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シンポジウム

シンポジウム「関係人口とつくる地域の未来」レポート(その4)

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2020年1月10日(金)に開催されたシンポジウム「関係人口とつくる地域の未来」(主催:国土交通省)の参加レポート第4弾です。

いよいよ最終回となりました。

4回目となる今回は、パネルディスカッション「関係人口をめぐる新しい動き」を取り上げます。

果たして今、「関係人口」そして地域に何が起こっているか、パネリストたちの熱い議論が交わされました。


第1回はこちら

第2回はこちら

第3回はこちら



今回のシンポジウムは、テーマが「関係人口」、そしてコミュニティデザイナーの山崎亮さんや、ソトコト編集長の指出一正さんが登壇するとあっては、もう参加するしかありません!





関係人口は、めちゃくちゃ面白い!

そして、登壇者の人たちの話も面白かった!



ここでは、シンポジウムの内容を私なりにまとめて公開しています。

ボリュームが多いので、全4回の連載でお送りしています。(4回目)



【プログラム】


(1)特別講演「コミュニティデザインと活動人口」 ← 第1回
   登壇者:山崎亮 氏(Studio-L代表、コミュニティデザイナー)


(2)基調講演①「関係人口の新傾向」 ← 第2回
   登壇者:指出一正 氏(株式会社sotokoto online、ソトコト編集長)


(3)基調講演②「国交省アンケートから見る関係人口」 ← 第3回
   登壇者:小田切徳美 氏(明治大学農学部教授)


(4)パネルディスカッション「関係人口をめぐる新しい動き」 ← 第4回(今回はココ。最終回)
   コーディネーター:小田切徳美 氏
   コメンテーター:山崎亮 氏
   パネリスト:指出一正 氏 ほか3名



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↓ レポートはここから
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◆パネルディスカッション「関係人口をめぐる新しい動き」

   
コーディネーター:小田切徳美 氏(明治大学農学部教授)

コメンテーター:山崎亮 氏(Studio-L)
パネリスト:指出一正 氏(株式会社sotokoto online)
      関貴之 氏(岩手県八幡平市 企画財政課)
      多田朋孔 氏(特定非営利活動法人 地域おこし)
      松原佳代 氏(株式会社カヤック Living)





〇関氏(八幡平市の現状と取組)

・人口約26000人。人口減少が深刻(4年間で1000人以上減少)

・移住者、関係人口の受け入れ態勢の整備に注力している

 → 「起業志民プロジェクト」

無料のプログラミング講座で、シェアハウス提供。ハワイから移住実績

 → 「丸の内プラチナ大学」

 → 「さすらい合宿」(フリーランス向けプログラム)

 → 「副業受け入れプロジェクト」

   大都市の副業人材×地域中小企業

   8社の求人に対して、90名以上の応募があった課題として、企業側の採用スキルが伴わず、2名の採用にとどまった・・・

 


〇多田氏(NPO法人地域おこしの取組)
・自給自足を目指して活動開始

 → 自立までの足がかりとして地域おこし協力隊の制度を活用
・活動内容を発信していたところ、農文協からの原稿オファー

 → 書籍化『奇跡の集落』
・四季を通じた体験メニューやコンサルタントの経験を活かして地域でのワークショップ、企業研修を提供

 



〇松原氏(カヤックLiving、「SMOUT」の取組)
・オンラインでの移住スカウトサービス「SMOUT」では、地域と地域に関心がある人のマッチングプラットフォームを提供

・地域側から「こういう人に来てほしい」というプロジェクトを投稿

 → 地域に関心のあるユーザーとのオンラインチャットでやり取り、マッチング

・現在280市町村が登録し、ユーザー数は10000人を突破(2020年1月)

・関係人口の数値化も意識

→ 独自に「スコアネット関係人口」を数値化

・運営者は地域に直接行くことはなく、あくまでマッチングツールとしてのプラットフォームを提供

 → オンラインでのチャットや移住相談、地域おこし協力隊の説明会
・インターネットだけでは移住にはつなげられない

 → 移住につなげてくれるプレーヤーへのつなぎ役と考えている
・カスタマーサクセスは、地域を応援し、地域と地域に関心のある人の出会いをつくること

 → あくまで主役は地域の人で、その伴走者になる

 



〇副業と関係人口

(指出氏)

・副業から入りやすい地域が増えている

→ 関係人口と副業は相性がいい。可能性大
・地域の若い経営者は積極的に副業人材を活用してもい
いのではないか

 


〇関係案内所とは?

