SAITAMA(埼玉)暮らしと本が最強なワケ

サイタマ産まれ、サイタマ育ちの共働き夫婦によるサイタマ暮らし。 ほとんど埼玉を出ません。 埼玉LOVE♡ 本もLOVE♡ なので書評も書いています。

競争戦略

戦略とは、競争の中で独自の「ポジション」を選択し、競争を回避すること(『世界一わかりやすいポーター博士の「競争戦略」の授業』)




【「競争を避ける戦略」を学びたい人にオススメ】


本書は、ドラッカー博士と並ぶ経営学における最重要人物であるM.E.ポーター博士の「経営戦略」の解説書です。

ポーター博士は、企業が競争に打ち勝ち、高い収益を上げるためには「競争戦略」が必要であることを
提唱しました。

30年以上にわたって競争の研究を積み重ねて、ポーター博士が得た結論は3つです。

①あらゆる企業は、競争から逃れることはできない

ゆえに競争を前提として、競争の中で優位に立つために

②競争力をつけることは重要である(競争優位の戦略)
③一方で競争を極力回避するための戦略が必要である(競争回避の戦略)



つまりは、どうやったら競争を生き抜けるかを考えなければならないということです。

特に、③のいかに競争を避けるかという戦略は、これから起業しようとする私のような人間にとっては非常に重要な考え方です。

価格競争や数の勝負になったら、まったくもって話にならないからです。

いかに競争をしない、しなくてもいいポジションを選択するかということが重要ではないかと考えています。



本書では、「競争戦略」の考え方に始まり、競争の要因となる「5つの競争要因(5フォース)」や競争に勝つためのベースになる「3つの基本戦略」、これらの分析技法、そして競争戦略の立て方について網羅的に学ぶことができます。

内容が詳細で、しかも多岐にわたっているため、理解をするには何度も読み込む必要がありそうですが、言葉はわかりやすく「戦略」というものをじっくりと考えるのに適した本といえます。


それでは本書のトピックスをざっと整理してみます。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

◆競争戦略

〇戦略とは何か

・戦略とは、競争の中で独自の『ポジション』を選択していくこと
→ いかに優位性を確保するかという問題

〇2つのポジション
・競争要因から身を守るポジションを確保する
・自社に有利になるように、競争要因を支配できるポジションを見出す(=差別化

〇2つの選択と集中の方法
・競合より高い価格で売る
→ 差別化で勝負し、競合との価格競争に巻き込まれないための戦略的ポジションを確立する方法
・競合より低いコストを実現する
→ オペレーション効率の差で勝負する方法



◆競争を支配する5つの競争要因


①新規参入の脅威
②既存の競争業者間の敵対関係
③代替製品(サービス)からの圧力
④買い手(顧客)の交渉力
⑤売り手(供給業者)の交渉力

→ 自社にとって重要な競争要因が何かを見極めることが重要
→ 適切な対策を打つことで、競争力をつける



◆競争を勝ち抜くための3つの基本戦略


①コストのリーダーシップ戦略
・業界内で最も低コストを実現する「安く売っても儲かる戦略」
②差別化戦略
・他社と差別化し、買い手に高くても買いたいと思わせる戦略
・ロイヤルカスタマ(忠実な顧客)ーを増やす戦略
③集中戦略
・特定の製品、顧客、地域など、狭い範囲を対象にして、コストのリーダーシップ戦略と差別化戦略を使い分ける
・顧客に密着して臨機応変に対応する戦略
・自社の競争力が生かせる部分を選択して、そこに経営資源を集中する

→ いずれか一つの基本戦略を選択して集中する



◆競争優位の原理

・競争戦略は、5つの競争要因から身を守るための戦略
・競争優位を確立するための2つの方策「コスト優位」と「差別化優位」

⇒ バリューチェーンにおけるすべてのプロセスで優位を実現すること
「製造」から「購買」まで


〇差別化優位の要因分析のための「4C」
①価値(Customer Value 顧客にとっての商品の価値)
②コスト(Cost to the Custmer 顧客の負担)
③コミュニケーション(Communication 顧客と商品を提供する企業との関係性)
④利便性(Convenience 顧客の利便性)


・差別化優位とは、買い手(顧客)にとっての価値を上げること
・買い手のためにつくる価値は、「買い手の実績を上げること」と「買い手のコストを下げること」で決まる

⇒ 重要なことは、すべてにおいて「顧客」目線が判断基準となっていること


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

私が一番重要だと思ったことは、「競争の中で独自の『ポジション』を選択していくこと」という本書での戦略の定義です。

そのことは競争優位性を確保するとともに、逆説的ですが、競争を避けることにもつながると思います。

つまり、「競合がいない状態になる」ということです。

それが究極の競争戦略の目的といってもいいかもしれません。



また、私は、本書にはっきりと書かかれていたわけではありませんが、「ポジションを選択していくこと」という表現に、「選択し続けること」という意味が含まれているように感じました。

なぜ「選択すること」ではなく、「選択していくこと」という言葉を著者が使ったのか。(ポーター博士による原文がこのような意図を持つ表現だったかは不明ですが)

