SAITAMA(埼玉)暮らしと本が最強なワケ

サイタマ産まれ、サイタマ育ちの共働き夫婦によるサイタマ暮らし。 ほとんど埼玉を出ません。 埼玉LOVE♡ 本もLOVE♡ なので書評も書いています。

地方創生

『ぼくらは地方で幸せを見つける ソトコト流ローカル再生論』まとめ ~ローカルビジネス・起業のためのエッセンス読書記録~

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「3大関係人口バイブル」の1冊!


何度も読んでおきながら、読書記録を書き損ねていた『ぼくらは地方で幸せを見つける』(積読ならぬ積書)。

やっと書けましたー!

指出さん、失礼しました・・・。



いうまでもなく、本書は「関係人口」の基本書。

私の関係人口研究における基盤というか、基礎というか、出発点になっている本の一つです。

いわば「私的3大関係人口バイブル」のうちの1冊です。



ちなみに、残りの2冊はというと

『関係人口をつくる』(田中輝美)

『都市と地方をかきまぜる』(高橋博之)

です。



本書は、指出さんが「ローカルヒーロー」と呼ぶ地方で活躍する若者たちの事例が豊富に取り上げられていて、以下の点で示唆に富んでいます。

・地方に惹きつけられる若者の特性
・若者を惹きつけている地域の条件
・地方の可能性
・地方創生のポイント



「関係人口」を考える上では、地域ごとの人と地域の関わりを知ることが非常に重要だと思っています。

地域の姿は千差万別、そこで行動する人の姿も千差万別。

でも、その中に共通する要素に注目することで、「関係人口」をつくるためのヒントを得ることができるのではないか。

そう期待して、「関係人口」を知りたくなるたびに本書に目を通します。

そうすると、そのたびに違った視点から学びが得られるんですよね。

何度読んでも学びがある本ってステキだな。

そして地域っていいな。




↓ (内容紹介はここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「⇒」は個人的な気づき、学び



◎本書のポイント

・誰かから押しつけられて、義務感でやっているのではない。みんな純粋に、この地域を盛り上げたいと思って地域づくりに関わっている。心から面白いと思っている

・いまの若い人たちは仲間が頑張っている姿を見て「いいね!」と共感し応援する、心優しき世代

・欲しいのは「関わりしろ」=その地域に自分が関わる余白があるかどうか

・いまの若者たちは自分を探しているのではなく、自分が手応えや実感を得ながら暮らせる「居場所」を探している。そしてその居場所は、カフェやコミュニティスペースではなく「地域」である

・自分たちの地域にとって、どんな人が関わってくれたら嬉しいか、面白いか、課題が解決されるか。一緒に未来をつくりたい若者のことを知ることが、地域にどのような魅力があるかを再解釈することにつながる

・ローカルヒーローの共通点は、社会や他世代との交流を願い、これからの暮らしの未来と課題を自分ごととしてとらえている心の優しい現代の若者。だから、同世代の若者たちから支持され、みんなが集まってくる

・都会よりも地方に魅力を感じるのは、「関わりしろ」や「チャレンジしろ」が都会よりもずっとあるから

・地方やソーシャルの分野は、自分が関わって起きることがダイレクトに感じられ、大切な役割を果たしているという存在感を自己認識しやすい

・小さな経済のしくみが各地にできれば、規模で利益を獲得する資本主義経済とは異なるローカル経済が成り立つ

・ローカルの経済原則は、「テンション」。モノやカネは多い少ない判断されがちで、奪い合う構造にあるが、テンションは奪い合うことなく分け与えることができ、その熱量は周囲に伝播し、共鳴し、高め合うことでエネルギーに変わる

・地域の人を巻き込むのにいちばん大事なことは、「儲かるかどうか」と「面白いかどうか」

・自発性、当事者意識がまちづくりには大切で、ひとりでも多くの人が自分のまちのことを考え、動くようになると、その地域は活気づく

・いまや関係人口がまちを元気にする大事なプレーヤーになっている

・関係人口を増やすためには、移住してもらうことをゴールに設定しないこと

・地域の幸福度は「人口」ではなく、「独自性」や「カラー」ではかり、それを「価値」として共感し、求める人たちに届くメッセージをつくれるかがポイント

・魅力ある地域をつくるうえで、大事な要素が「コミュニティ」
 
当事者たちが楽しくないコミュニティに仲間は増えない

・いまの地方の未来を考えるうえで重要なのは、自分たちのことを「仲間」と考えてくれる人をどう見つけるか

・これからの地域を盛り上げていく「新しい地方」を発信するための3つの視点
①関係人口を増やす
②未来をつくっている手ごたえ
③自分ごととして楽しい






◆ ローカルに価値を見出す若者たち



・いまの20代、30代半ばくらいまでの世代は、小さなコミュニティの属性や多様な嗜好性、仲間との共感性などの価値を置き、行動することがひとつ前の世代よりも格段に多い

・「ひとり」ではなく、「仲間」や「みんな」も幸せになって、豊かな暮らしを送るための行為は、まさに「ソーシャル」そのもの
 → ソーシャル=社会や地域、環境をよりよくしていこうという行動やしくみ