(指出氏)

・必ずしもハードとしての「場所」が必要なわけではないが、外から見ると場所があった方がシンプルにわかりやすい

・来る人が受け入れられて、活動できる体制、環境が整っていることが重要
・地域全体が関係案内所のように機能している事例もある

・外から来た人と地域の人が具体的な関係がつくれるように考えながら、場所をつくり変えていく

 → スケールしていく

 → 地域の雰囲気が変わっていく
・目的は関係案内のためのメディアを増やすこと

 → 場所があることは大事だが、場所をつくること自体は目的ではない


(多田氏)
・地域との関係をつなぐ役割

・地域の人との個人的なつながるができるような場

 → 一緒に何かする(飲む、つくるなど)

 


〇関係人口が増えると地域がどう変わるか?

(関氏)
・何か地域の力になりたいという関係人口に、受け入れる地域の側の体制が追い付いていない

・地域から過剰な期待や役割が課せられると、お互い不幸な結果になる

 


〇インターネットで関係をつくることについて


(松原氏)

SMOUTの目的は、地域に入る1歩前の状態をつくること

 → リアルの関係案内所の人のところまでつなげていくこと

・地域に興味があるような人は既に移住してしまっている

・興味ある人を掘り起こすこと、それを地域とつなげることにSMOUTの意義がある

・小田切先生がいうところの「つながりサポート機能」のネット版


 

〇関係人口と移住の関係


(指出)

・関係人口は淡水。淡水には多様な生態系がある。

・地域のことが好き、関心が同じ人が増えることは地域にとっていいこと

・移住は決してゴールじゃないが、結果としての移住はOK



(関氏)

・地域に魅力があれば移住する人も増えるのではないか

・魅力ある地域づくりをすることが大事と思い、それに注力している

 

⇒ 地域づくりそのものに魅力を感じる人もいる

⇒ 「自分が関わっている感」「地域に自分の居場所がある感」がある=関わりしろが重要であるという視点が必要だと思っている

⇒ 至れり尽くせりの環境が既にできあがっていることを求めているわけではない。そういう人は東京に行くのでは?

 

(松原氏)

・移住を求めすぎると逆に逃げる

・常に地域の外にいて、地域を応援してくれる人の存在はありがたい

・都会にいるからこそできる関係人口の役割もある

 

(小田切氏)

・関係人口は多様であり、グラデーションがある。

・強要する必要はない。

・移住はゴールではなく、一つの結果ということ

 


〇関係人口を受け入れるために必要なこと(関係案内所以外で)


(指出)

・「うちを好きな人じゃないと来てほしくない」(地域側)

 → そもそも地域に興味ある人少ない。圧倒的に知らない人が多い

 → 入口時点で条件つくることは、一般的な「地域」に関心持つ人を遠ざける

・なんとなく地域に関心があるという人でもちゃんと受け入れられる人がいることが明暗をわける

・うまくいっている地域の共通点は、活動人口が多いこと



(山崎氏)

・地域の魅力を発信している人、地域で活動している人がいるという人の魅力はかなり大きなウエイトを占める

 → ポイントは、この人と友達になりたい、一緒に何かやりたいと思える人がどれだけいるか

 → 地域に来てくれた人とその人たちが出会うことができるか

・「移住してくれたら補助金がもらえる」制度はいかがなものか

 → お金目当ての人ばっかりが集まってくる

 → そういう人と友達になりたいか?

