業になっている「観光立国」の幸福度を見ると、観光立国ベスト10のうち、幸福度ランキングのベスト10に入っている国は一つもない


〇「観光する国」は幸せな国か?

・「観光する国」(旅行にお金を使う国)のベスト10のうち、幸福度ランキングのベスト10に入っている国が6か国もある


「観光される国」よりも「観光する国」の方が、幸福度が高い

・国民の観光の促進が、幸福度の向上につながる

真の「観光立国」は、観光に来る人が多いだけではなく、「観光を楽しむ国民が多い国」






第13章 「量の観光」から「質の観光」へ


〇量の観光

・「観光」+「混雑」「人混み」「渋滞」「人が多い」=不満

・観光客の多さが、観光客の大きな不満要因になる

・観光において、「量」と「質」は両立しにくい

・観光において、観光客はサービスの受け手でもあり、生産者でもある
 → 観光客自身が、観光地の品質を決める重要な役割を果たしている

・「量の観光」は、「ブランド力強化」→「観光客増加」→「オーバーツーリズム」→「地域イメージ低下」→「ブランド力低下」というパラドックスを生む



〇質の観光への転換

・滞在の促進
 → 数多くの観光客に来てもらうよりも、より長く滞在してくれる観光客に来てもらう

・リピートの促進
 → 数多くの観光客に来てもらうよりも、一人ひとりの観光客に繰り返し来てもらう

・地元消費の促進
 → 数多くの観光客に来てもらうよりも、地元で、一人ひとりの観光客により多く消費してもらう


・滞在客増加×リピート客増加=地元消費増加




⇒ 良質なお客さんは良質なお客さんを呼ぶ

⇒ 「数」を求めるとお客の質は下がり、「待つ」という不満が生じて良質なお客さんが逃げる






第14章 「質の観光」「持続可能な観光」をどう実現するか


・持続可能な観光のキーワードは3つの「循環」

①「顧客」の循環
・既存顧客のリピート
・小さな地域の方が、一人ひとりの顧客お「きずな」を強めやすいため、「顧客の循環」では有利になる

⇒ まさにランチェスター戦略。小さな企業は顧客密着型の強みをつくれる


②「地域資源」の循環
・リピート志向の観光客は、「地元食材を利用してほしい」というニーズを持っている
・「顧客の循環」と「地域資源の循環」は両立しやすい


③お金の循環
・お金が地元で循環することは、地域経済活性化の重要なポイントである
・地元消費を促進し、お金を地域内で循環させるためには、引力のある地元企業が増えることが欠かせない


・「質の観光」→「循環する観光」→「持続可能な観光」

・質の観光のメインターゲットは、リピート志向、かつ、滞在志向の観光客
 → サブターゲットは、リピート志向、もしくは、滞在志向のいずれかに該当する観光客



〇「リピート志向」の観光客の特性分析


「食」や「リラックス」を重視

「出会い・交流型の観光」「観光でリラックス」
 ⇔ 非リピート志向は「知識教養型観光」「価格の安い観光」「体験型観光」

③もう一度行ってみたいと思う条件は「食」と「リラックス系」



〇「滞在志向」の観光客の特性


「観光でリラックス」「食の健康」「接客」
 ⇔ 周遊志向は「体験型観光」「自然に触れる観光」「低価格」「知識教養型観光」

②長く滞在したいと思う条件は「リラックス系」と「食」



〇リピート志向×滞在志向の観光客を引き付ける3つの要素

①リラックス
②食・グルメ
③出会い・交流

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


いかがでしたでしょうか?

またまた超大作になってしまったのは、おおいに反省が多いですが、それだけ本書には学ぶところが多かったということです(と自分をフォローしてみる)。



観光業従事者の方や観光協会、行政の方々にとって、何かの参考になれば幸いです。





シンポジウム「関係人口とつくる地域の未来」レポート(その4)

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2020年1月10日(金)に開催されたシンポジウム「関係人口とつくる地域の未来」(主催:国土交通省)の参加レポート第4弾です。

いよいよ最終回となりました。

4回目となる今回は、パネルディスカッション「関係人口をめぐる新しい動き」を取り上げます。

果たして今、「関係人口」そして地域に何が起こっているか、パネリストたちの熱い議論が交わされました。


第1回はこちら

第2回はこちら

第3回はこちら



今回のシンポジウムは、テーマが「関係人口」、そしてコミュニティデザイナーの山崎亮さんや、ソトコト編集長の指出一正さんが登壇するとあっては、もう参加するしかありません!