・誰かから押しつけられて、義務感でやっているのではない。みんな純粋に、この地域を盛り上げたいと思って地域づくりに関わっている。心から面白いと思っている

・いまの若い人たちは仲間が頑張っている姿を見て「いいね!」と共感し応援する、心優しき世代

・インターネットを通じて、これだけ多種多様な情報が簡単に手に入る社会に暮らす若者にとって、一方的に与えられるまちの魅力の情報はあまり価値がない

・欲しいのは「関わりしろ」=その地域に自分が関わる余白があるかどうか
 → リアルな場所で求められるのは、自分事として参加できるか、ひとりの人間として必要とされているか

・彼らの心の芯にあるものは、「応援したい。支え手になりたい」という気持ちで、自分が関わることで、少しでもよい方向に向かうことに喜びや手応えを感じている

・いまの若者たちは自分を探しているのではなく、自分が手応えや実感を得ながら暮らせる「居場所」を探している。そしてその居場所は、カフェやコミュニティスペースではなく「地域」である

・自分たちの地域にとって、どんな人が関わってくれたら嬉しいか、面白いか、課題が解決されるか。一緒に未来をつくりたい若者のことを知ることが、地域にどのような魅力があるかを再解釈することにつながる
 → お国自慢ではなく、居場所や関わり場所を探している若者たちが、その土地を見つけてくれる方法を考えることが大切





◆ローカルヒーローたち


〇パーリー建築(新潟県十日町市 ほか)

・パーティーをすることは手段であって目的ではない。自分たちがひとつの船に乗って、中山間地域という海原を旅していくなかで、最高に心の通う、最強の乗組員(仲間)を増やしていきたい

・「生きる」をどう面白くしていくかを、自分たちだけで完結させずに、同じ価値観を共有できる仲間たちと一緒につくろうとしている

・ローカルヒーローの共通点は、社会や他世代との交流を願い、これからの暮らしの未来と課題を自分ごととしてとらえている心の優しい現代の若者。だから、同世代の若者たちから支持され、みんなが集まってくる



〇ペンターン女子(宮城県気仙沼市)


・都会よりも地方に魅力を感じるのは、「関わりしろ」や「チャレンジしろ」が都会よりもずっとあるから
 → 地方は、東京のように生活のシステムに隙のないところは少なく、何を行うにしても自分が関わらざるをえない状況のほうが多い場所
 → これが若い世代にとっては面白い。「生きることへの出番」がしっかりある

・どの地域より「人がいる」といえるか
 → 人口という数ではなく、どんな人がいるかのほうが重要

・地方で暮らすこと、働くことの魅力を20代の若者がSNSなどで発信することは、どこでどんなふうに生きていきたいかを模索する人たち、特に「地方で生きる」ことを選択肢として考える若い人たちにとって、非常に有益な情報になる



〇『四国食べる通信』編集長 ポン真鍋さん(香川県小豆島、高松市)

・地方やソーシャルの分野は夢や希望に溢れている
 → 自分が関わって起きることがダイレクトに感じられ、大切な役割を果たしているという存在感を自己認識しやすいから
 → 3年後、5年後という近い未来をつくる行為を仲間やコミュニティで共有できる高揚感

・問題は、きちんと収益を上げて持続可能な経済のしくみができていないこと
 → 続けていくために稼ぎを生み出すためにはどうすればいいかという視点で語ることがいる人があまりいない
 → ローカルの価値観とグローバルな視点の両方を併せ持つ人物が、これからの地方には絶対的に必要

・「仲間経済」=縁でつながる経済のしくみ
 → 買い手は自分の信頼する生産者や、信頼する仲間がすすめるモノを買う。贈り物をうときもそういうモノを贈る。つくり手は信頼できるお客をほかの信頼できるつくり手に紹介する。つまりお客もシェアし合う

・小さな経済のしくみが各地にできれば、規模で利益を獲得する資本主義経済とは異なるローカル経済が成り立つ

・ローカルの経済原則は、「テンションは最高のギフト」
 → モノやカネは多い少ない判断されがちで、奪い合う構造にある。テンションは奪い合うことなく分け与えることができる。それだけではなく、その熱量は周囲に伝播し、共鳴し、高め合える。つまりエネルギーに変わる




〇いとしまシェアハウス(福岡県糸島市)

・東日本大震災を経験し、自分たちがいかに暮らしを「自分ごと」にできていなかったかを痛感した人たちが、暮らしを自分の手で取り戻したい、という意識に変わった



〇巡の環(島根県海士町)

・地域の人を巻き込むのにいちばん大事なことは、「儲かるかどうか」「面白いかどうか」

・地域で生きるとは、自分たちがやりたいことの実現を目指すのではない。地元の人たちと同じ目線に立ち、お互いにとって幸せな未来とはどのようなものかをともに探索していくことが大事



〇幸田直人さん(鳥取県三朝町)


・「つくって完成」ではなく、手を加えながらより自分に合うものにしていく

・現代のソーシャルとローカル志向の若い人いに通底する価値観は、「大きなものより小さいもの、強いものより優しいもの、速いものよりゆっくりなもの」



〇秋田和良さん(広島県安芸太田町)


・「なんでもやります」という姿勢は、じつはローカルで暮らすうえで必要なスタンス
 → 地域のなかでは「自分はこういうことが得意なので、こういう仕事がしたい」といったところで、その仕事の需要がなければ成立しない



〇桃色ウサヒ 佐藤恒平さん(山形県朝日町)

・自発性、当事者意識がまちづくりには大切で、ひとりでも多くの人が自分のまちのことを考え、動くようになると、その地域は活気づく



〇シマネプロモーション 三浦大紀(島根県浜田市)