 → 志のある人は逆に来ない



(多田氏)

・移住者が優遇されすぎると、住民からの反感も起こる

 


〇活動人口と関係人口

(山崎氏)

・活動人口に厳密な定義があるわけではない。地域内にいる関係人口に近いイメージ

・コミュニティはもともと地域のコミュニティを意味した

 → 今の若い人はコミュニティに「地域」というイメージがない

・地域で区切る必要はなく、趣味や好きなことが一致する人たちのつながり

・ただし、自分たちが好きなことをするというだけだったら飽きてしまう

 → 「好きなこと+少しでも役に立つ、変化が起こる、地域の人から感謝される」レベルのことをすると満足度が高まる

・のろし好きな人が、月1回だけ山の上でのろし

 → 別の人が、他の複数個所で応答のろし

 → 山火事にならないよう、広場を掃除する

 → 月に1回広場がきれいになる

 → 地域の人から感謝


(指出)

・マルシェは「おしゃれな生存確認」

→ 生きるっていいな、あの人生きているな、笑える場所

→ 仲間が入っていける


(関)

・郷土芸能やっている

 → 一人だと撮影できない

 → 写真撮る仲間、発信する仲間ができると嬉しい

・自分でできることで関わっていく、関わりが生まれる



(多田氏)

・関わり方は2つの類型がある

    仕事は関係ないけど、楽しいこと、好きなこと、盛り上がること

    仕事そのもの。ソーシャルビジネス、コミュニティビジネス

・楽しくないと続かないし、お金が回らないと続かない

・リーダーの役割も必要だし、サポーターの役割も必要



(松原氏)

・自分の生き方を明確に持っている人の生きざまが人を惹きつける、人を惹きつけたところから関係が生まれる

・活動人口が強いところは関係をつくる力が強い

 

⇒ 関係をつくる力=魅力といえる

 

(小田切氏)

活動人口=関係案内人といっていいのでは。

 

 

〇会場から意見


・コミュ強の人は楽しそう。コミュ障気味でも地域は好き。でも入っていくのは怖い

 

SDGsの雰囲気と関係人口の関係とは?

 
→(指出氏)

  知人の外国人が、関係人口を「コネクテッドマインドネス」と表現したことがある。

  共感から生まれた行動というのは、まさにSDGsの考え方に共通するもの。

  住めないけど、その地域や地域に住んでいる人が好きという感覚は、相手のことを思いやること、共感であり、持続的な未来をつくるために必要なことだと感じる。

 


〇全体まとめ

・関係案内所が必要

 → ごちゃまぜになる場所。地域を変える雰囲気をつくる

・活動人口が必要

 → 当事者意識。様々な人が寄り合い、楽しみながら活動する

・新しい潮流が生まれている

 → 副業、SDG

 → 関係人口の概念が発展している



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↑ ここまで



今回のシンポジウムはかなり勉強になりました。

今後の地域活性化ではおそらくこの「関係人口」というのがひとつ大きなポイントになってくるのではないでしょうか。

移住ばっかり追い求めて、関係人口づくりに目を向けない地域は確実に行きづまるでしょう。

また、山崎さんのいうとおり、お金で移住を促進するという考え方も、形上の数が増えるだけで決して地域の活動人口は増えないでしょうし。



この関係人口と活動人口のつながりというのもポイントかもしれませんね。

地域外の関係人口を増やすとともに、地域内では活動人口を増やすこと。

そしてこの両者がつながり、一緒に活動していくこと。

そのことが地域の総合的な活力をアップさせていくことにつながっていきそうです。

そのために必要なのが関係案内所の役割といえるでしょう。



今後、各地域でどんな取組が起こっていくか楽しみです!

私もときがわ町の「イチ関係人口」としての活動を続けていきたいと思います!



シンポジウム「関係人口とつくる地域の未来」レポート(その3)

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2020年1月10日(金)に開催されたシンポジウム「関係人口とつくる地域の未来」(主催:国土交通省)の参加レポート第3弾です。

第1弾はこちら

第2弾はこちら




テーマが「関係人口」、そしてコミュニティデザイナーの山崎亮さんや、ソトコト編集長の指出一正さんが登壇するとあっては、もう参加するしかないでしょう!





関係人口は、めちゃくちゃ面白い!

そして、登壇者の人たちの話も面白かった!