それは暗に、ポジションは常に変わり続けることを示しているのではないでしょうか。

つまり一度ポジションを決めればすむわけではない。

当然、他社にマネされるということも出てくるわけです。

そのようなときに変化し続けなければ、自分が望まなくても競争に巻き込まれてしまいます。

また、時代とともに市場のニーズが変わり、自社のポジションとの乖離が起こることも考えられます。

だから、そのときそのときの市場や競合を常に意識しながら、「ポジションを選択し続ける=変化し続ける」姿勢こそが重要なのではないかと思いました。



このような競争戦略の考え方は、ビジネスの分野にとどまらず、これからの時代に個人がどのようにしたら自分の独自性を打ち出して、他者と差別化し、価値を高めることができるかということにもつながってきます。

戦略は、まさに「生きるための戦略」ともいえますね。


ありがとうございます。



「戦わずして勝つ」ためのバリューポジションとは ~相手が求めていて、自分しか提供できない価値のつくり方~(『「あなた」という商品を高く売る方法』)




【「あなたという商品」の価値を高めたいビジネスパーソンにオススメ】


以前と違って、会社ではなく個人の価値が問われる現代において、ビジネスパーソンには自分という商品づくりを考えることが必要になってきています。

その際に見落としがちなのは、「あなたを必要とする人はだれか?」「自分がその人に対して何ができるか?」ということ。

「あなたという商品」の価値を高めるためには、あなたを必要とする人のことを考え、その人に高く買ってもらうための戦略が必要であると筆者はいいます。

本書では、マーケティング戦略の視点から、「あなたという商品づくり」の方法がまとめられています。


著者は、永井孝尚氏。

運動も勉強も苦手だったという著者は、徹底して、「競争を避けて」好きなことを続けてきたといいます。

そして、日本IBM時代にマーケティング戦略に出会い、マーケティングに関する著書を多数出版するに至っています。

代表的な著作に、『100円のコーラを1000円で売る方法』。


それでは、著者が主張する「あなたという商品」を高く売る方法について、以下整理していきます。


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◆「競争しない」ための戦略


・競争戦略とは、戦うための戦略ではなく、いかに戦いを避けて儲かるかを考えること
→ 完全競争ではなく、完全独占を狙う
・そのための出発点は、「他人がやっていない、好きなことをする」
・成熟した現代はニーズが細分化されており、それらに特化すればライバルはいなくなる
・消費者が「ワガママになった」からこそ、あなたを必要とする人は必ずどこかにいる
・「ライバルと戦わず、顧客に集中する」
→ ブルーオーシャン
・ライバルは意識する


◆「戦わずして勝つ」ためのバリューポジション

・バリューポジション=「相手が求めていて、自分しか提供できない価値
・バリューポジションのつくり方
①どんな強みを生かして(強み)
②誰の(ターゲット)
③どんな悩みに(ニーズ)
④いかに応えるか(仕事)

→ これらが互いに密接につながり、全体として首尾一貫していること
・大まかに考えたうえで、まずやってみる
→ 結果を踏まえて修正しながら磨いていく


◆「強み」を考える

・強みを検証する
①あなたはその仕事が好きか?
②その強みを必要な人がいるか?
③その強みは誰も提供できないか?
④その強みは真似するのが難しいか?
→ ①→④の順に〇をつけ、〇が続くほど固有の強み


◆リスクを下げながら挑戦を繰り返す

・行動する回数が増えれば、成功する可能性も高まる。幸運に出会うチャンスも増える
・継続+フロー体験(没頭)で成長が加速する
→ 10000時間の法則

⇒ トライ・アンド・ラーン


◆ストーリー

・ストーリー(物語)=「
・物語を通じてあなたのバリューポジションをわかりやすく伝えることで、共感した人たちが動いて、あなたの志が実現する


◆変化し続ける

・周囲は変わり続けているから、自分が変化しないと気がつかないうちに自分の価値が目減りしてしまう。
→ 変わることが危険なのではなく、変わらないことが危険
・あなたの現在の強みを生かし、新しい仕事で新たな「技術」と「知識」を身につけることで、あなたの新たな強みが生み出される
・1万時間かけて1つの強みをつくれば、次の強みはより短い時間でつくることができる



◆「自分のため」から「社会のため」

・あなたは仕事を通じて「価値」を提供し、誰かを幸せにしている
・あなたという商品の価値が高まれば、相手の幸せも大きくなるし、より多くの人たちをより幸せにすることもできる
→ 社会貢献
・「自分のため」からスタートして、自分の商品価値を徐々に高める。そうすれば幸せになる人の数が増えていく。「自分のため」に始めたことが、そのうち「仲間のため」になり、「社会のため」になる
→ 「利己的」から「利他的」
→ そこから自分ブランドが生まれる


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「自分の価値」を考えるというと、つい自分のことばかりに目がいってしまいがちです。

そこで、「あなたを必要とする人はだれか?」「自分がその人に対して何ができるか?」に目を向けるというのは非常に大きな気づきとなるものでした。

そもそもお客さんがいなければビジネスになりませんもんね。

大事なのは「誰にとっての価値か?」「それによって相手がどんな利益を得られるか」。

そんなビジネスの基本に立ち返るきっかけを与えてもらいました。




ありがとうございます。



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