・地域をプロモーションする上で重要な7つのポイント
①その土地らしさを形にする
②地域とつくり手のメッセージを伝える
③地域の魅力がダイレクトに伝わるデザイン
④面白く、ポジティブに見せる
⑤従来、伝えきれなかった世代に届ける
⑥ファッショナブルさを忘れない
⑦発信する側が楽しんでいる

・仲間が仲間を呼ぶ
 → チームになる人たちは、お互いに惹かれあうところが必ずある





◆地域の未来をみんなでつくる


〇キーワードは「関係人口」

・関係人口とは、「地域に関わってくれる人口」のこと
 → 自分のお気に入りの地域に週末ごとに通ってくれたり、頻繁に通わなくても何らかの形でその地域を応援してくれるような人たち

・いまや関係人口がまちを元気にする大事なプレーヤーになっている

・関係人口を増やすためには、移住してもらうことをゴールに設定しないこと

・地域の幸福度は「人口」ではなく、「独自性」や「カラー」ではかり、それを「価値」として共感し、求める人たちに届くメッセージをつくれるかがポイント



〇関係案内所をつくる


・ローカル志向の若い世代は、地域で気の合う仲間や自分とテイストの似ている場所を探している

・「関係」を案内するのは、「消費」の上にあるきっかけづくり
 → 一人ひとりのオリジナルの世界の文脈に近い、新たなストーリーや出会いをうながすことで、旅や余暇の価値は高まる

・魅力ある地域をつくるうえで、大事な要素が「コミュニティ」
 → 隣近所の互助精神のような昔ながらの「つながり」の価値に加えて、いまのコミュニティには「そこに行ったら、何か面白いことが待っている」という楽しさがある

当事者たちが楽しくないコミュニティに仲間は増えない



〇これからの地域を盛り上げるには

・いまの地方の未来を考えるうえで重要なのは、自分たちのことを「仲間」と考えてくれる人をどう見つけるか
 → まずはそのまちに住み、地元を愛する人たち
 → 次は「関係人口」のようにまちに関わりを持ってくれる地域外の人たち

・これからの地域を盛り上げていく「新しい地方」を発信するための3つの視点

①関係人口を増やす
②未来をつくっている手ごたえ
③自分ごととして楽しい





『都市と地方をかきまぜる 「食べる通信」の奇跡」』まとめ ~ローカルビジネス・起業のためのエッセンス読書記録~

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「⇒」は個人的な気づき、学び


◎本書のポイント


・地方だけでなく、都会も行き詰まっている


「食べる通信」は、「食べる人」と「つくる人」を交換不可能な継続的で深い関係性で結び、都市住民が渇望している「生きる実感」や「人との関わり」という価値を提供している


・都市の行き詰まりを解決しえるものが、地方にはある。ならば、都市が地方を支える、助けるという議論とは別に、地方が都市を支える、助けるという発想
 → お互いの強みでお互いの弱みを補い合う関係を、都市と地方で結ぶ


・ふるさと難民は、「関係性」に飢えている
→   「血縁でつながるふるさとがなければ自分でつくってしまえばいい」


都会から田舎に出向く回路は観光と移住しかない
 →  関係人口はこれを拡大できる
 →  定住人口は増えなくても関係人口は増やすことができる


リアリティを取り戻すとは、「当事者になる」ということに他ならない
→   リアリティを回復するとは、自分を取り巻く環境や社会に関心を持ち、リスクを知り、それを当事者として引き受ける側に回ること
→  消費者ではな生活者になること