ここでは、シンポジウムの内容を私なりにまとめて公開しています。

ボリュームが多いので、全4回の連載でお送りします。




3回目となる今回は、明治大学農学部教授の小田切徳美さんによる基調講演「国交省アンケートから見る関係人口」を取り上げます。






【プログラム】


(1)特別講演「コミュニティデザインと活動人口」 ← 第1回
   登壇者:山崎亮 氏(Studio-L代表、コミュニティデザイナー)


(2)基調講演①「関係人口の新傾向」 ← 第2回
   登壇者:指出一正 氏(株式会社sotokoto online、ソトコト編集長)


(3)基調講演②「国交省アンケートから見る関係人口」 ← 第3回(今回はココ)
   登壇者:小田切徳美 氏(明治大学農学部教授)


(4)パネルディスカッション「関係人口をめぐる新しい動き」 ← 第4回
   コーディネーター:小田切徳美 氏
   コメンテーター:山崎亮 氏
   パネリスト:指出一正 氏 ほか3名



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↓ レポートはここから
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◆基調講演「国交省アンケートから見る関係人口」

登壇者:小田切徳美 氏(明治大学農学部教授 ライフスタイルの多様化等に関する座談会座長)



〇関係人口を巡る課題


①関係人口の概念はは広がっているが、量的な把握が不十分

②関係人口といわれる人たちは、いったい地域で何をしているのか?





〇国土交通省による関係人口調査の概要



・三大都市圏の関係人口の実態把握

・インターネットアンケートによる約3万人の大量サンプル
 → 約5600万人のうち3万人
 → 有効回答数 約28000人(抽出率 約1/2000)
 → 2000倍するとおおまかな実数になるとの想定

・調査内容
 属性データ
 居住地域での地域活動への参加
 関わり先のステータス
 関わり先での関わり方 など




〇三大都市圏の関係人口の実態(アンケート結果から)



・三大都市圏には、いずれかの地域に関わりを持つ1000万人超の関係人口がいる
 → 日常生活、通勤・通学以外に定期的・継続的に関わりを持っている地域がある
 → かつ二拠点・他拠点居住ではない人を関係人口と定義


・多様な関わり方をしている
 → 「地域産品の購入や飲食」が最多、次に「趣味や地域環境を楽しむ」が続く


「趣味・消費型」「参加・交流型」「就労型」「直接寄与型」に分類
 → 地域との関わり方の度合いは、「直接寄与型」>「就労型」>「参加・交流型」>「趣味・消費型」
 → 最も地域への関わり方が深い「直接寄与型」は1割強で最も少ない
 → ただし、人数で見るとそれでも100万人を超えると想定される


・関係人口の関わり先地域までの移動時間は2時間未満が多い


・訪問頻度は「年1回」から「年数回」がそれぞれ3割弱
 → 意外なのは、1回の滞在時間は宿泊を伴わない日帰りが5割を超えていること
 → 関係人口の伸びしろといえる
 → 宿泊してもらうにはどうしたらいいか?


・訪問人数は、「自分一人」と「家族」がそれぞれ5割超(複数回答)
 → 意外にも家族訪問が多い(関係家族、関係ファミリー)
 → 仲間が仲間を呼ぶ、関係人口が関係人口を連れてくるという視点が考えられる


・関係人口の関わり先は首都圏が約3割(うち東京が最多)
 → 地方圏は数%にとどまる(ただし、実数としては1%で数十万人単位になる)


・「直接寄与型」は地域での主体的な活動を担っている人が多い
 → ホスト的役割、事務局


・「直接寄与型」が考える関係人口に必要な要素は「①時間」「②場所」「③金」「④仲間」「⑤機会」


・「参加・交流型」は、もともとの地縁・血縁関係がベースになる人が多い


・関係人口は、関係先を移住先として魅力を感じている
 → ただし、必ずしも移住する必要はないことに注意
 → 地域の関係人口としてファーストステップを踏むことで、移住者が生まれる可能性が高まるということ




◎気づき



・関係人口をつくるということは、その人たちが新たな関係人口を地域に連れてきてくれる可能性を切り開くこと


東京に近い順に割合が多く、思ったより地方に流れている割合は少ないと感じた
 ⇒ ただ、これは東京に近いほど、関係人口の入口に近いということで、まず地域への興味・関心から、東京、神奈川、埼玉、千葉で気軽に地域に関わっている人が多いということではないか
  ⇒ 当然ながら東京が最も人口が多く、そこから山のすそ野のように広がっているイメージ
  