関係人口は、めちゃくちゃ面白い!

そして、登壇者の人たちの話も面白かった!



ここでは、シンポジウムの内容を私なりにまとめて公開しています。

ボリュームが多いので、全4回の連載でお送りしています。(4回目)



【プログラム】


(1)特別講演「コミュニティデザインと活動人口」 ← 第1回
   登壇者:山崎亮 氏(Studio-L代表、コミュニティデザイナー)


(2)基調講演①「関係人口の新傾向」 ← 第2回
   登壇者:指出一正 氏(株式会社sotokoto online、ソトコト編集長)


(3)基調講演②「国交省アンケートから見る関係人口」 ← 第3回
   登壇者:小田切徳美 氏(明治大学農学部教授)


(4)パネルディスカッション「関係人口をめぐる新しい動き」 ← 第4回(今回はココ。最終回)
   コーディネーター:小田切徳美 氏
   コメンテーター:山崎亮 氏
   パネリスト:指出一正 氏 ほか3名



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↓ レポートはここから
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


◆パネルディスカッション「関係人口をめぐる新しい動き」

   
コーディネーター:小田切徳美 氏(明治大学農学部教授)

コメンテーター:山崎亮 氏(Studio-L)
パネリスト:指出一正 氏(株式会社sotokoto online)
      関貴之 氏(岩手県八幡平市 企画財政課)
      多田朋孔 氏(特定非営利活動法人 地域おこし)
      松原佳代 氏(株式会社カヤック Living)





〇関氏(八幡平市の現状と取組)

・人口約26000人。人口減少が深刻(4年間で1000人以上減少)

・移住者、関係人口の受け入れ態勢の整備に注力している

 → 「起業志民プロジェクト」

無料のプログラミング講座で、シェアハウス提供。ハワイから移住実績

 → 「丸の内プラチナ大学」

 → 「さすらい合宿」(フリーランス向けプログラム)

 → 「副業受け入れプロジェクト」

   大都市の副業人材×地域中小企業

   8社の求人に対して、90名以上の応募があった課題として、企業側の採用スキルが伴わず、2名の採用にとどまった・・・

 


〇多田氏(NPO法人地域おこしの取組)
・自給自足を目指して活動開始

 → 自立までの足がかりとして地域おこし協力隊の制度を活用
・活動内容を発信していたところ、農文協からの原稿オファー

 → 書籍化『奇跡の集落』
・四季を通じた体験メニューやコンサルタントの経験を活かして地域でのワークショップ、企業研修を提供

 



〇松原氏(カヤックLiving、「SMOUT」の取組)
・オンラインでの移住スカウトサービス「SMOUT」では、地域と地域に関心がある人のマッチングプラットフォームを提供

・地域側から「こういう人に来てほしい」というプロジェクトを投稿

 → 地域に関心のあるユーザーとのオンラインチャットでやり取り、マッチング

・現在280市町村が登録し、ユーザー数は10000人を突破(2020年1月)

・関係人口の数値化も意識

→ 独自に「スコアネット関係人口」を数値化

・運営者は地域に直接行くことはなく、あくまでマッチングツールとしてのプラットフォームを提供

 → オンラインでのチャットや移住相談、地域おこし協力隊の説明会
・インターネットだけでは移住にはつなげられない

 → 移住につなげてくれるプレーヤーへのつなぎ役と考えている
・カスタマーサクセスは、地域を応援し、地域と地域に関心のある人の出会いをつくること

 → あくまで主役は地域の人で、その伴走者になる

 



〇副業と関係人口

(指出氏)

・副業から入りやすい地域が増えている

→ 関係人口と副業は相性がいい。可能性大
・地域の若い経営者は積極的に副業人材を活用してもい
いのではないか

 


〇関係案内所とは?

(指出氏)

・必ずしもハードとしての「場所」が必要なわけではないが、外から見ると場所があった方がシンプルにわかりやすい

・来る人が受け入れられて、活動できる体制、環境が整っていることが重要
・地域全体が関係案内所のように機能している事例もある

・外から来た人と地域の人が具体的な関係がつくれるように考えながら、場所をつくり変えていく

 → スケールしていく

 → 地域の雰囲気が変わっていく
・目的は関係案内のためのメディアを増やすこと

 → 場所があることは大事だが、場所をつくること自体は目的ではない


(多田氏)
・地域との関係をつなぐ役割

・地域の人との個人的なつながるができるような場

 → 一緒に何かする(飲む、つくるなど)

 


〇関係人口が増えると地域がどう変わるか?