・「生産者=郷人」と「生活者=都人」のつながりが回復されたとき、都市と地方はしなやかに結び合う



~~~~~~~~~~~~~~~~~


◆問題意識としての都市と地方の関わり


〇都市住民も行き詰まっている

・都市住民は「自由の奴隷」という檻に幽閉されている
 → 時間だけが労働に拘束され、子どもと過ごす余裕、趣味に費やす余裕もなく、自由を維持するためにどんどん不自由になっていく

・都市住民は「生きる実感の喪失」という檻に囚われている
 → 生物としての身体感覚が、生きる実感がわかない

・都市住民が渇望する「人、地域、自然との関わり」や「生きる実感」が、この国の辺境で苦しみ悶える地方の農漁村に残っている

・都会も田舎も行き詰り、どちらかを選ぶのがより困難になっている
 → どちらかを選ぶのではなく、このふたつが一部分でも重なり合うような社会、都会と田舎の価値をパラレルに享受できるような生き方はできないか

・地方創生の問題を地方の問題にとどめず、都市の問題も包含するスケールで、この国が直面している難問への回答に近づける


⇒  地方創生は地方だけの問題ではない。都市の問題、日本の問題を重ねることで、より広い解決方法が見つかる可能性がある

⇒   地方ではなく、積極的に都会を巻き込むこと

⇒  関係人口の議論は、地方だけでなく、都会が抱える問題を解決する糸口になる



〇食への注目と「食べる通信」

・食べる人は都会にいて、つくる人は田舎にいる。現在の巨大な消費社会においては、都会と田舎をつなぐ回路は見えにくくなっている
 →  この回路を「見える化」すれば両者をしっかり結ぶことができる

・都市住民の「食」の世界には、「食べもの」と「お金」の交換という一過性の浅い関係性しかない
 → 「食べる通信」で、生産者の物語を介在させることで、「食べる人」と「つくる人」という交換不可能な継続的で深い関係性に発展させることができる
 → 都市住民が渇望している「生きる実感」や「人との関わり」という価値を提供している

 ⇒   食べものではなく、都市住民が渇望している価値を提供している





◆食は命に直結する


・人間は食べなければ生きていけない。だから、食に関してはすべての国民が当事者なのだが、多くの人にとって他人事になっている
 → 後継者や担い手不足、低所得といった日本の一次産業の苦境を目の当たりにしながら、子どもには国産のものしか食べさせたくないといっている矛盾
 → 後継者不足の問題を農家だけでなく、その影響をダイレクトに受ける消費者も一緒になって考えなければいけない


・現代社会で最も価値ある部分を一次産業が有しているのに、その部分がまったく世の中に伝わっていない
 → 販路開拓やブランド化など、まずは生産現場の収入を上げようというところから入るビジネスはこれまでたくさんあったが、悪い流れを断ち切れなかった
 → 生産者の社会的地位を上げるところから入るビジネス=消費者の意識を変えるというアプローチが欠けていた





◆人口減を嘆く前に「関係人口」を増やせ


〇都市が地方を支える、地方が都市を支える

・都市住民にとって、生きる実感と人とのつながりは、もはや贅沢品になっている
 → その贅沢品は、地方の農漁村にまだ残っている

・貧困とは、ただお金がない状態のことではなく、「自然やコミュニティから切り離された上でお金がない」状態
 → 自然やコミュニティとの関わりを強めることが成熟した社会にはふさわしい道

・都市の行き詰まりを解決しえるものが、地方にはある。ならば、都市が地方を支える、助けるという議論とは別に、地方が都市を支える、助けるという議論を堂々と展開していっていいのではないか
 → お互いの強みでお互いの弱みを補い合う関係を、都市と地方で結ぶことが必要



〇ふるさとに憧れる若者

・かつて東京は田舎者の集まりだった。しかし今、完成された消費社会の東京で生まれ、東京で育った若者が増え、彼らにはその環境の中で「生きる実感」や「コミュニティ」「自然を実体験する機会」がほとんどなかった
 → 都会生まれで都会育ちの若者は、地縁血縁に基づくコミュニティや濃い人間関係のつながりをむしろ目新しいものとして新鮮に捉え、大きな価値を感じる。「第二のふるさと」
 → 「血縁でつながるふるさとがなければ自分でつくってしまえばいい」

⇒   「ふるさと」を自ら選択する時代
⇒   その表れとしての関係人口



〇支援と連帯

・都会が上で、田舎が下というメンタリティが根づいてしまっている
 → その上下関係は、そのまま消費者と生産者の関係にも置き換えられる
 → 経済効率という単一の物差しに多様な価値を押し込めて測り、優劣をつけてきてしまった



〇コミュニティの喪失

・自然の脅威の中で人間は群れをつくり、コミュニティを形成し、互いの役割を果たし合いながら力を合わせて生きていた
 → 自然の脅威から守られた都市という要塞では、この共依存関係が崩れ、コミュニティは弱体化し、問題解決は「相互扶助」ではなく、サービスの購入や税金という対価を支払った末の行政サービスという形に変わる

・都市化とインターネットの普及によって、特定の他人に依存する必然性がなくなった
 → 常に取り替え可能で、「関係」が成り立たず、人間をも消費の対象とみなしてしまう
 → 人々は「関係性」に飢えている

⇒   自分勝手に地域に関わるというのではなく、積極的に地域の人たちと関係を築くことが、関係人口を地域に根付かさせるには必要

⇒   自分勝手に関わるだけなのは関係人口とまでいえない。ただのファン。地域の人たちを応援するサポーター、協働するパートナーであってこそ関係人口といえるのではないか



〇都市と地方をかきまぜる

・ふるさと難民たちが求める価値は、都市が持っていない価値であるリアリティや関係性

・定住人口を劇的に増やすのは至難の業でも、関係人口なら増やすことができる

・地方に移住したいと考える若者が多い
 → 移住の条件「都会にあるような病院と仕事があの自然豊かな田舎にあるのなら行ってもいい」