⇒ 埼玉は東京から近く、関係人口から見ればハードルが低い
  ⇒ 埼玉県は、関係人口になるための要素の多くで、条件を満たせる(時間、金、仲間)
    近いので移動に時間がかからない
    近いので移動に要するお金がかからない
    東京に近く、人口も多いので、関わる仲間も多い


・地域に関わりが深いほど、地域に関係人口を呼ぶこむ側としての働きかけの役割を担っている


・まずは地域の関係人口を増やすことで、その中から移住者が生まれてくる素地ができる


・地縁・血縁関係があると、地域を身近に感じているので気軽に関わりやすい
 ⇒ 反面、「参加・交流型」にとどまるということは、地縁・血縁関係があることにネガティブな側面がある可能性もある
 ⇒ 地縁・血縁関係からくる身近さを土台にしながらも、地域への愛着を高めていける仕掛けが必要



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↑ ここまで



今回の国土交通省の調査は、関係人口の最大の課題ともいえる定量的な把握を試みたものということで非常に興味深いですねー。

ただし、おおまかな概要は把握できるものの、実態把握とまではいえないでしょう。

地域ごとの関係人口の関わり方をいかに把握し、見える化するかということが今後の大きな課題だと思います。

私がそう思うのは、次の2つの理由からです。


①各地域の取組の成果把握として不可欠な要素である

②その地域に関心がある人にとって、そこにどのような関係人口がいてどんな活動をしているかを知ることができるということが地域に関わる大きな後押しになる




もちろん地域ごとの関係人口の把握の仕方は、各地域でいろいろなやり方があると思います。

地域えいろいろなやり方を試して、その知見をシェアできると、日本全体でノウハウをストックできるので、これはぜひ取り組んでいきたいですね。





まずは残りのノートまとめなきゃ。

また次回をお楽しみに。

シンポジウム「関係人口とつくる地域の未来」レポート(その2)

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2020年1月10日(金)に開催されたシンポジウム「関係人口とつくる地域の未来」(主催:国土交通省)の参加レポート第2弾です。

第1回はこちら



テーマが「関係人口」、そしてコミュニティデザイナーの山崎亮さんや、ソトコト編集長の指出一正さんが登壇するとあっては、もう参加するしかないでしょう!





関係人口は、めちゃくちゃ面白い!

そして、登壇者の人たちの話も面白かった!



ここでは、シンポジウムの内容を私なりにまとめて公開しています。

ボリュームが多いので、全4回の連載でお送りします。



前回は、特別講演としてコミュニティデザイナーの山崎亮さんによる「コミュニティデザインと活動人口」のレポートをご紹介しました。

第1回のレポートはこちら



2回目となる今回は、ソトコト編集長の指出一正さんによる基調講演「関係人口の新傾向」を取り上げます。






【プログラム】


(1)特別講演「コミュニティデザインと活動人口」 ← 第1回
   登壇者:山崎亮 氏(Studio-L代表、コミュニティデザイナー)


(2)基調講演①「関係人口の新傾向」 ← 第2回(今回はココ)
   登壇者:指出一正 氏(株式会社sotokoto online、ソトコト編集長)


(3)基調講演②「国交省アンケートから見る関係人口」 ← 第3回
   登壇者:小田切徳美 氏(明治大学農学部教授)


(4)パネルディスカッション「関係人口をめぐる新しい動き」 ← 第4回
   コーディネーター:小田切徳美 氏
   コメンテーター:山崎亮 氏
   パネリスト:指出一正 氏 ほか3名



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↓ レポートはここから
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◆基調講演「関係人口の新傾向」

登壇者:指出一正 氏(株式記者sotokoto online、「ソトコト」編集長)



〇関係人口を巡る動き

・マイクロフード(有楽町)
 関係案内所。ローカルなヘンタイ。みんなヘンタイ(笑)

・地域循環共生圏
 若い人たちと、地域の未来を考えるツアー。SDGsローカルツアー
 キーワードは「関係人口」

・関係人口サミット(大分県)
 今年の2月に初開催(3日間)