(関氏)
・何か地域の力になりたいという関係人口に、受け入れる地域の側の体制が追い付いていない

・地域から過剰な期待や役割が課せられると、お互い不幸な結果になる

 


〇インターネットで関係をつくることについて


(松原氏)

SMOUTの目的は、地域に入る1歩前の状態をつくること

 → リアルの関係案内所の人のところまでつなげていくこと

・地域に興味があるような人は既に移住してしまっている

・興味ある人を掘り起こすこと、それを地域とつなげることにSMOUTの意義がある

・小田切先生がいうところの「つながりサポート機能」のネット版


 

〇関係人口と移住の関係


(指出)

・関係人口は淡水。淡水には多様な生態系がある。

・地域のことが好き、関心が同じ人が増えることは地域にとっていいこと

・移住は決してゴールじゃないが、結果としての移住はOK



(関氏)

・地域に魅力があれば移住する人も増えるのではないか

・魅力ある地域づくりをすることが大事と思い、それに注力している

 

⇒ 地域づくりそのものに魅力を感じる人もいる

⇒ 「自分が関わっている感」「地域に自分の居場所がある感」がある=関わりしろが重要であるという視点が必要だと思っている

⇒ 至れり尽くせりの環境が既にできあがっていることを求めているわけではない。そういう人は東京に行くのでは?

 

(松原氏)

・移住を求めすぎると逆に逃げる

・常に地域の外にいて、地域を応援してくれる人の存在はありがたい

・都会にいるからこそできる関係人口の役割もある

 

(小田切氏)

・関係人口は多様であり、グラデーションがある。

・強要する必要はない。

・移住はゴールではなく、一つの結果ということ

 


〇関係人口を受け入れるために必要なこと(関係案内所以外で)


(指出)

・「うちを好きな人じゃないと来てほしくない」(地域側)

 → そもそも地域に興味ある人少ない。圧倒的に知らない人が多い

 → 入口時点で条件つくることは、一般的な「地域」に関心持つ人を遠ざける

・なんとなく地域に関心があるという人でもちゃんと受け入れられる人がいることが明暗をわける

・うまくいっている地域の共通点は、活動人口が多いこと



(山崎氏)

・地域の魅力を発信している人、地域で活動している人がいるという人の魅力はかなり大きなウエイトを占める

 → ポイントは、この人と友達になりたい、一緒に何かやりたいと思える人がどれだけいるか

 → 地域に来てくれた人とその人たちが出会うことができるか

・「移住してくれたら補助金がもらえる」制度はいかがなものか

 → お金目当ての人ばっかりが集まってくる

 → そういう人と友達になりたいか?

 → 志のある人は逆に来ない



(多田氏)

・移住者が優遇されすぎると、住民からの反感も起こる

 


〇活動人口と関係人口

(山崎氏)

・活動人口に厳密な定義があるわけではない。地域内にいる関係人口に近いイメージ

・コミュニティはもともと地域のコミュニティを意味した

 → 今の若い人はコミュニティに「地域」というイメージがない

・地域で区切る必要はなく、趣味や好きなことが一致する人たちのつながり

・ただし、自分たちが好きなことをするというだけだったら飽きてしまう

 → 「好きなこと+少しでも役に立つ、変化が起こる、地域の人から感謝される」レベルのことをすると満足度が高まる

・のろし好きな人が、月1回だけ山の上でのろし

 → 別の人が、他の複数個所で応答のろし

 → 山火事にならないよう、広場を掃除する

 → 月に1回広場がきれいになる

 → 地域の人から感謝


(指出)

・マルシェは「おしゃれな生存確認」

→ 生きるっていいな、あの人生きているな、笑える場所

→ 仲間が入っていける


(関)

・郷土芸能やっている

 → 一人だと撮影できない

 → 写真撮る仲間、発信する仲間ができると嬉しい

・自分でできることで関わっていく、関わりが生まれる



(多田氏)

・関わり方は2つの類型がある

    仕事は関係ないけど、楽しいこと、好きなこと、盛り上がること

    仕事そのもの。ソーシャルビジネス、コミュニティビジネス

・楽しくないと続かないし、お金が回らないと続かない

・リーダーの役割も必要だし、サポーターの役割も必要



(松原氏)

・自分の生き方を明確に持っている人の生きざまが人を惹きつける、人を惹きつけたところから関係が生まれる

・活動人口が強いところは関係をつくる力が強い

 

⇒ 関係をつくる力=魅力といえる

 

(小田切氏)

活動人口=関係案内人といっていいのでは。

 

 

〇会場から意見


・コミュ強の人は楽しそう。コミュ障気味でも地域は好き。でも入っていくのは怖い

 

SDGsの雰囲気と関係人口の関係とは?