 → そんなことはありえないから、結果として彼らはこない

・移住は無理だけど、憧れているとろに定期的に通う生き方だったらやってみたい
 → 都会から田舎に出向く回路は観光と移住しかなく、これを拡大するには関係人口が有効





◆消費者と生産者もかきまぜる


・現在の消費者の一部は、物が欲しいのではなく同じ事や行動を志向するコミュニティを求めている
 → アイデンティティを形成するために、価値観を共有する仲間や空間を欲している
 → キーワードは「共感と参加」



〇東北食べる通信

・生産物をマーケットで消費するのではなく、生産者と消費者とでつくるコミュニティで共有できる価値にする
 → 食べ物とお金という交換可能で貧弱な関係から、食べる人とつくる人という交換不可能で豊かな関係に変える



〇リアリティや関係性はアマゾンでは売っていない

・情報はもはや贅沢品ではない
 → 世界中の情報だけでなく、あらゆるジャンルの「疑似体験」もできる

・生きる実感や関係性などのリアルが贅沢品になっている



〇生産者と消費者の変化

・都市住民は、成熟した消費社会に生きる者として厳しい審美眼を持っている
 → 作物や生産者に価値を認めると、様々な応援をしてくれる
 → 応援することで自分の消費行動の価値を上げることができるので、消費者の満足度が高まる

・「都市と地方をかきまぜる」とは、生産者と消費者の間にある垣根を取り払うこと
 → 生産者は私たちの代わりに美味しい食べものをつくってくれている大切な存在になる





◆「消費者」ではなく「生活者」になろう


・リアリティを取り戻すとは、「当事者になる」ということに他ならない

・生産者と消費者の関係はとてもわかりやすく、共依存関係を築きやすい
 → 食べものを直接買うということは、お互いに依存し合い、貢献し合うこと

・自分が育てた野菜やお米を送る。そのお返しとして、生活費の一部を送ってもらう。かつては当たり前にあったそんな関係を他人同士でつくることができたら、こんなに豊かで幸せなことはない。そこに時間やお金をかける価値も生まれる

・私たちが口から取り込んでいる食べものは薬と同じ。(医食同源)
 → 同じお金をかけるのなら、医療よりも食べものにかける方が幸福な人生といえるのではないか
 → 医者に払うお金を、農家に払うようになればいい 

・消費社会において、お客様は神様
 → ひとたび問題が発生すると、すべて生産者側の問題、責任とされる
 → 消費者はどこまでも他人事

・リアリティを回復するとは、自分を取り巻く環境や社会に関心を持ち、リスクを知り、それを当事者として引き受ける側に回ること



〇「つくる」と「食べる」をつなげる

・単なる食べものとお金のやりとりではなく、消費社会で欠落している「つくる」と「食べる」をつなげることで、「消費者」を「生活者」に変える
 → 生産者がつくった食べものだけでなく、「生産者の生き様」そのものに価値を見出していく必要がある

・その価値を共有する「生産者=郷人」と「生活者=都人」のつながりが回復されたとき、都市と地方はしなやかに結び合っていく
 → 両者が一緒になって新しいコミュニティとしての「命を支えるふるさと」「心の拠り所となるふるさと」を創造する喜びと感動を分かち合える

・今は郷人も都人も、消費社会に飲み込まれ疲弊している
 → 食を通じて両者がまじり合うことができれば、一人ひとりの暮らしにつくる力と感動を回復できる



⇒   関係人口は、地方を救うだけでなく、都会を救うことができる両者の結びつきを生む

⇒   どちらかがもう一方によりかかるのではなく、相互補完ととらえる

『関係人口をつくる 定住でも交流でもないローカルイノベーション』まとめ ~ローカルビジネス・起業のためのエッセンス読書記録~

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「⇒」は個人的な気づき、学び



◎本書のポイント


・関係人口とは、住んでいなくても、地域に多様に関わる人々=仲間
 → たとえ地域に住んでいなくても、地域を元気にしたいと思って実際に地域を応援し、関わる仲間が増えれば、地域は元気になる 


・社会や地域、環境をよりよくしていこうという意識を持つソーシャルないまの若い世代にとって、地方とは単に住むための場所、自分だけの暮らしの場所なのではない。自分も地域もよりよくなっていくために、自分が関わりたい、役に立ちたいと感じる場所


・これからの地域を盛り上げる3つのキーワード
①関係人口を増やす
②未来をつくっている手応え
③自分ごととして楽しい


・地域の方が1人の重みは大きい
島根県 1/712,336人 > 東京都 1/13,212,226人
地域にとっては課題でも、関わりたい側にとっては「自分が関わるべきテーマ」になりえる


・地域の「関わりしろ」とは地域の課題。課題の解決のお手伝いができるからこそ、ソーシャルな気持ちを持った人々にとって手応えが感じられるし、役割も感じられるし、その地域を選んで関わろうという気持ちを持つことができる


・地域の「人口」は減がることは避けられないが、関係人口は増やすことができる。地域に関わる人である「人材」が増えるのなら、地域の活力になる
→ 本当の地域の消滅は、地域に関わろうとする人が減り、いなくなったとき




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



◆関係人口とは何か?


〇関係人口とは

・関係人口とは、住んでいなくても、地域に多様に関わる人々=仲間
 → たとえ地域に住んでいなくても、地域を元気にしたいと思って実際に地域を応援し、関わる仲間が増えれば、地域は元気になる 
 → 地域が元気になるかどうかは、住む人が増えるかどうかだけではない
 → 関係人口は未来を拓くキーワード



〇人口減少地域の「誇りの空洞化」問題と、都市に住む若者のふるさとへのあこがれ