→ 観光では飽き足らないけど、移住までいかない、地域と関わりたい若い人が増えている

⇒ いきなり移住したいと思って地域に入ってくる人は少ない
  最初は純粋な地域への興味、憧れ
  入り口はどこでもよく、その地域に来たのはたまたま気になっただけかもしれない

⇒ いきなり移住をゴールに掲げてしまうと、ハードルをつくってしまうことになる
  移住は一つの結果であって、ゴールではない
  関係の一つの在り方




〇関係人口づくり講座

①たなコトアカデミー(和歌山県田辺市)
 ・たなべ営業室(3年目)
 ・地元新聞社が協力することで、急速に取組の認知が広がっている
  → 「あの人たちはあそこで何をしているんだろう?」という地元の人の視線は、恥ずかしくて実は結構なハードルになっている
  → 地元メディアの力で、地元に定着させて受け入れる基盤をつくることは重要
 ・受講生は自主的に青山ファーマーズマーケットでイベントなどをやっている
  → 地域に住んでいないことで、地域外の取組が生まれる


②しまコトアカデミー(島根県)
 ・8年目になり、コミュニティーは300~400人規模に成長
  → 仕事が生まれてきた
 ・自分がやりたいことと、地元が大事にしていること・ものを結びつけたところに仕事が生まれる
  → 休耕田を使った金魚養殖
  → トヨタの私有林を使った世界最高品質のドッグラン(東京ドーム370個分!)
 ・地域に住んでいる人だけで地域のことを考えていればいい時代ではない
  → 拡散して、それぞれの場所で自分の人生を楽しむ生き方



〇地域内関係人口と流域関係人口

・地域内関係人口=活動人口(山崎亮氏)
 = 地域内に住んで、その地域を盛り上げようと活動している人たち

・流域関係人口
 = 地域に住んでいなくても、その地域を盛り上げる活動をしたら、地域との関係が生まれる
 → 一つの限定された地域ではなく、「流域」の中で地域づくりをしていくこと
 → お互いが仲良くなる。「おしゃれな広域連携」の潮流が生まれている
 → 「おしゃれな広域連携」は若い人の行動と相性がとてもいい


⇒ 単なる「関係人口」ではなく、「~(地名など)関係人口」とすることでコミュニティ感が生まれるのではないか

⇒ 「関係人口」は少し硬い印象を受けるので、柔らかく感じる呼称があると実際に活動する若い人たちになじみやすいかもしれない。




〇関係人口の3つの新傾向

①関係案内所

②おしゃれな広域連携

③SDGs的




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↑ ここまで



妻が『ソトコト』を定期購読じゃないけど、ほぼ定期購入しているので、私もよく『ソトコト』を読んでいます。

そのこともあって、指出さんのお話を実際に聞けるのはちょっとした感動でした。



そして、休憩時間に入ると、意外にも指出さんに挨拶に向かう人が少ない。

これは、チャンス!!

と思い、名刺交換に突撃。



「妻も私も『ソトコト』大好きで(ほぼ)定期購読してます!
 公務員してるけど、もうすぐ辞めます。
 埼玉県ときがわ町で関係案内所つくりたいんです!」



と、初対面で思いのたけを大告白(!)



すると、指出さん


「おおー、いいですね!
 ときがわ町には一度いったことがありますよ。
 関係案内所つくったら、ぜひ教えてください。」




ザ・神対応。

めちゃめちゃええお人やー

なんと優しくおおらかで、懐の広い・・・

かっちょいい。

モチベーション断然上がりました



よーし、やるどー!!



まずは残りのノートまとめなきゃ。

また次回をお楽しみに。

シンポジウム「関係人口とつくる地域の未来」レポート(その1)

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2020年1月10日(金)に開催されたシンポジウム「関係人口とつくる地域の未来」(主催:国土交通省)に参加してきました。 

テーマが「関係人口」、そしてコミュニティデザイナーの山崎亮さんや、ソトコト編集長の指出一正さんが登壇するとあっては、もう参加するしかないでしょう!




結論、




めちゃくちゃ面白かった!