 
→(指出氏)

  知人の外国人が、関係人口を「コネクテッドマインドネス」と表現したことがある。

  共感から生まれた行動というのは、まさにSDGsの考え方に共通するもの。

  住めないけど、その地域や地域に住んでいる人が好きという感覚は、相手のことを思いやること、共感であり、持続的な未来をつくるために必要なことだと感じる。

 


〇全体まとめ

・関係案内所が必要

 → ごちゃまぜになる場所。地域を変える雰囲気をつくる

・活動人口が必要

 → 当事者意識。様々な人が寄り合い、楽しみながら活動する

・新しい潮流が生まれている

 → 副業、SDG

 → 関係人口の概念が発展している



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
↑ ここまで



今回のシンポジウムはかなり勉強になりました。

今後の地域活性化ではおそらくこの「関係人口」というのがひとつ大きなポイントになってくるのではないでしょうか。

移住ばっかり追い求めて、関係人口づくりに目を向けない地域は確実に行きづまるでしょう。

また、山崎さんのいうとおり、お金で移住を促進するという考え方も、形上の数が増えるだけで決して地域の活動人口は増えないでしょうし。



この関係人口と活動人口のつながりというのもポイントかもしれませんね。

地域外の関係人口を増やすとともに、地域内では活動人口を増やすこと。

そしてこの両者がつながり、一緒に活動していくこと。

そのことが地域の総合的な活力をアップさせていくことにつながっていきそうです。

そのために必要なのが関係案内所の役割といえるでしょう。



今後、各地域でどんな取組が起こっていくか楽しみです!

私もときがわ町の「イチ関係人口」としての活動を続けていきたいと思います!



シンポジウム「関係人口とつくる地域の未来」レポート(その3)

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2020年1月10日(金)に開催されたシンポジウム「関係人口とつくる地域の未来」(主催:国土交通省)の参加レポート第3弾です。

第1弾はこちら

第2弾はこちら




テーマが「関係人口」、そしてコミュニティデザイナーの山崎亮さんや、ソトコト編集長の指出一正さんが登壇するとあっては、もう参加するしかないでしょう!





関係人口は、めちゃくちゃ面白い!

そして、登壇者の人たちの話も面白かった!



ここでは、シンポジウムの内容を私なりにまとめて公開しています。

ボリュームが多いので、全4回の連載でお送りします。




3回目となる今回は、明治大学農学部教授の小田切徳美さんによる基調講演「国交省アンケートから見る関係人口」を取り上げます。






【プログラム】


(1)特別講演「コミュニティデザインと活動人口」 ← 第1回
   登壇者:山崎亮 氏(Studio-L代表、コミュニティデザイナー)


(2)基調講演①「関係人口の新傾向」 ← 第2回
   登壇者:指出一正 氏(株式会社sotokoto online、ソトコト編集長)


(3)基調講演②「国交省アンケートから見る関係人口」 ← 第3回(今回はココ)
   登壇者:小田切徳美 氏(明治大学農学部教授)


(4)パネルディスカッション「関係人口をめぐる新しい動き」 ← 第4回
   コーディネーター:小田切徳美 氏
   コメンテーター:山崎亮 氏
   パネリスト:指出一正 氏 ほか3名



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↓ レポートはここから
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◆基調講演「国交省アンケートから見る関係人口」

登壇者:小田切徳美 氏(明治大学農学部教授 ライフスタイルの多様化等に関する座談会座長)



〇関係人口を巡る課題


①関係人口の概念はは広がっているが、量的な把握が不十分

②関係人口といわれる人たちは、いったい地域で何をしているのか?





