SAITAMA(埼玉)暮らしと本が最強なワケ

サイタマ産まれ、サイタマ育ちの共働き夫婦によるサイタマ暮らし。 ほとんど埼玉を出ません。 埼玉LOVE♡ 本もLOVE♡ なので書評も書いています。

競争

『戦略と情熱で仕事をつくる』(まとめ) ~ローカルビジネス・起業のためのエッセンス読書記録~

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「⇒」は個人の感想、疑問、意見を示す



◆ボードゲームで世界唯一の存在となった「ボードゲームソムリエ」



・中高生のころから何百個ものボードゲームを所有


・『7つの習慣』『キングダム』のボードゲーム開発


・自分が大好きなもので世界一になるために必要なこと
→ 自分の強みを自覚した「本気の覚悟」
→ 覚悟を周りに伝えきる「情熱」
→ 世界一になるための「戦略」




◆「本気の覚悟」と「情熱」がチャンスを引き寄せる


・圧倒的な行動力


→ ドイツの世界的なボードゲームイベントに参加

→ 大学生の頃から、シェアハウスやコワーキングスペースなど、人の集まるところでボードゲームを提供する場をつくった

→ インターネット上でコンタクト可能な経営者や起業家に会いに行った

→ 有名人の認知と「7つの習慣」のボードゲーム化のチャンス





◆一番になるための戦略としての「ブラックオーシャン」


・レッドオーシャンでもブルーオーシャンでもなく、そもそも競争相手が誰もおらず、太陽の光さえ届かないような暗黒の世界としての「ブラックオーシャン」を狙う

→ 唯一無二のオンリーワンの存在「ボードゲームソムリエ」


・オンリーワンになるための強みとは、「お金をもらわなくてもやりたいこと」





◆好きなことで生きるための技術



・「何をやっている人なのか」を覚えてもらう

→ 「肩書き」+「行動」


・相手が求めるものを提供する
→ クライアントのやりたいことをまともに聞かず、自分のこだわりで好きにつくるだけではプロではない
→ 相手が、自分に求めるものを本気で想像して、それに応えることで信頼が高まる

⇒ もっといえば、顕在化されていない相手の潜在的なニーズやウォンツを引き出す、期待以上の価値を提供する

⇒ 期待したものに見合った価値は「満足」、期待した以上の価値は「感動」をもたらす


・「お金をもらう」という決断をする
→ 趣味ではなく「ビジネス」という自覚が生まれる
→ 「お金の価値以上のことを提供しよう」とする意識


・実績を積み重ねる
→ 誰でも最初は実績がない。行動することでしか実績はつくれない





その「差別化」、伝わっていますか? ~競争から抜け出し、真の差別化を実現する方法~『ビジネスで一番、大切なこと』




【商品・サービスの差別化のために、過剰な競争に陥っている方にオススメ】



本書のテーマは「差別化」です。

著者のであるヤンミ・ムン氏は、ハーバード・ビジネススクール教授ですが、同時に一市民であり妻であり母であると語り、「一消費者」の立場から、ビジネス界で過剰に起こっている「差別化競争」に鋭く切り込んでいます。

一言でいえば、商品・サービスの生産者や提供者が意図している「差別化」は、消費者にとっては大した違いとして認識されていないということ。

つまり、商品・サービスの生産者・提供者と消費者の間の認識にズレがあるということですね。

それほどまでにわずかな違いしかないものが多すぎるというわけです。



確かに、何か流行っているものがあると、すぐに大手が目をつけて類似商品がいくつも出てくるというのはよくある話です。

スムージーしかり、布団掃除機しかり、EMS(Electrical Muscle Stimuletion)しかり・・・

あまりに些細な違いでしかないため、実は消費者が判断している基準は最終的に値段だったりします。

それが「ビジネスだ」といってしまえばそれまでですが、本当にそれでいいの?というお話です。



本書が提案するのは、真の差別化の意味です。

現代の過剰な、しかも消費者に伝わっていない「差別化競争」がビジネス界にとって、そして消費者にとってどんな価値があるのかを考えさせられます。

要は、何のために差別化するのかということ。


それでは本書の内容をまとめてみましょう。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

◆無意味になる「差別化」と真の差別化


・ビジネス成功の鍵は競争力であり、競争力とは競合他社といかに差別化できるかである。ところがその差が細かくなりすぎ、消費者がいぶかしく思う段階に達すると、差別化は無意味になる