関係人口はやっぱり面白い!

この人たちも面白い!




以上。




いやいやいや。(ですよね)


では、いったい何がそこまで面白かったのか?

それをここではレポートとしてご紹介していきます。

ボリュームが多いので、全4回の連載でお送りします。




【プログラム】


(1)特別講演「コミュニティデザインと活動人口」 ← 第1回(今回はココ)
   登壇者:山崎亮 氏(Studio-L代表、コミュニティデザイナー)


(2)基調講演①「関係人口の新傾向」 ← 第2回
   登壇者:指出一正 氏(株式会社sotokoto online、ソトコト編集長)


(3)基調講演②「国交省アンケートから見る関係人口」 ← 第3回
   登壇者:小田切徳美 氏(明治大学農学部教授)


(4)パネルディスカッション「関係人口をめぐる新しい動き」 ← 第4回
   コーディネーター:小田切徳美 氏
   コメンテーター:山崎亮 氏
   パネリスト:指出一正 氏 ほか3名


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↓ レポートはここから
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◆特別講演「コミュニティデザインと活動人口」

登壇者:山崎亮 氏(Studio-L代表、コミュニティデザイナー)



〇「活動人口」

「活動人口」は、関係人口という言葉ができる前に、山崎さんが使用していた言葉

・明確な定義があるわけではない。ざっくり「地域でまちづくりに関する活動をしている人たちの数」

・「まちづくりの目標は人口を増やすことか?」という疑問
 → 「道路の掃除は行政がやるもの。」そんな人たちばかり増えてしまっては困る

・まちづくりをしてくれる人の数=活動人口が増えないといけない

・人口10万人で活動人口が1000人くらいのまちと、人口1万人で活動人口が5000人いるまちのどちらに住みたいか?
 → 友達が多くつくれそうな、面白そうなまちはどちらかという視点




〇泉佐野丘陵緑地の事例(大阪府)


・もともとは建設系のデザイナーだった
 → 今はコミュニティデザイナー。ものはつくらない

・「公共施設をつくるのに、施設を使う住民の意見を聞かずに建築家が『作品』をつくるというやり方はおかしいのではないか?」という疑問
 → 住民と徹底的に話し合うコミュニティデザイナーへ

・大きな公園をつくるプロジェクトだったが、10のうち3しか整備しないこととした
 → 残りの7は住民が自らつくっていくことをコンセプトとした
 → 「永遠に完成しない公園」

・毎年30人のパークレンジャーを養成
 → 6回の講座受講後、パークレンジャーが自分たちで考えて公園を整備していく

 ⇒ 面白い!
 ⇒ 山でも同じことができるかも


・若い人は思ったより来ず、65~70歳中心
 → 30人枠に160人から応募があった
 → 作文で選考
 → 実は奥さんが勝手に応募していた人が多かったと判明(退職後、家にいられたくない)
 → 爆笑(笑)

・元は棚田だった休耕田を畑として再生、緑道を整備、ピザ窯、体験メニュー多数
 → その年のパークレンジャーが、どこをどのように整備していくかを決定する
 → 毎年、「公園ができていく」という住民の実感

・当初は10年間請け負う契約だったが、行政からの要請で10年延長

・パークレンジャーOBも自主的に活動
 → 10年前の1期生は当初より健康で筋肉隆々
 → 公園つくったら健康になった

・病気の人に薬を処方するのではなく、「活動」を処方する

・一緒になってまちづくりをする、活動人口になる
 → 地域の人たちと一緒につくるという視点
 
→ 健康で楽しく、長生きする方法
 → 単なる寿命ではなく、健康寿命が延びる
 → 活動人口が増えることが、幸せなまちをつくることにつながる

⇒ まさにこの視点はこれからのまちづくりに必要

⇒ 民生費、社会医療費の削減にもつながる

⇒ 徳島県上勝町の葉っぱビジネスにつうじるものがある

⇒ 葉っぱビジネスのようにビジネスが生まれたら、さらに地域の波及効果が増大する




〇エイジフレンドワークシティの事例(秋田県)