〇国土交通省による関係人口調査の概要



・三大都市圏の関係人口の実態把握

・インターネットアンケートによる約3万人の大量サンプル
 → 約5600万人のうち3万人
 → 有効回答数 約28000人(抽出率 約1/2000)
 → 2000倍するとおおまかな実数になるとの想定

・調査内容
 属性データ
 居住地域での地域活動への参加
 関わり先のステータス
 関わり先での関わり方 など




〇三大都市圏の関係人口の実態(アンケート結果から)



・三大都市圏には、いずれかの地域に関わりを持つ1000万人超の関係人口がいる
 → 日常生活、通勤・通学以外に定期的・継続的に関わりを持っている地域がある
 → かつ二拠点・他拠点居住ではない人を関係人口と定義


・多様な関わり方をしている
 → 「地域産品の購入や飲食」が最多、次に「趣味や地域環境を楽しむ」が続く


「趣味・消費型」「参加・交流型」「就労型」「直接寄与型」に分類
 → 地域との関わり方の度合いは、「直接寄与型」>「就労型」>「参加・交流型」>「趣味・消費型」
 → 最も地域への関わり方が深い「直接寄与型」は1割強で最も少ない
 → ただし、人数で見るとそれでも100万人を超えると想定される


・関係人口の関わり先地域までの移動時間は2時間未満が多い


・訪問頻度は「年1回」から「年数回」がそれぞれ3割弱
 → 意外なのは、1回の滞在時間は宿泊を伴わない日帰りが5割を超えていること
 → 関係人口の伸びしろといえる
 → 宿泊してもらうにはどうしたらいいか?


・訪問人数は、「自分一人」と「家族」がそれぞれ5割超(複数回答)
 → 意外にも家族訪問が多い(関係家族、関係ファミリー)
 → 仲間が仲間を呼ぶ、関係人口が関係人口を連れてくるという視点が考えられる


・関係人口の関わり先は首都圏が約3割(うち東京が最多)
 → 地方圏は数%にとどまる(ただし、実数としては1%で数十万人単位になる)


・「直接寄与型」は地域での主体的な活動を担っている人が多い
 → ホスト的役割、事務局


・「直接寄与型」が考える関係人口に必要な要素は「①時間」「②場所」「③金」「④仲間」「⑤機会」


・「参加・交流型」は、もともとの地縁・血縁関係がベースになる人が多い


・関係人口は、関係先を移住先として魅力を感じている
 → ただし、必ずしも移住する必要はないことに注意
 → 地域の関係人口としてファーストステップを踏むことで、移住者が生まれる可能性が高まるということ




◎気づき



・関係人口をつくるということは、その人たちが新たな関係人口を地域に連れてきてくれる可能性を切り開くこと


東京に近い順に割合が多く、思ったより地方に流れている割合は少ないと感じた
 ⇒ ただ、これは東京に近いほど、関係人口の入口に近いということで、まず地域への興味・関心から、東京、神奈川、埼玉、千葉で気軽に地域に関わっている人が多いということではないか
  ⇒ 当然ながら東京が最も人口が多く、そこから山のすそ野のように広がっているイメージ
  
⇒ 埼玉は東京から近く、関係人口から見ればハードルが低い
  ⇒ 埼玉県は、関係人口になるための要素の多くで、条件を満たせる(時間、金、仲間)
    近いので移動に時間がかからない
    近いので移動に要するお金がかからない
    東京に近く、人口も多いので、関わる仲間も多い


・地域に関わりが深いほど、地域に関係人口を呼ぶこむ側としての働きかけの役割を担っている


・まずは地域の関係人口を増やすことで、その中から移住者が生まれてくる素地ができる


・地縁・血縁関係があると、地域を身近に感じているので気軽に関わりやすい
 ⇒ 反面、「参加・交流型」にとどまるということは、地縁・血縁関係があることにネガティブな側面がある可能性もある
 ⇒ 地縁・血縁関係からくる身近さを土台にしながらも、地域への愛着を高めていける仕掛けが必要



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
↑ ここまで



今回の国土交通省の調査は、関係人口の最大の課題ともいえる定量的な把握を試みたものということで非常に興味深いですねー。

ただし、おおまかな概要は把握できるものの、実態把握とまではいえないでしょう。

地域ごとの関係人口の関わり方をいかに把握し、見える化するかということが今後の大きな課題だと思います。

私がそう思うのは、次の2つの理由からです。


①各地域の取組の成果把握として不可欠な要素である

②その地域に関心がある人にとって、そこにどのような関係人口がいてどんな活動をしているかを知ることができるということが地域に関わる大きな後押しになる




もちろん地域ごとの関係人口の把握の仕方は、各地域でいろいろなやり方があると思います。

地域えいろいろなやり方を試して、その知見をシェアできると、日本全体でノウハウをストックできるので、これはぜひ取り組んでいきたいですね。





まずは残りのノートまとめなきゃ。

また次回をお楽しみに。
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