・ポジショニングマップやランキング、市場調査などにおける尺度は、画一的な測定法をもたらす一方、比較する尺度ができれば、そこに群れが生じる
→ 自社の競争力を測るという前向きな努力が、結果的には均質化を促す

真の差別化は、偏りから生まれる



◆ビジネスパーソンと消費者の認識

・ビジネスパーソンと消費者との違いは、消費者は態度が一貫せず矛盾した感情を持つが、マーケターは揺るがない。消費者は製品の改良に気まぐれな態度を示すが、ビジネスパーソンの行動は型どおり


【ビジネスパーソン】
・製品の拡張の大半は、新しい機能が加わる「付加型」か、消費者の千差万別な好みにあわせた選択肢を増やす「増殖型」に向かう
→ コモディティ化と高コスト化を加速させる。気前よく価値提案をすればするほど、消費者は無関心になる。どの飛行機でもマイレージが得られ、どの洗剤でもシミが簡単にとれるなら、選り好みする必要はないからだ
・無意味な区別を巧みに差別化に見せかけているのが、ビジネスの現状
→ どうでもいいような違いを強調する才に長け、類似性を差別化と称する技を持つようになる

【消費者】
・消費はアイデンティティの代名詞であり、人々は何を消費したかを明らかにすることで、自分が何者かを示している
・ブランドロイヤリティは、ますます手に入りにくいものになっている
→ 市場が成熟したことによる2つの傾向
  ①競争が高じて過剰な活動が繰り広げられると、消費者の目に違いがわからなくなる
  ②そうなると、そのカテゴリーとの関係が、そのカテゴリー内のすべてのブランドとの関係になる(=特定のブランドに対する無関心)



◆競争から抜け出すための視点


〇3つのアイデア・ブランド

①リバース・ブランド
②ブレークアウェー・ブランド
③ホスタイル・ブランド


・期待と無関係なものを提供しながら、なおかつ期待に応え、これまでにない新たな現実を提供する

・市場の他の商品に比べて必ずしも優れているとは限らないが、差別化には成功している

・顧客と特別な関係を築き、群れから抜きんでている

→ 差別化を実現するためには、競争ではなく、競争からの完全な脱却が必要



◆世の流れの逆を行く「リバース・ブランド」 

・余分なものをそぎ落とすが、予想もしない形で贅沢なものに変える

・期待するものを取り上げ、期待してもいないものを提供する(惜しみなく与える)

・拡張という競争を拒んでいるのは、顧客を大切にしないからではない
→ 過度に成熟したカテゴリーには、満足しすぎている顧客(必要としていないのに、あふれるほどの便益を与えられている顧客)が大勢いる

・人は多すぎる状態に慣れてしまうと、当たり前のものがない状態を楽しむようになる

中核に新しい光を当てるために余計なものをそぎ落とすと、驚くべき純度を誇るようになる

【リバース・ブランドの例】
Google、IKEA



◆既存の分類を置き換える「ブレークアウェー・ブランド」

・消費者の分類プロセスに意図的に介入し、デフォルトに代わるカテゴリーを提示する(=再カテゴリー化)

・別の枠組みを提示し、変容を促す。ある商品に対して取りがちな態度を捨て、新しい条件でかかわりを持たせようとする

・期待どおりのものを提供しながら、まるで異なるものとして再定義し、概念的な枠組みを変えるよう迫る

カテゴリー内にいながら、なおかつ、そこにとどまっていない

・別の行動シナリオを自然にもたらすカテゴリー名を新たに提供する

・流れに逆らおうとせずに新しい流れへと導く。その流れは消費者に馴染みがあり、準備体操をしなくても飛び込める

【ブレークアウェー・ブランドの例】
AIBO(ソニー)、スウォッチ(ハイエック)、プルアップス(年長の子供向け下着〔キンバリークラーク〕)



