
「⇒」は個人的な気づき、学び
◎本書の趣旨
・カスタマーサクセスとは、自社の成功のために顧客をサポートするという考え方ではなく、顧客の成功を第一の目的とする。受動的・反応的に顧客をサポートするのではなく、積極的に顧客の成功を設計すること
・CS(カスタマーサクセス)=CO(顧客の成果)+CX(顧客の経験)
・それぞれの顧客がどのような状態にあるか、自社の製品やサービスをどのように利用しているかをデータで把握し、積極的に働きかけて、顧客をよりよい状態に導く
→ 成功を得られた顧客は継続顧客となり、継続顧客から得られる定期収益が自社に成功をもたらす
・B2CでもB2Bでも、パワーは顧客側にシフトしている
→ 顧客は成功を求め、成功につながる企業、製品、サービスを選び、そうでないものからは躊躇なく離れていく
・カスタマーサクセスに達成したかどうかを決めるのは、顧客である
◆カスタマーサクセスとは
・定期収益ビジネスにとっては、ロイヤルカスタマーは必須である
→ カスタマーサクセスとは、心理ロイヤルティを生み出すための手段である
・「従来のビジネスでは、顧客との関係の終着点は購入でした。サブスクリプションビジネスでは、購入は顧客との関係の始まりなのです」(ティエン・ツォ)
→ サブスクリプション・エコノミーにおいて企業の生死を決めるのはカスタマーサクセスである
・定期収益モデルがうまく回っている場合、顧客が取る行動は次の2つ
①あなたの顧客を続ける
②あなたからもっとモノを買う
→ 顧客がどちらの行動も取ってくれなかったら、自分の事業が成功するチャンスはなく、経営も立ち行かなくなる
・カスタマーサクセスがもたらす3つの利益
①チャーン(解約、離脱)の減少と管理
②既存顧客の契約金額増
③カスタマーエクスペリエンスと顧客満足度の向上
・カスタマーサクセスはサブスクリプション以外のビジネスにも応用できる
→ あなたの望む成果を得るには、顧客が要望することをすべて提供しないといけない
→ カスタマーサクセスを成功させるために、成功する定期収益ビジネスを生み出すために、必要なものは何か?
→ 「カスタマーサクセスの10原則」
⇒ モノではなく、顧客との関係性から価値、体験を提供し続けること
⇒ 一過性の成功体験ではなく、楽、安心、幸せが感じられる、またはストレスがない状態をつくる
◆カスタマーサクセスの10原則
【原則1】正しい顧客に販売しよう
・顧客は会社にとって北極星であり、最も価値の高い資産である
・理想的な顧客または顧客層の特徴を一度定めたら、事業の顧客獲得エンジンはその特徴に照準を合わせる
→ 合わない顧客を早急にふるい落とさなければならない
→ 成功に導くことができない顧客を契約させれば、顧客獲得コストやもっと高いLTVをもたらす可能性の高い別の顧客を助けるための機会コストを失う
【原則2】顧客とベンダーは何もしなければ離れる
・チャーンほど重要な指標はない
・自分の顧客が競争相手の方を向くのを止めたいなら、顧客が確実に自分の製品やサービスを使って成功するようにしなければならない
→ 顧客があなたの会社をベンダーとして選んだ時に目指していた利益を確実に得られるようにすること
⇒ ターゲットとなる顧客の期待を正確に把握し、それに合致するものを提供することが重要
【原則3】顧客が期待しているのは大成功だ
・顧客があなたのソリューションを買うのは、その特徴や機能を使うためではなく、事業目標を達成したいからだ
・顧客が正しい道を進めるように促すことは、私たちの義務である
・顧客を大成功に導くために理解しなければならないこと
①顧客はどうやって成功を測っているのか
②その指標から判断すると、顧客は成功しているか
③成功への過程で、顧客はどんな期待をしているか
・顧客が大成功するのを支援するには、まず何が顧客にとっての成功なのかを理解しなければならない
・顧客には、少なくともあなたと同程度に互いの成功に対する利害関係がなければならない
→ 顧客との人間関係、互いへの尊重、そしてどちらも同じ目標に向かって取り組んでいるという感覚が必要
⇒ 顧客の目標、成功を定めて、そこの至るまでの達成状況を把握しながら、次の段階へ進むステップを設計すること
【原則4】絶えずカスタマーヘルスを把握・管理する
・私たちには顧客に注意を払う以外の選択肢はない。定期収益ビジネスは、顧客に成功をもたらさない限り生き残れない
・正確に算出されたカスタマーヘルスは、ロイヤルティの明確な指標であるとともに、将来的な顧客の行動の手掛かりになる
【原則5】ロイヤルティの構築に、もう個人間の関係はいらない
・顧客セグメントごとに、どのように顧客とやり取りするかという問題
→ 価値の低い顧客のロングテール対応
・顧客のコミュニティを構築して、マーケティングと見込み客を生み出すエンジンの役割を引き継いでもらう
→ 顧客が成功代理人、既存となり顧客と潜在顧客に会社の価値を伝えるだけでなく、他の顧客との関係を強める役割も果たしてくれる
・顧客のフィードバックグループを作る
→ 顧客が製品戦略、品質、カスタマーサポート、導入補助制度、会社のビジョンに対して意見を言う手段が必要
【原則6】本当に拡張可能な差別化要因は製品だけだ
・会社にはさまざまな部署があるが、その中で最も優先すべきなのは製品部門である
→ 享受したい大成功へと続く唯一の道が製品である
・製品を最優先事項にすることなくカスタマーサクセスの活動に加わろうとしても、長期的な成果は得られない
【原則7】タイムトゥバリューの向上にとことん取り組もう
・購入後に、できるだけ早く顧客が価値を感じられるようにする
→ 顧客と協力して、具体的な成功の指標を固める
→ 早い段階での価値達成に向けて何度も取り組む。最初は一番成果が見えやすい指標を達成して、その後残りに取り組む
→ 調整はすぐに行う。期待値が危機にさらされていることに気付いた瞬間に、すぐ行動に移す
⇒ 長期的な効果には反応しにくい。短期的な効果を見せて行動を促す
【原則8】顧客の指標を深く理解する
・サブスクリプション型の会社が生き残るには、チャーンとリテンションの両方を理解する必要がある
・チャーンについては、顧客が離れてしまう理由とその頻度
・リテンションについては、顧客が離れずに製品とサービスを使い続ける理由とその頻度
【原則9】ハードデータの指標でカスタマーサクセスを進める
・組織の成熟度の指標は、反復できること、プロセスが定義されていること、計測していること、最適化されていること
→ これらを適切に管理し、最適化できれば事業の目標(高い顧客満足度、低いチャーン、収益拡大など)に近づける可能性が上がる
⇒ 必ず振り返ってチェックし、改善を続ける
【原則10】トップダウンかつ全社レベルで取り組む