・人口減少が続く地域では、地域住民がそこに住み続ける意味や誇りを見失いつつある「誇りの空洞化」が進む
 → 何とかしたいと立ち上がった人がいたとしても、周囲のあきらめが強かったり、モチベーションが低かったりすることで、なかなか前に進まない
 → 地方は、体力面、精神面、ともに危機に直面している


・ふるさとという言葉に新しい息吹が吹き込まれ、都市に暮らす若い世代にとって、自分が求めている関わりがあるあこがれの場所だというように映っている


・社会や地域、環境をよりよくしていこうという意識を持つソーシャルないまの若い世代にとって、地方とは単に住むための場所、自分だけの暮らしの場所なのではない。自分も地域もよりよくなっていくために、自分が関わりたい、役に立ちたいと感じる場所
 → 役に立つためには、役割が必要
  人が減り続けている地方には課題がたくさんあり、その課題を解決するための役割もたくさんある

 ⇒ 地方にはチャレンジすることのできる関わり代がたくさんある
 ⇒ 「誇りの空洞化」に直面する地方を変えるエネルギーになる



〇関係人口の特徴

・関係人口の大きな特徴の一つは、関係する地域は複数持つことができること

・関わりの階段を登ることに必ずしもこだわらない
 → 関わりの度合いを深めたり、ゴールに移住・定住を置いて、そこを目指したりしなくてもいい
 → 地域に関わりハードルを下げることができる


⇒ 人口減少社会では地方の定住人口の減少は避けられないが、関係人口は増やすことができる

⇒ 多様な関わり方を受け入れる寛容性が必要
  寛容性が地域の関わりしろを増やす



〇関係人口をどのように評価するか

・住む=滞在時間以外の評価基準が、関係人口には必要
 → どんな社会的価値や影響を地域にもたらしたかという社会的インパクトを評価軸にする

・社会的インパクトの例
ヒト=地域への愛着が増す、ファンや訪れる人が増える
モノ=地域の特産品の認知度が上がる、売れる
カネ=地域への投資が増える
アイデア=地域に新しい知恵やアイデアをもたらす


〇関係案内所

・地域の面白い人に出会えるホットスポット、地域に求められている役割など、地域との関わり方を案内する機能を果たす場所、関係人口づくりをお手伝いする場所としての関係案内所が必要
 → 人と地域が関わりを結ぶことができる





◆しまコトアカデミーによる関係人口づくり


〇しまコトアカデミーの戦略的ゆるさ

・「ゆるさ」=居心地のよさ

・半年間の講座では居心地がよくなくては、とても続かない

・もっと関わりたい、友だちになりたい、そういう気持ちを醸成するには、完璧であったり一人勝ちしなかったりすることがポイント


〇これからの地域を盛り上げる3つのキーワード

①関係人口を増やす
②未来をつくっている手応え
③自分ごととして楽しい


⇒ 関係人口が自分勝手に地域に関わるのではなく、地域側の人たちや関係人口同士が参加する、一緒にすることでさらに自分ごとになり楽しい

⇒ つながりが強くなる、関係人口が増える



〇東京と島根県における「あなた」の存在

島根県 712,336人 < 東京都 13,212,226人


→ 分子に「あなた」の「1」を置くと・・・

島根県 1/712,336人 > 東京都 1/13,212,226人


→ 地域の方が1人の重みは大きくなる



〇結果としての移住


・最初から移住を目指しているというより、自分の生き方を考える中で、地域と関係を結ぶようになり、どんどん距離が縮まっていき、そして移住につながる

⇒ 移住も関係人口としての関わり方の選択肢の一つにすぎない



〇多様な地域との関わり方

・それまで、移住以外に地域と関係する方法がなかった

⇒ 移住する側の「移住」という一方的な行動があるだけで、地域の人との関係はない

⇒ よそ者、他人事感

⇒ 続かない。地域の人に受け入れられない。移住者は増えない






◆関係人口のつくり方


〇関係人口をつくる5つのポイント

①関係案内所を設ける
・建物を整備することではなく、居心地の良い場、居心地の良いコミュニティをつくる
・会いに行きたくなるような魅力的な人がいること


②入り口を広く、ゆるく
・移住だけではない、多様な関わり方を受け入れる
・移住までは考えていないが地域に関心がある人を受け入れる


③役割を提示する

・地域での役割や関わり方=「関わりしろ」を見せる
・関わりしろ=地域課題
 → 地域にとっては課題でも、関わりたい側にとっては「自分が関わるべきテーマ」になりえる
・地域課題の解決のお手伝いができるからこそ、ソーシャルな気持ちを持った人々にとって手応えが感じられるし、役割も感じられるし、その地域を選んで関わろうという気持ちを持つことができる


④自分ごとにする
・「取り組むべき」とするのではなく、自分の強みや興味、関心を関わりしろと結びつける仕掛け
 → 自分ごとにならないと長続きしない


⑤人につなぐ(信頼のネットワーク)
・関係人口は、離れていながら地域に関わる仲間というあり方
 → 地域で動いたり、想いを持ったりしている地域の人と協力する必要がある
・地域の人とのリアルなつながり

⇒ 地域の人とリアルな関係があってこそ、地域の人たちからの信頼を得られる



〇人口減、人材増


・地域の「人口」は、減ることは避けられない

・地域に関わる人である「人材」が増えるのなら、地域の活力になる

→ 本当の地域の消滅は、地域に関わろうとする人が減り、いなくなったとき


⇒ 人材は使われないと腐る。宝の持ち腐れ

⇒ うまく活用することで、地域の「人財」とすることができるか


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


本書を読むのは、もう何度目だろうなあ。

関係人口はやっぱり面白い!


今のテーマは、「関係人口」をもっとなじみやすい、ほぐした言い方がないかを考えること。