◆好感度に背を向ける「ホスタイル・ブランド」


・顧客に媚びない

・古典的なマーケティングを実行せず、「アンチ・マーケット」の姿勢を貫く

・製品の欠点を率直に語り、消費者に対する障壁を築き、そのブランドに関わる意思の強さを確認する

→ 壁を越えられない他の消費者との間に大きな隔たりを生じさせる

見返りは、これ以上ないほど純粋で偏ったポジショニング、極端なまでのブランドの差別化

平凡なブランドが、私たちが隠れるのに一役買っているのに対し、ホスタイル・ブランドは個性を表現させる

良かれ悪しかれ、他と摩擦が生じるほどの激しい差別化を行っている。それが消費者にとっては、自身を差別化する機会となる

【ホスタイル・ブランドの例】
ミニクーパー、レッドブル



◆差別化に向けてアイデア・ブランドが語るもの

・3つのアイデア・ブランドは厳格な区別ではなく、思考の枠組み。共通点は、市場調査に基づいていないこと
→ 測れることだけでないもの、消費者の驚くものをもの、想像しなければならない

・差別化は手段ではなく、考え方


〇アイデア・ブランド3つの特徴

①希少性
・希少性は常に需要を呼び起こす

②大きな違い
・小さな違いではなく大きな違いを目指す
・違いは逸脱であり、置換

③人間的
・人間らしさ
・人間の行動に注目すること

⇒ これこそが本当の「顧客主義」ではないか
表面的なニーズを満たすのではなく、潜在的なニーズを掘り起こすことにつながる
提供したいと信じる価値を、消費者にぶつけ、社会をこういう世界に変えたいと訴えかけること
その純粋な輝きが、刺さる人には刺さる
刺さったときには、強力な顧客となる

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

個人的なことでいえば、最近、起業を考える上で自らのポジショニングを考えていますが、本書の差別化の考え方が役立ちそうですね。

重要なことは、自分が考える違いではなく、あくまでお客さんが認識できる違いでなくては意味がないということ。



また、特に印象に残ったのは、「リバース・ブランド」の考え方。

これまで新たな商品・サービスというと、組み合わせる、つまり何かを「足す・掛ける」ことばかりを考えていました。

でも、そぎ落とす、つまり「引き算」することによって、ピカピカの純粋な価値を強調できるということなんですね。

この視点はまちづくりを考える上でも非常に参考になりますね!

なんでもかんでも叶えようとするのではなく、ないものはない、でもこれならどこにも負けない。

そういった磨き上げられた宝のようなものが必要な時代かもしれませんね。



また、アイデア・ブランドの特徴の三つ目の「人間性」も印象的です。

うまくいえませんが、人間の複雑さを「楽しむ」、つまり遊び心のようなものがこれからの時代には求められるような気がしました。

民俗学しかり、キャンプしかり、田舎に住むことしかり。

そういう意味では、東京や大都市圏でない、地方の農村、中山間地にとっては大きなチャンスがあるのではないかと思います。

勉強になりました。



ちなみに、まったくの蛇足ですが、「差別化」が主なテーマになっている本にしては、タイトルが差別化されていない気がするのが残念といえば残念なところでしょうか・・・笑


ありがとうございます。


戦略とは、競争の中で独自の「ポジション」を選択し、競争を回避すること(『世界一わかりやすいポーター博士の「競争戦略」の授業』)




【「競争を避ける戦略」を学びたい人にオススメ】


本書は、ドラッカー博士と並ぶ経営学における最重要人物であるM.E.ポーター博士の「経営戦略」の解説書です。

ポーター博士は、企業が競争に打ち勝ち、高い収益を上げるためには「競争戦略」が必要であることを
提唱しました。

30年以上にわたって競争の研究を積み重ねて、ポーター博士が得た結論は3つです。

①あらゆる企業は、競争から逃れることはできない

ゆえに競争を前提として、競争の中で優位に立つために

②競争力をつけることは重要である(競争優位の戦略)
③一方で競争を極力回避するための戦略が必要である(競争回避の戦略)



つまりは、どうやったら競争を生き抜けるかを考えなければならないということです。

特に、③のいかに競争を避けるかという戦略は、これから起業しようとする私のような人間にとっては非常に重要な考え方です。

価格競争や数の勝負になったら、まったくもって話にならないからです。

いかに競争をしない、しなくてもいいポジションを選択するかということが重要ではないかと考えています。



本書では、「競争戦略」の考え方に始まり、競争の要因となる「5つの競争要因(5フォース)」や競争に勝つためのベースになる「3つの基本戦略」、これらの分析技法、そして競争戦略の立て方について網羅的に学ぶことができます。