美術館で健康づくりに関する展覧会を開く
 → 
すでに健康づくりに興味があり、行動している人に来てもらっても仕方ない
 → いつもと同じメンバー、常連さんではなく、健康づくりに興味がない人にどうやって来てもらうかが課題

・コンセプトは「75歳以上の楽しそうに生きている人たちの生き様」
 → 29人で2240歳分のライフスタイル

・徹底したヒアリングからテーマを分類
 → 「着るもの」「食べもの」「住まい」


【着るものスタイル】
 ・娘と一緒に住んでいる人は明るい色を取り入れている
 ・独居老人は全体が暗い色になってしまう
  → それに気づくと明るい色を取り入れようと思う
 ・マネキンで再現した重ね着を1枚ずつはがす
  → 笑いが生まれる

【食べものスタイル】
 ・80歳独居老人のチャルメラの作り方の解説
  → なぜか土鍋でつくる
  → 土鍋を冷蔵庫から出す(なんで冷やしてんねん。爆笑)
  → 食材を何度も往復しながら少しずつ冷蔵庫から持ってきて下ごしらえ。動きがものすごく遅い
  → その間に土鍋のお湯が沸く(やっぱり土鍋は冷やしておかないとダメだった。爆笑)
 ・冷蔵庫の中身を再現
  → なぜか札束が出てくる(爆笑)

【住まいスタイル】
 ・人気だったのが「コックピット」=座椅子に座って、何でも手の届くところにある空間
 ・80代男性の家から、コックピットを2週間借用
  → その男性は、展示期間中、毎日コックピットにやってきた(爆笑)
  → 交流が生まれた


・展示をつくること自体が目的ではなく、エイジフレンドリーシティをつくるために人に来てもらって、仲間をつくるための仕掛け
 → 1640人の友達が生まれた
 → 12の元気のヒント
 → 一番は「20歳以上年下の友達をつくること(年の差フレンド)」

・逆にまちづくりをしたい若者は、20歳以上年上の友達をつくるといい

・展示会でつながった友達との新たな活動
 → 音楽チームのルール「当日集まった人の合計年齢が5000歳を超えないと歌わない」
 → ある日の集まりで4940歳
 → ちゃんと数えて歌わなかった(歌わないかい!歌えや。爆笑)

・「健幸(けんこう)」
 → 健康で楽しく長生きできるか

・デザインの役割
 → これまで地域活動に興味がなかった人たちを増やす、活動してもらうこと
 → これを考え、実践して生まれるのが地域づくり

・地域づくりに至るステップが、「人の意識→行動→生活→人生→地域」だとしたら、「意識」と「行動」にアプローチするのがコミュニティデザイン
 → 人を動かすこと、人をつなげること
 → 参加者同士がつながって、一緒になってやっていく
 → 自分と同じ立場の人たちが動くと、自分も変わる
 → それが変化になる

・地域の外の人たちの勇気づけもあると効果的
 → これが関係人口ともいえる
 → そのためのアイデア、具体的な地域との関係をつくる方法が地域にあるかが問われる
 → いわばチームビルディング


⇒ 多様な人が混ざるのもいいが、似たような人たちが集まると行動につながりやすい

⇒ 関係人口は、関係人口の人たちだけで完結するのではなく、具体的な地域との関わりがあってはじめて地域に変化を起こすことができるのではないか。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
↑ ここまで




いやー、やっぱり「関係人口」は面白いですね!

使い古されておらず、定義がかっちり固まっていないというのも議論の余地が多くて、想像も創造も膨らみます。

今回のシンポジウムは話の内容も話自体も面白くて、ノートを書く手が止まりませんでした。

気が付いたら、12ページ分にもなっていました




今回ご紹介した山崎亮さんに関しては、著書『コミュニティデザイン』『コミュニティデザインの時代』を読んでから、一度お話を聞いてみたいと考えていましたので念願叶いました。

話がめっちゃ面白い!

あれが関西系のノリなのか、どんどんブチ込んできます。

さすが「コミュニティデザイナー」。

相手の感情というか、行動を引き出すのがうまい。

30分しか時間がなかったのが残念でした。



さて、急いでノートまとめなきゃー。

また次回をお楽しみに。
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