ファン、共感者、仲間、メンバー、協働者、支援者、応援者、パートナー、サポーター・・・



探求は続きそうです。



2019年12月4日「地方と都市の対流に向けて ~地方への新しい関わり方をつくる」セミナー②参加レポート(その4)

2019年12月4日(水)都内で開催された「地方と都市の対流に向けて ~地方への新しい関わり方をつくる」の第2回セミナーに参加しましたので、レポートにまとめました。




今回のセミナーの内容としては、最近まちづくりの分野で流行り言葉のようになっている、いわゆる「関係人口」をいかに増やすかという視点で構成されています。

第2回のセミナーの中心テーマは「民間とかかわる」

いかに民間企業との効果的な連携を図るかというのがテーマでした。(ちなみに第1回は「若者とかかわる」)

当然のように念頭には「行政」がありますので、今後、埼玉県ときがわ町でどのように関係人口を増やすかを考える上で参考になります。

また、特に
今回は同じ埼玉県の横瀬町の「よこらぼ」の事例紹介があるということで、横瀬町の方とつながることも大きな目的の一つでした。





今回のプログラムは以下のとおり。


(1)基調講演「複数の拠点を持つ未来 ~地域内外の「連携」の実態~」(NPO法人南房総リパブリック 馬場未織 氏) ← 第1回


(2)情報提供「移住、二拠点居住、関係人口等に関する地方公共団体の取組状況及び若い世代の意向に関する調査結果」
 ← 
第2回


(3)事例紹介「小さな町だからこそのチャレンジ ~民間と行政の効果的な協働のあり方を求めてから」(埼玉県横瀬町まち経営課 田端将伸 氏) ← 
第3回


(4)グループディスカッション「民間との効果的な連携を考える」 ← 今回はココ



以下詳細。



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(4)グループディスカッション「民間との効果的な連携を考える」

※選択参加制のため、
グループB「地域企業×学生 地域ベンチャー留学」を選択



◆地域企業×学生 地域ベンチャー留学



【問題意識】

・地域から都内の大学に進むと、卒業後に帰ってくる人が少ない

・地域の中小企業は人材確保が困難
 → そもそも知られていない




【地域ベンチャー留学とは】

・都市圏の大学生と地域の中小企業をマッチングし、学生をインターンとして地域企業に受け入れる仕組み

・地域企業経営者にとって、重要度は高いけど優先度の低いものをプロジェクトとして、学生と一緒に取り組む

・対象は高校生、大学生、社会人もある

・1日限りの職業体験的なものではなく、最低1か月から8か月の地域住み込み型で行う

・大正大学の地方創生学部では、地域での8か月の住み込みインターンを必修科目に位置づけている




【地域ベンチャー留学の効果】


・売上としての成果はすぐには出ない
 → 3年くらいかけてじわじわ成果が出始めた

・一番変わったのは働く人(従業員)
 → インターン生のチャレンジを見て、この企業ではチャンレンジができると思って入社したいという人が増えた
 → 伝統工芸的な分野なのに、従業員の平均年齢が20代に





【地域コーディネーター】

・学生と企業をマッチングする地域コーディネーターの存在が重要
 → 属性はさまざま(商工会・商工会議所、民間、行政)




【実施に向けて】

・まずは成功例を一つつくることが重要。それを成果報告会などで周知する

・企業が取り組む意味をどう見出してもらうかは、地域コーディネーターの重要な役割
 → 地域コーディネーター側でプロジェクトの企画案をつくって、地域企業に持ち込んだ事例もある

・最初は行政などの財源があるといい
 → 地方創生交付金に地域インターン枠あり

・一番コストがかかるのは、学生の住み込みのための住居。それをどう賄うか

・飯田市に地域企業と高校生をマッチングする仕組みある
 → 3年目から大学に対象を拡大。ハローワークとも連携している
 → 社団法人がまちづくり会社としてコーディネーターを担っている

・地域内に企業数が増えてくれば、テーマごとにジャンルを分けることもできる





【参加者の振り返り】


・民間の提案を受け付けない行政
 → 震災復興地域では、ソフト面よりもハード政策重視
   何百億という予算ありながら、国や県の方針に沿わないという理由でソフト政策は後回し

・行政からすると、「なぜ関係人口を増やす必要があるのか?」


・塩尻市のミチカラの取組
 → 地域課題を5つ挙げて、それぞれ民間と行政職員のチームを組んで解決にあたる
 → これまでのプロジェクトのうち進んでいるのは半分程度。副業的にではなく、日常的に推進する人がいない
 → スナバとして独自事業化

・大企業にとっては「研修」は学びの場でしかない
 → 本気で事業を起こす熱量が必要

・ブランドは地域の側がつくるものではない。関係人口がいてつくられるもの




◎気づき

・地域企業と地域の高校・大学をマッチングする仕組みができないか

・地域の中学校と地域の高校、地域の高校と地域の大学や企業、地域の大学と地域の企業というようにマッチングしていけば、地域内でのキャリア教育、ライフデザイン教育ができるのでは

・地域企業のインターン生受け入れのニーズをどのように把握するか、最初の成功事例をいかにつくるかがやはり最大の課題
 → 同時にそのための財源の確保も重要

・なぜ地域で関係人口を増やす必要があるのか、地域にとってどのような関係人口を増やすことが望ましいのか、それらを地域内で共有しておくことが最初の一歩ではないか
 → 特に行政。動き出しの段階では行政の信用力を活用できることは大きい

2019年12月4日「地方と都市の対流に向けて ~地方への新しい関わり方をつくる」セミナー②参加レポート(その3)

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2019年12月4日(水)都内で開催された「地方と都市の対流に向けて ~地方への新しい関わり方をつくる」の第2回セミナーに参加しましたので、レポートにまとめました。