内容が詳細で、しかも多岐にわたっているため、理解をするには何度も読み込む必要がありそうですが、言葉はわかりやすく「戦略」というものをじっくりと考えるのに適した本といえます。


それでは本書のトピックスをざっと整理してみます。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

◆競争戦略

〇戦略とは何か

・戦略とは、競争の中で独自の『ポジション』を選択していくこと
→ いかに優位性を確保するかという問題

〇2つのポジション
・競争要因から身を守るポジションを確保する
・自社に有利になるように、競争要因を支配できるポジションを見出す(=差別化

〇2つの選択と集中の方法
・競合より高い価格で売る
→ 差別化で勝負し、競合との価格競争に巻き込まれないための戦略的ポジションを確立する方法
・競合より低いコストを実現する
→ オペレーション効率の差で勝負する方法



◆競争を支配する5つの競争要因


①新規参入の脅威
②既存の競争業者間の敵対関係
③代替製品(サービス)からの圧力
④買い手(顧客)の交渉力
⑤売り手(供給業者)の交渉力

→ 自社にとって重要な競争要因が何かを見極めることが重要
→ 適切な対策を打つことで、競争力をつける



◆競争を勝ち抜くための3つの基本戦略


①コストのリーダーシップ戦略
・業界内で最も低コストを実現する「安く売っても儲かる戦略」
②差別化戦略
・他社と差別化し、買い手に高くても買いたいと思わせる戦略
・ロイヤルカスタマ(忠実な顧客)ーを増やす戦略
③集中戦略
・特定の製品、顧客、地域など、狭い範囲を対象にして、コストのリーダーシップ戦略と差別化戦略を使い分ける
・顧客に密着して臨機応変に対応する戦略
・自社の競争力が生かせる部分を選択して、そこに経営資源を集中する

→ いずれか一つの基本戦略を選択して集中する



◆競争優位の原理

・競争戦略は、5つの競争要因から身を守るための戦略
・競争優位を確立するための2つの方策「コスト優位」と「差別化優位」

⇒ バリューチェーンにおけるすべてのプロセスで優位を実現すること
「製造」から「購買」まで


〇差別化優位の要因分析のための「4C」
①価値(Customer Value 顧客にとっての商品の価値)
②コスト(Cost to the Custmer 顧客の負担)
③コミュニケーション(Communication 顧客と商品を提供する企業との関係性)
④利便性(Convenience 顧客の利便性)


・差別化優位とは、買い手(顧客)にとっての価値を上げること
・買い手のためにつくる価値は、「買い手の実績を上げること」と「買い手のコストを下げること」で決まる

⇒ 重要なことは、すべてにおいて「顧客」目線が判断基準となっていること


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

私が一番重要だと思ったことは、「競争の中で独自の『ポジション』を選択していくこと」という本書での戦略の定義です。

そのことは競争優位性を確保するとともに、逆説的ですが、競争を避けることにもつながると思います。

つまり、「競合がいない状態になる」ということです。

それが究極の競争戦略の目的といってもいいかもしれません。



また、私は、本書にはっきりと書かかれていたわけではありませんが、「ポジションを選択していくこと」という表現に、「選択し続けること」という意味が含まれているように感じました。

なぜ「選択すること」ではなく、「選択していくこと」という言葉を著者が使ったのか。(ポーター博士による原文がこのような意図を持つ表現だったかは不明ですが)

それは暗に、ポジションは常に変わり続けることを示しているのではないでしょうか。

つまり一度ポジションを決めればすむわけではない。

当然、他社にマネされるということも出てくるわけです。

そのようなときに変化し続けなければ、自分が望まなくても競争に巻き込まれてしまいます。

また、時代とともに市場のニーズが変わり、自社のポジションとの乖離が起こることも考えられます。

だから、そのときそのときの市場や競合を常に意識しながら、「ポジションを選択し続ける=変化し続ける」姿勢こそが重要なのではないかと思いました。



このような競争戦略の考え方は、ビジネスの分野にとどまらず、これからの時代に個人がどのようにしたら自分の独自性を打ち出して、他者と差別化し、価値を高めることができるかということにもつながってきます。

戦略は、まさに「生きるための戦略」ともいえますね。


ありがとうございます。



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