今回のセミナーの内容としては、最近まちづくりの分野で流行り言葉のようになっている、いわゆる「関係人口」をいかに増やすかという視点で構成されています。

第2回のセミナーの中心テーマは「民間とかかわる」

いかに民間企業との効果的な連携を図るかというのがテーマでした。(ちなみに第1回は「若者とかかわる」)

当然のように念頭には「行政」がありますので、今後、埼玉県ときがわ町でどのように関係人口を増やすかを考える上で参考になります。

また、特に
今回は同じ埼玉県の横瀬町の「よこらぼ」の事例紹介があるということで、横瀬町の方とつながることも大きな目的の一つでした。





今回のプログラムは以下のとおり。


(1)基調講演「複数の拠点を持つ未来 ~地域内外の「連携」の実態~」(NPO法人南房総リパブリック 馬場未織 氏) ← 第1回


(2)情報提供「移住、二拠点居住、関係人口等に関する地方公共団体の取組状況及び若い世代の意向に関する調査結果」
 ← 
第2回


(3)事例紹介「小さな町だからこそのチャレンジ ~民間と行政の効果的な協働のあり方を求めてから」(埼玉県横瀬町まち経営課 田端将伸 氏) ← 今回はココ


(4)グループディスカッション「民間との効果的な連携を考える」
  ※6つのグループからグループB「地域企業×学生 地域ベンチャー留学」を選択



以下詳細。



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(3)事例紹介「小さな町だからこそのチャレンジ ~民間と行政の効果的な協働のあり方を求めてから」

講師:埼玉県横瀬町まち経営課 田端将伸 氏



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【横瀬町の現状】

・人口8000人 → 減少が続いている

・冬の観光名所「あしがくぼ氷柱」
 → ただ水をまいてそれが凍っただけ。それでも2か月で12万人を超える観光客(入場料は1人300円で3600万円のお金を生んでいる)

・冬のいちごはとても美味しいが、人が来なかった
 → あしがくぼ氷柱ができたことで、いちご狩りへの人の流れが生まれた
 → 横瀬町に行くきっかけづくり

・町の人口はこれから増えることはない
 → 減り方をどうデザインするかが重要
 → ヒトモノカネが、外から継続的に流入させる仕組みが必要
 → よこらぼの取組



【よこらぼ】

・ヒトモノカネを外から継続的に呼び込み、何が起こるかわからない化学反応を起こすことが目的
 → 何が起こるかわかることをやってきた結果、現状がある

・審査では全管理職が審査員として参加する
 → 「ムリ」「できない」ではなく、どうしたらできるかという発想で始めるため

・事業が失敗してもつぶれない行政と違って、民間は必至(特にスタートアップが多いため)
 → 時代を反映した最先端の取組を提案してくる
 → 町が自分でやらなくても、最先端の取組が町でできるということ

・大企業ほど、やたら人をかけたヒアリングが多く、事業が実施につながらない
 → スタートアップや中小企業はやりたいことをもって提案してくるので、即実行

・大企業ほど、熱意がない。上司に言われたから
 → 熱意がないところとはやらない
 → 熱意がある人の周りには熱意のある人しかいないので、思わぬことが起きる

・県外、特に東京の企業・団体からの提案が圧倒的に多いが、それを見て町内の人も刺激を受けて、提案が増えている

・3年間で68の事業が新たに生まれた
 → うち町で予算措置をしたのは2件のみで、いずれも町の実質負担はゼロ(国庫または県補助)

・最も大きな成果は、知名度向上
 → 面白いことをやっているとメディアが取り上げる
 → 「人」が「人」を呼ぶサイクル

・役場は行政の信用力を提供できる。民間は実証試験ができる
 → 民と官のWIN-WINの関係

・行政におけるPDCAの「P」はムダ
 → 行政の計画は、3年間の実施計画を立てないと予算つかない
 → 実施するときには既に状況が変わっている。3年間のムダ

・反対する有力者も相当数いる
 → 「計画的じゃない」「何が起こるかわからないのをやられるのがイヤ」
 → これまで計画的にやってきたことの結果、今の状況があるのをわかっていない
 → 理解できない人に懇切丁寧に説明して理解してもらうための時間はない
 → わかる人と一緒にやっていく
 → 周囲が変わる

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◎気づき

・行政の計画づくりには、長期的なPDCAしかなく、Pが長すぎる。
結果、時代に合わないことが多々ある。しかも途中で見直しすることはほぼない(10年間の総合振興計画づくりに2年間を費やす)
時間とお金を、具体的事業にいかに効率よく使えるか


・ヒントになるのは長野県塩尻市のミチカラ。地域課題をオープンにして、民間と行政でチームを組んで課題解決に取り組む。
民間とうまくコラボすることで、増え続けることが想定される民生費による財政圧迫の影響を避けることができる


・いかに地域にとって最良のパートナー(大企業、有名企業ではなく)を見つけられるか
熱意ある人を巻き込んでいけるか
このような意味で、やはり関係人口を地域に呼び込むことには大きな意義がある。関係人口は、地域のことが好きで、地域で何かしたいと考え、積極的に地域に関わりを持ちたい人たち。その人たちが自由に力を発揮しやすいように環境を整えること。行政だけで難しければ、地域との間に立つ中間支援機能をつくる(「関係案内所」)

⇒ 地域の関わり代を見える化するとともに、関係人口の関わり代をつくり、いかにマッチングできるか



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